キミは戦えるか
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「迅くん、どこ行くの!」
「全体を見渡せるところ」
トリオン体にまだ思考が馴染まない。
思った以上に走るこの身体に戸惑っていると、迅が突然身体をすくい上げた。
いわゆるお姫様抱っこである。
「ちょ、じ、迅くん!?」
「ごめん、ちょっと急ぐから」
迅が跳躍した瞬間、今までいたところにトリオン兵の波状攻撃が押し寄せる。もし姫抱きされていなければ、今頃ハチの巣だっただろう。
「まあ、君の場合はそのトリオン量と自動回復 があるから、時間が経てば元に戻るんだろうけどさ」
そう言う彼の視線は、ずっと街に注がれていた。
「街が、もたない……」
ゲートを閉じることに必死で失念していたが、被害が徐々に街に広がっていっている。
これ以上罪のない人々が攻撃に晒されるなど、あってはならない。
特に、このトリオン兵たちは自分を追ってこの地球にやってきた。
街がやられるのは、自分のせい――。
「そういう思考は、今はいらないよ」
涼やかな声に、我に返る。
「反省は後だ。後悔もね」
「……うん」
勇が頷くのを確認し、迅はビルの一番高いところで勇を下ろした。
「突然ごめんね、この方が速かったから」
「大丈夫。重くてごめん」
「いやー、全然。羽毛かと思った」
「それは言い過ぎ」
苦笑し、空を見上げる。
先ほど封鎖したゲートは閉じられたままだが、代わりのゲートが再び開こうとしている。
「勇ちゃん、あれをすべて同時に封鎖して欲しい」
「同時に!?」
さすがに驚いた。
目視で確認できるだけで、おそらく二十近くは開いている。それらすべてを同時に封鎖しろと、迅は言った。
「さっき出来たんだ、数増えてもいけるんじゃない? イメージさえ、持てたらさ」
無理、と言う前に迅に退路を断たれる。
だが、彼の言う通りだ。先ほどだって出来ないと思ったことが、イメージを持ち、実行したことで実際出来た。
何事も、やってみなければ分からない。
地上に目を落とす。
ところどころで閃光が弾けている。
助っ人だと言ったボーダーのメンバーが、持てる力を注いで戦っている。
今ここで戦わなくて、いつ戦うのか。
勇は、イメージした。
すべてのゲートを同時に閉じることが出来、かつ、分割した己のトリオンを。
「――壁 、20 ]」
自然と、発していた。
勇の声に応えるように、手のひらに黒い薄片が20つ表れ、それらは迷いなくゲートに覆いかぶさった。
ゲートを封鎖した勇のトリオンは、ゲートから出ようとするトリオン兵を押し込め、ゲートを次々と封鎖していく。
「すべてのゲートは、今すぐ閉じて。必要ないから」
勇の静かな声に呼応するように、ゲートは霧散した。
「全体を見渡せるところ」
トリオン体にまだ思考が馴染まない。
思った以上に走るこの身体に戸惑っていると、迅が突然身体をすくい上げた。
いわゆるお姫様抱っこである。
「ちょ、じ、迅くん!?」
「ごめん、ちょっと急ぐから」
迅が跳躍した瞬間、今までいたところにトリオン兵の波状攻撃が押し寄せる。もし姫抱きされていなければ、今頃ハチの巣だっただろう。
「まあ、君の場合はそのトリオン量と
そう言う彼の視線は、ずっと街に注がれていた。
「街が、もたない……」
ゲートを閉じることに必死で失念していたが、被害が徐々に街に広がっていっている。
これ以上罪のない人々が攻撃に晒されるなど、あってはならない。
特に、このトリオン兵たちは自分を追ってこの地球にやってきた。
街がやられるのは、自分のせい――。
「そういう思考は、今はいらないよ」
涼やかな声に、我に返る。
「反省は後だ。後悔もね」
「……うん」
勇が頷くのを確認し、迅はビルの一番高いところで勇を下ろした。
「突然ごめんね、この方が速かったから」
「大丈夫。重くてごめん」
「いやー、全然。羽毛かと思った」
「それは言い過ぎ」
苦笑し、空を見上げる。
先ほど封鎖したゲートは閉じられたままだが、代わりのゲートが再び開こうとしている。
「勇ちゃん、あれをすべて同時に封鎖して欲しい」
「同時に!?」
さすがに驚いた。
目視で確認できるだけで、おそらく二十近くは開いている。それらすべてを同時に封鎖しろと、迅は言った。
「さっき出来たんだ、数増えてもいけるんじゃない? イメージさえ、持てたらさ」
無理、と言う前に迅に退路を断たれる。
だが、彼の言う通りだ。先ほどだって出来ないと思ったことが、イメージを持ち、実行したことで実際出来た。
何事も、やってみなければ分からない。
地上に目を落とす。
ところどころで閃光が弾けている。
助っ人だと言ったボーダーのメンバーが、持てる力を注いで戦っている。
今ここで戦わなくて、いつ戦うのか。
勇は、イメージした。
すべてのゲートを同時に閉じることが出来、かつ、分割した己のトリオンを。
「――
自然と、発していた。
勇の声に応えるように、手のひらに黒い薄片が20つ表れ、それらは迷いなくゲートに覆いかぶさった。
ゲートを封鎖した勇のトリオンは、ゲートから出ようとするトリオン兵を押し込め、ゲートを次々と封鎖していく。
「すべてのゲートは、今すぐ閉じて。必要ないから」
勇の静かな声に呼応するように、ゲートは霧散した。