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「ごめん、茗子」
「何がでしょう?」
「うん、迫っちゃって」
「ああ、アレ」
着替え終えてから校門までの道を歩く。
手は勿論恋人つなぎで!
「今後は控えてもらえればそれで」
「ふたりきりならいい?」
「困ります」
「嫌じゃないんスね」
「…………」
嘘はつかないけど、素直に認めるのも嫌なんだろうな。
そういうトコもホント好き。
「ねぇ、茗子」
「なんですか?」
「今日この後って予定とか入ってる?」
「この後ですか?帰って勉強します」
「その勉強教えてほしいって言ったら、どうする?」
「教えて欲しいんですか?」
茗子の方を見て聞くと、茗子は瞬きをしながら見上げてくる。
「出来ればお願いしたいんスけど、無理っスかね?」
「……どちらで勉強を?」
「オレん家で」
「……母に確認取ってみます」
そう言って携帯を取り出す茗子にホッと胸を撫で下ろす。
家に誘うって何気に難関だよな。下心あると思われたら嫌だし、断られたらショックだし。
良かった。茗子自身は取り合えず抵抗ないみたいだ。
「……もしもし」
携帯で母親に確認を取る茗子を黙って見つめる。
「…え?卵ですか?」
は?卵って何?
いきなり卵ってどんな会話?
「…じゃあ、ご飯これから作るんですか?………ああ、丁度良かったです。今日、これから涼太と勉強しようと思ってて…」
てか、母親にも敬語なんだな。なんか可愛い。
「…はい、そうです………はっ?……はあ……はあ……解りました」
なんか声のトーン落ちてるけど?
ダメって言われたのか?
「……はい……はい。では、さようなら」
通話を終えて携帯をしまうと、オレを見てくる。
そして、緊張して茗子の言葉を待つと、
「ご飯これから作るようだったので大丈夫です」
「…は?」
えっと流れが解らない。だから何?勉強出来るの?オレん家来れるの?
「もし母がもう夕飯を作っていたら帰らなきゃいけないじゃないですか」
ああ、なるほど。
そうだよな。折角作ってくれてるなら帰らなきゃダメだよな。
茗子のそういうトコ見習わなきゃだな。
「じゃあ、オレん家来れるんスね?」
「はい」
「良かった」
そう言って手を差し出すと、茗子はおずおずと手を重ねてきた。
指を絡み合わせてオレの家の方向へ曲がる。
「帰りは何時くらいまでいいんスか?門限とかないスか?」
「時間は何時でも大丈夫です。連絡くれれば迎えに来てくれると言っていましたし」
「あ、そうっスか」
帰りも出来れば送りたかった。けど、迎え来る方が安心だよな。
ちょっとだけ、本当にちょっとだけ肩を落としていたら、でも…と茗子が言葉を続けてきた。
「そのまま学校に行けば…とも言われました」
「なんスかソレ……………っ!?なんスかソレッ!?」
言葉の意味に気付いて慌てて聞き返す。
それ、つまりさ…
「…泊まり、という事ですね」
「っ、マジで言ってるんスか!?え?親がそれ許可したんスか!?」
「許可というか薦められました」
「………スゴい母親っスね」
「そうですか?」
まだ挨拶もしていない見ず知らずの男の家にぽんっと娘を差し出すとか、よほど信頼してるのか放任なのか…。
「ただ…一つ条件があります」
「条件?」
「はい………」
「?なんスか?」
途端に言いづらそうに口ごもる茗子に首を傾げる。
「………あー、母が……涼太のサイン貰えば…許可する、と」
「………へ?」
「……すみません」
しおらしくなる茗子にぽかんとなる。
条件っていうからなんかもっと、娘に触るなとかそういう感じだと思ったけど。
さすがは茗子の母親とでも言うべきか、斜め上から来た。
「えっと、オレのサインが欲しいんスか?」
「母、凄くミーハーなんです」
「え、それって茗子の母親にオレのコト話したってコト?」
「はい。…駄目でしたか?」
「ああっ、そうじゃなくて!…茗子、自分からそういうコト話さないから意外っていうか…親には話すんだなぁって」
「隠し事すると拗ねるんですよ、あの人」
「そうなんスか?拗ねるって可愛い人なんスね」
茗子の口振りから親との仲の良さが解る。
どんな人か分からないけど、いい関係なんだろうなって思う。
「それで、どうでしょうか?」
「オレのサインで良ければいくらでも!」
「ありがとうございます」
「うん。じゃ、コンビニでご飯とか買って帰ろ」
「はい」
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