情報屋
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仄暗い空間で男と女が見詰め合う。
男が次第に近付いて、女の手を取り、こう云った。
「お前を呉れるなら、俺も全てを捧げよう」
女は頬を朱に染めて、そっと頷く。
「賢明な判断だ」
女の態度に満足そうに笑みを深めた男は、女をその場に優しく押し倒し、女に跨がった。
「天国に連れていってやる」
男の手が女の太腿に伸び、着物を払うように脚を曝け出すと愛でるように肌を撫でた。
その手がゆっくりと焦らすように上へと上がる。
「…………」
女は、色を孕んだ男の眼を暫く見詰め、反応を示さないうちに閉じた。
「天国にはテメェ独りで逝きな」
「──っ!?」
男でも女でも無い地を這うような声がした。
何者かと男が顔を上げた瞬間。
男の見る世界が斜めに崩れた。
何が起きたのかを理解するより先に、男の視界は床に近付き、男の躰は女に全体重を預けて覆い被さった。
「────────」
物云わぬ塊になってしまった男。
そんな男の躰の下で閉じていた眼を開ける女。
視線を少し動かせば、鮮血の滴る刀を持った男が映る。
血振りをしてから鞘に納める様を見ながら、女は覆い被さる塊を事も無げに退かして上体を起こした。
「………最悪」
そう呟く女は、返り血に頬を染めていた。
納刀した男が女へと視線を向けてくる。
「随分と機嫌悪そうじゃねェか」
「これで悪くならない方が無理。顔も着物もベタベタ」
「妬けるじゃねェか。他のヤローのを顔にかけるなんざ」
「自分でやっといて変な言い方はやめて晋助」
「ソイツは済まなかったなァ紫乃。今度は血が出ねェように斬ってやらァ」
男──晋助は、不敵な笑みを浮かべながら煙管を燻らせた。
「出来るもんならそうして欲しいわ本当」
女──紫乃は、溜息を吐きながら血に塗れた着物を豪快に脱ぎ捨てた。
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