華-眠れぬ夜-
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この地には、不思議な効力を秘める花が幾つも咲いているという。
治癒の花、長寿の花、好意の花、憎悪の花、夢見の花、快楽の花……
まだまだ色々な花があるが、挙げていたらキリが無くなる。
「……で、これが睡眠薬になる花なの?」
「うん。阿伏兎が言ってたから間違いないよ」
「それで、どうすればいいの?」
「その花は花びらを水に浮かべて飲むんだって」
「簡単なのね」
「そうみたいだね」
「効果があったなら礼をするわね」
「お礼なんていいからさ。今すぐオレとヤり合おうよ」
「遠慮しとくわ。有難う、神威」
「ツレナイなぁ」
その場を立ち去って、自室に戻る。
神威から貰った花は、淡い紫の小さな花で優しい匂いを発していた。
枕が替わると眠れない──という体質でもないけれど、ここ数日寝付きが悪く日々の生活で頭が回らない事が増えていた。
このままでは駄目だと悩んでいた処に、この星に辿り着いた。
効き目はなかなかのものらしいから、より詳しい人に採取を頼んで受け取ったのが先刻。
晋助が同盟相手に選んだ人で、宇宙最強の民族だが人となりは気さく。こうして私の頼みも易々引き受けてくれる。
強い相手を求めているらしく、私にも闘いを挑んでくるのは流石に困り物だけれど。
さて、そろそろかしら。
眠りたい時間によって水に浸す長さがあるみたいで、必要とする時間分待ってみた。一時間なら五分程度だそう。
グラスの中で花びらは色を溶かし、柔らかい紫色の飲み物を作る。
花びらを取り除いてグラスを掲げた。
何処か妖しいゆらめきは、それだけで眠気を誘うよう。
香りも何処か甘く優しい。
蒲団に座り、寝る支度を整えてからグラスを呷った。
味というよりも香りが口に広がる。
そして、喉を通り過ぎた直後にそれは早速効果を見せた。
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