キミとの再会
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隊員たちを乗せた遠征艇が、一路アフトクラトルへ出発した。
早春の早朝のことであった。
大規模侵攻でさらわれた人たちを取り戻すための『大規模遠征』。
ニュースで大々的に報道され続けたが、出発日時は最後までマスコミに伏せられた。下手に騒ぎ立て、家族や親族に負担がかからないよう配慮した形だった。
「みんな、無事帰って来いよ」
迅悠一は、遠征艇がゲートを越えるのを見送ると踵を返した。
遠征艇が出発した以外、三門市はいつもと何ら変わらない落ち着いた時間が流れている。
なのに、先ほどから迅の気持ちはざわついていた。
原因は、迅のサイドエフェクトである“未来視”だった。
(サイドエフェクトは、今日何かが“起こる”って言ってんだよな。よりによって、今日起こんなくてもいいのに)
遠征の選抜メンバーが抜け、本部にはいつもの半分のメンバーしか残っていない。
遠征艇が出発後に新たな三門市防衛戦が勃発する未来は視えていたので、前もって準備を分厚くできたことは何よりだろう。
とはいえ、遠征にはボーダーのトップ隊員たちがこぞって参加している以上、今回の防衛戦はなかなかに苦労するかもしれない。
ただ、迅の未来視は、今日起こる“何か”が来る防衛戦を楽にしてくれることも示唆しており、だから落ち着かない心地なのだった。
「ま、考えても仕方ないな」
ふっと吐いた息が白い。今日は特に冷え込んだらしく、トリオン体でなければ上着がもう一枚欲しいところだ。
そう言えば、今朝の朝食当番だった。今から戻ろうにも、朝食時間には間に合わない。
(確か、京介がいたはず)
迅と同じ玉狛支部に所属する隊員である烏丸京介に連絡しようと携帯を取り出した、次の瞬間だった。
『ゲート発生、ゲート発生』
機械的な女性の声で警告メッセージが辺り一面に鳴り響く。
ゲートは、向こうの世界(ネイバーフッド)とこちらの世界(ミデン)を繋ぐ出入り口だ。ネイバーフッドの者たちは、星を動かすエネルギー源である“トリオン”をミデンの人間から奪うことを目的にやってくる。
少し前に起こったアフトクラトルによる大規模侵攻もおおよそ同じ目的で、トリオンのために攫われた人たちを取り戻すために行われるのが今回の遠征であった。
100メートルほど離れたところだろうか、突如空間に黒い別次元とを繋ぐ出入り口が開いた。
ボーダーによってゲートは迅が今いる警戒区域内に自動で誘導されるため、市街地に無差別に開くことはほぼない。ボーダーが世間から信を置かれているのは、このゲート誘導装置のおかげであると言っても過言ではないだろう。
「さて、と。これで、朝食当番は出来なくなっちゃったな」
トリオンで出来た武器・スコーピオンを起動し、迎撃態勢を整える。ゲートから距離を取り、すぐに戦闘態勢に入れる位置に陣取った。
だが、現れたのはトリオン兵ではなかった。
「う……」
倒れ込むようにゲートから出てきたのは、人であった。
早春の早朝のことであった。
大規模侵攻でさらわれた人たちを取り戻すための『大規模遠征』。
ニュースで大々的に報道され続けたが、出発日時は最後までマスコミに伏せられた。下手に騒ぎ立て、家族や親族に負担がかからないよう配慮した形だった。
「みんな、無事帰って来いよ」
迅悠一は、遠征艇がゲートを越えるのを見送ると踵を返した。
遠征艇が出発した以外、三門市はいつもと何ら変わらない落ち着いた時間が流れている。
なのに、先ほどから迅の気持ちはざわついていた。
原因は、迅のサイドエフェクトである“未来視”だった。
(サイドエフェクトは、今日何かが“起こる”って言ってんだよな。よりによって、今日起こんなくてもいいのに)
遠征の選抜メンバーが抜け、本部にはいつもの半分のメンバーしか残っていない。
遠征艇が出発後に新たな三門市防衛戦が勃発する未来は視えていたので、前もって準備を分厚くできたことは何よりだろう。
とはいえ、遠征にはボーダーのトップ隊員たちがこぞって参加している以上、今回の防衛戦はなかなかに苦労するかもしれない。
ただ、迅の未来視は、今日起こる“何か”が来る防衛戦を楽にしてくれることも示唆しており、だから落ち着かない心地なのだった。
「ま、考えても仕方ないな」
ふっと吐いた息が白い。今日は特に冷え込んだらしく、トリオン体でなければ上着がもう一枚欲しいところだ。
そう言えば、今朝の朝食当番だった。今から戻ろうにも、朝食時間には間に合わない。
(確か、京介がいたはず)
迅と同じ玉狛支部に所属する隊員である烏丸京介に連絡しようと携帯を取り出した、次の瞬間だった。
『ゲート発生、ゲート発生』
機械的な女性の声で警告メッセージが辺り一面に鳴り響く。
ゲートは、向こうの世界(ネイバーフッド)とこちらの世界(ミデン)を繋ぐ出入り口だ。ネイバーフッドの者たちは、星を動かすエネルギー源である“トリオン”をミデンの人間から奪うことを目的にやってくる。
少し前に起こったアフトクラトルによる大規模侵攻もおおよそ同じ目的で、トリオンのために攫われた人たちを取り戻すために行われるのが今回の遠征であった。
100メートルほど離れたところだろうか、突如空間に黒い別次元とを繋ぐ出入り口が開いた。
ボーダーによってゲートは迅が今いる警戒区域内に自動で誘導されるため、市街地に無差別に開くことはほぼない。ボーダーが世間から信を置かれているのは、このゲート誘導装置のおかげであると言っても過言ではないだろう。
「さて、と。これで、朝食当番は出来なくなっちゃったな」
トリオンで出来た武器・スコーピオンを起動し、迎撃態勢を整える。ゲートから距離を取り、すぐに戦闘態勢に入れる位置に陣取った。
だが、現れたのはトリオン兵ではなかった。
「う……」
倒れ込むようにゲートから出てきたのは、人であった。
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