The Lovers②
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カネシロパレスが消滅した翌日、真の下にカネシロから連絡が来たと報告を受けた。
画像も全て削除し、返済ももちろん白紙。
そして、カネシロの身柄は検事である姉が確保したそうだ。
今の時点で改心が確実に成功したかは定かじゃないけど、きっと大丈夫。
あとは、罪を洗いざらい自白してくれるのを待つだけ。
真が私達を探っていたのが校長の指示であり、鴨志田の件の犯人探しをしていると改めて説明を受け、しばらくは目立つ事は控えるようにと忠告を受けた。
それから、事態が進展するまで平凡な学生生活を送る。
怪チャンに書き込まれた依頼や三島君が仕入れた情報の小さな改心の為にメメントスへ赴くのも忘れずにしながら、各々の時間を過ごした。
杏は、リハビリをしている鈴井さんのお見舞いやモデルの仕事をしている。
竜司は、基本的には遊びたがっているけど陸上部の事で気を揉んでいる。
祐介は、絵画の事で悩んでスランプに陥っているらしい。
真は、これからはもっと外の世界を知ろうと動き出している。
そんな彼らに付き合うのが、蓮だった。
みんなから相談を受けたり共に行動したりと頼られているみたい。
「…みんな、前を向いて歩いているよね」
「ユエはどうなんだ?」
「ん?」
「困ったことはないか?」
「うん。今のところは。モルガナは?」
「ワガハイも変わりないさ」
蓮が誰かと一緒にいる時モルガナが自由になるから、その機会にモルガナと一緒に過ごす事にした。
井の頭公園のベンチに座って、のんびりとゆっくりとモルガナと話をする。
「思えば、モルガナと出会ってからそんなに経ってないんだよね」
「あぁ。春先だったもんな」
「最初は二人だけだったけど、今じゃ五人も仲間が増えたね」
「マコトまで仲間になったのには、オドロいたけどな」
「凄かったよね。真の覚醒」
「あの時はさすがのワガハイも度肝を抜かれたぜ」
なんて、短くも濃密な思い出話をして笑い合った。
けれど、モルガナがふと考え込む素振りを見せた。
「レンと出会ってから、アイツを中心に物事が動いてる。メメントスだって、ワガハイとユエだけじゃ奥に行けなかっただろ」
「蓮と初めて会った時、どこか思う所があったよね?」
「あぁ。ワガハイにとってレンが鍵なのは確かだ」
「運命ってやつかな。蓮と出会った事って」
「運命っていうならワガハイ、アン殿とのほうがいい」
「ははっ…」
深刻そうに切り出したと思えば、調子の良い事を言うから心配は要らなかったみたいだ。
すっかり杏のトリコなモルガナに応援したい気持ちが芽生える。
「杏のハート、盗めるといいね」
「ワガハイを誰だと思ってる!オマエらに怪盗のイロハを教えた男だぞ?」
「そうでした」
笑いながら返すと、気に入らなかったのかムスッとむくれてしまった。
でも、すぐに表情を戻して蒼い瞳が見詰め上げてきた。
「ユエ…オマエとの出会いもワガハイにとっては運命だったからな」
「!」
真っ直ぐな声音は、私の心のど真ん中を正確に撃ち抜いた。
途端に目頭が熱くなってくる。
「私の方だよ…モルガナが居てくれたから独りじゃなかった」
「オ、オイオイ…泣くんじゃねーよ!ワガハイが泣かせたみたいじゃねーか」
「泣いてないよ!」
溢れそうになった涙を慌てて拭った。
『おい…おい!…大丈夫か?しっかりしろ!』
“私”として目を覚ました時、目の前にモルガナが居てくれた。
以前の記憶は未だに霧の向こうだけど、今の私としての記憶の始まりがモルガナだった。
私にとっても、モルガナとの出会いは運命だったんだ。
「モルガナ、これからも記憶探し手伝うからね」
「あぁ、頼りにしてるぜ。ユエ」
今一度笑い合ってからモルガナをルブランへと送り届けた。
モルガナと春先に出会い、蓮達と出会い、それから季節は……梅雨。
振り返れば長くはないけど濃密な日々は、充実していた。
梅雨が明ければ、夏が来る。
次の季節では、一体どんな事が待ち受けているのだろう。彼らとなら些細な出来事でも何よりも素敵なものになるんじゃないかという予感に胸を膨らませていた時、真から警察で動きがあったと連絡を受けた。
その夜、ネットニュースがとある大物犯罪者の逮捕を報せた。
翌朝には、テレビでも取り上げられ、同時に怪盗団の認知も良い方向へ向かい始めた。
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