キミは戦えるか
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そんな蓮の機微などお構いなく、勇はかつて兄だった腕輪をしげしげと見つめ、装着した。
冷やりとするそれに自分の知る兄の面影は一切ない。
『君がこれを使うことでこの街が救われる、そういう未来が俺には視えた』
いざ現実を見据える。
未知の存在がゲートから次々と現れ、混乱に陥る人々をトリオン体になったののと羽矢が避難させている。自分の側にいた蓮もそちらに加わり、避難の流れがさらに加速した。
一方、あと5分で誰かが来ると告げ戦線に立つ迅は、相手の攻撃をひらひらとかわしつつ確実に頭数を減らしている。
(……知ってる、私は、あいつらを知っている)
勇の脳裏に甦る、フローディングでの日々。
目の前にいるトリオン兵はその日々の中でたくさん見てきた姿そのもので、自分を追いかけて来たことは明白だった。
「あぶねえ!」
ののの声で我に返る。ののに引っ張られていなければ、片腕を失っていただろう。
「ぼっとすんな!」
「ごめん、ありがとう」
「で? そいつ、使えんのか!?」
シールドのようなものを使いながら、相手の攻撃を防ぎつつののが叫んだ。
「分からない」
「まじかよ……」
「どうすれば使えるかも分からないってこと?」
羽矢も隣に並び立つ。
「でも、迅の奴がお前なら使えるっつってただろ。何かこう、あるんじゃねえのか? お前にならそれが使えるっつー確信みたいなもんが」
「確信……」
確かに、迅のサイドエフェクトを除いても、彼は随分と確信を持って勇に「使って欲しい」と言い切った。
「ブラックトリガーの特性は、本人の特徴を引き継いでいることよ。お兄さんの性格を思い出してみたら、何かヒントがあるんじゃないかしら」
勇を守るようにして前に出た蓮の言葉に、ののが「それ、お前の兄貴なのかよ!」と驚愕の声をあげた。
「お兄の、性格……」
勇は、兄のことを思い出してみた。
健悟は、とても穏やかな性格だった。とても愛情深くて、優しくて、それゆえに大切なものが傷付けられると激高する側面も持ち合わせていた。
「お兄が生きてたら、この惨状から全員を守ることを一番に考えると思う」
勇の言葉に、蓮が頷いた。
「じゃあ、それ が出来るかもしれないわね。そのトリガーは」
「それ……、守るってこと?」
再び頷く蓮の顔越しに街を見やる。
迅が孤軍奮闘しているおかげで人的被害は出ていないものの、建物の損傷が少しずつ広がり始めている。このままでは二次災害が起こる可能性は否めない。
「守る……、この手で、誰かを」
勇の脳裏に、フローディングで自分の世話をしてくれたトリオン兵たちが、目の前で無残にマザーに抹殺される様が過ぎる。
「……あんな思い、二度としたくない」
拳を握ったその時、勇の想いに呼応するように腕輪が光った。
冷やりとするそれに自分の知る兄の面影は一切ない。
『君がこれを使うことでこの街が救われる、そういう未来が俺には視えた』
いざ現実を見据える。
未知の存在がゲートから次々と現れ、混乱に陥る人々をトリオン体になったののと羽矢が避難させている。自分の側にいた蓮もそちらに加わり、避難の流れがさらに加速した。
一方、あと5分で誰かが来ると告げ戦線に立つ迅は、相手の攻撃をひらひらとかわしつつ確実に頭数を減らしている。
(……知ってる、私は、あいつらを知っている)
勇の脳裏に甦る、フローディングでの日々。
目の前にいるトリオン兵はその日々の中でたくさん見てきた姿そのもので、自分を追いかけて来たことは明白だった。
「あぶねえ!」
ののの声で我に返る。ののに引っ張られていなければ、片腕を失っていただろう。
「ぼっとすんな!」
「ごめん、ありがとう」
「で? そいつ、使えんのか!?」
シールドのようなものを使いながら、相手の攻撃を防ぎつつののが叫んだ。
「分からない」
「まじかよ……」
「どうすれば使えるかも分からないってこと?」
羽矢も隣に並び立つ。
「でも、迅の奴がお前なら使えるっつってただろ。何かこう、あるんじゃねえのか? お前にならそれが使えるっつー確信みたいなもんが」
「確信……」
確かに、迅のサイドエフェクトを除いても、彼は随分と確信を持って勇に「使って欲しい」と言い切った。
「ブラックトリガーの特性は、本人の特徴を引き継いでいることよ。お兄さんの性格を思い出してみたら、何かヒントがあるんじゃないかしら」
勇を守るようにして前に出た蓮の言葉に、ののが「それ、お前の兄貴なのかよ!」と驚愕の声をあげた。
「お兄の、性格……」
勇は、兄のことを思い出してみた。
健悟は、とても穏やかな性格だった。とても愛情深くて、優しくて、それゆえに大切なものが傷付けられると激高する側面も持ち合わせていた。
「お兄が生きてたら、この惨状から全員を守ることを一番に考えると思う」
勇の言葉に、蓮が頷いた。
「じゃあ、
「それ……、守るってこと?」
再び頷く蓮の顔越しに街を見やる。
迅が孤軍奮闘しているおかげで人的被害は出ていないものの、建物の損傷が少しずつ広がり始めている。このままでは二次災害が起こる可能性は否めない。
「守る……、この手で、誰かを」
勇の脳裏に、フローディングで自分の世話をしてくれたトリオン兵たちが、目の前で無残にマザーに抹殺される様が過ぎる。
「……あんな思い、二度としたくない」
拳を握ったその時、勇の想いに呼応するように腕輪が光った。