キミは戦えるか
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護身用にと本部からもたされた一般用トリガーを起動させ、勇はトリオン体になった。
「すごい技術」
「感心は後よ」
蓮が冷静に窘めた。
ゲートから出て来たトリオン兵は見たことのない形状のもので、本部からの無線でも「Unknown」との情報が流れて来た。
「見たことねえ奴だな、どうするよ!」
ののは、市民の避難を行いながら連を見やる。
「戦闘員が現着するまで、私たちで何とかするしかないわ」
「あたしら、非戦闘員だぞ!?」
「あら、戦闘員ならいるわよ、それも二人」
目を丸くするののの視線が勇に注がれる。
「わ、わたし?」
「そう。あなた、戦えるでしょ」
美しい顔ににっこり笑みを浮かべているが、有無を言わさない気迫がある。
つい先ほど訓練室で戦えなかった者に実戦で戦えなど鬼の所業とも言えるが、市民に死者が出ては元も子もない。
(そうだ、何のための力なのか)
勇は歯を食いしばり、迅を見やった。
「迅くん、このトリガーに備わってるトリガーの使い方、簡単に教えて」
勇の迷いない瞳に、迅は小さく笑い、ポケットからあるものを取り出した。
「なら、こっちを試してよ」
渡されたのは、真っ黒な腕輪だった。
「これ……」
「健吾さん」
その言葉に、勇は息を飲んだ。
「これが……」
「こんな時に残酷なことを言ってるのは分かってる。でも、君がこれを使うことでこの街が救われる、そういう未来が俺には視えた。だから、これを使って欲しい。本部から、そういう条件で預かってきた」
受け取った腕輪はひんやりとしていて、温かい思い出ばかり作ってくれた兄の欠片も感じさせなかった。
「迅!」
ののの声に、我に返る。迅はその声に応じ、攻撃態勢に入ったトリオン兵の元へ駆け出した。
「じ、迅くん!」
「蓮さん、悪いけどあとよろしく! あと5分で、あいつら来るから!」
そう言い残した迅の背中は、あっという間に遠のいていった。
「そういうことで、勇。悪いんだけど、そのトリガー起動させてくれる?」
「月 ちゃん、私、これをどうやって使うか分からない」
焦るでもなく、怒るでもない。ただ、事実だけを述べている。
(本部が言った通り、この子、感情の起伏がない)
中学生の頃の彼女は、もっと感情豊かだった。今は、ただ目の前の事象に対して事実のみを告げている、そんな機械的な印象を受けた。
これが戦地を生き残った者の重みなのか――。
かつての友が生きて帰ってきたことは喜ばしいことだが、何故か蓮は背筋が凍る思いがした。
「すごい技術」
「感心は後よ」
蓮が冷静に窘めた。
ゲートから出て来たトリオン兵は見たことのない形状のもので、本部からの無線でも「Unknown」との情報が流れて来た。
「見たことねえ奴だな、どうするよ!」
ののは、市民の避難を行いながら連を見やる。
「戦闘員が現着するまで、私たちで何とかするしかないわ」
「あたしら、非戦闘員だぞ!?」
「あら、戦闘員ならいるわよ、それも二人」
目を丸くするののの視線が勇に注がれる。
「わ、わたし?」
「そう。あなた、戦えるでしょ」
美しい顔ににっこり笑みを浮かべているが、有無を言わさない気迫がある。
つい先ほど訓練室で戦えなかった者に実戦で戦えなど鬼の所業とも言えるが、市民に死者が出ては元も子もない。
(そうだ、何のための力なのか)
勇は歯を食いしばり、迅を見やった。
「迅くん、このトリガーに備わってるトリガーの使い方、簡単に教えて」
勇の迷いない瞳に、迅は小さく笑い、ポケットからあるものを取り出した。
「なら、こっちを試してよ」
渡されたのは、真っ黒な腕輪だった。
「これ……」
「健吾さん」
その言葉に、勇は息を飲んだ。
「これが……」
「こんな時に残酷なことを言ってるのは分かってる。でも、君がこれを使うことでこの街が救われる、そういう未来が俺には視えた。だから、これを使って欲しい。本部から、そういう条件で預かってきた」
受け取った腕輪はひんやりとしていて、温かい思い出ばかり作ってくれた兄の欠片も感じさせなかった。
「迅!」
ののの声に、我に返る。迅はその声に応じ、攻撃態勢に入ったトリオン兵の元へ駆け出した。
「じ、迅くん!」
「蓮さん、悪いけどあとよろしく! あと5分で、あいつら来るから!」
そう言い残した迅の背中は、あっという間に遠のいていった。
「そういうことで、勇。悪いんだけど、そのトリガー起動させてくれる?」
「
焦るでもなく、怒るでもない。ただ、事実だけを述べている。
(本部が言った通り、この子、感情の起伏がない)
中学生の頃の彼女は、もっと感情豊かだった。今は、ただ目の前の事象に対して事実のみを告げている、そんな機械的な印象を受けた。
これが戦地を生き残った者の重みなのか――。
かつての友が生きて帰ってきたことは喜ばしいことだが、何故か蓮は背筋が凍る思いがした。