6月18日─午後─
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「っはーーーっ!!サイッコーっス!」
「黄瀬君」
「ん?なんスか?黒子っち」
「赤司君からです」
「え…?」
気持ちよく床に寝転がったら黒子っちがケータイを差し出してきた。
それを受け取って耳に当てる。
「もしもし」
『黄瀬、誕生日おめでとう』
「赤司っち…まさか赤司っちからお祝いもらえるとは思わなかったっス」
『俺も特に気に留めていなかったよ』
「じゃあ、なんで電話くれたんスか?」
『石丸さんが熱心だったからかな』
「茗子が?」
『ああ。一週間前に黒子経由で連絡があってね。お前の誕生日を一緒にと誘われた』
「聞いたっス。けど、来れないのは仕方ないっスよ」
『それなら当日メールでもいいから一言贈ってくれとお願いされたよ』
「そうなんスか」
『だからこうして電話をしているというわけだ』
「ありがとう、赤司っち。嬉しかったっス」
『礼なら彼女にしてくれ。俺は彼女の熱意を評してこうしているだけだからな』
「うん。赤司っちともまたバスケしたいっス」
『ああ。俺もだ』
赤司っちからのお祝いに嬉しく思いながら黒子っちにケータイを返すと、今度はオレのケータイが着信に光った。
開いて見れば…
『おめでとー。今日は行けなかったけど、今度バスケする時はよろしくねー』
と、紫原っちからメールが届いた。
また目頭が熱くなってくる。
「きーちゃん」
「…桃っち」
桃っちが隣にしゃがんできたから慌てて涙を拭う。
「今日はおめでとう、きーちゃん」
「ありがとう。桃っちや青峰っちまで来てくれるなんて本当嬉しいっス」
「茗子ちゃんに頼まれたからね」
「茗子がそんなコトしてたなんて気付かなかったっス」
「茗子ちゃんね、きーちゃんが元気ないの心配してたよ?」
「え?」
「誕生日が近付くにつれて寂しそうだって」
「あ、それは…」
「だから、今日はたくさん笑顔になってもらいたいって言ってた」
「…………っ」
「ふふっ。きーちゃん泣き虫」
「そりゃ泣くっスよ……もうっ、茗子は本当…っ」
どこまでオレを喜ばせれば気が済むんだよ。
「オーイ、黄瀬ー!」
呼ばれて涙を拭いながらそっちを見れば、森山先輩が手招きしてた。
桃っちに背中を押される形で向かえば、ステージに腰かける笠松先輩と先輩を囲んで海常メンバーが座ってた。
「なんスか、これ?」
「俺からのプレゼントだ」
「え?」
笠松先輩が言いながらギターを構えた。
「つっても、そんな上手くねーけどな」
少し照れた様子で言う先輩の真ん前に座らされる。
脚を組んでギターを構える先輩がカッコ良くて、そこから静かに紡がれるギターの音色に胸が熱くなる。
先輩は上手くないと言ったけど、そんなコトは全然なくて弾き終わった時には自然に拍手していた。
「センパイカッコイイっス!」
「そりゃどうも」
「ありがとうございます、笠松センパイ」
「礼なら石丸に言えよ」
「茗子に…?」
「アイツにギター弾けってしつこく頼まれたからな」
「え、それって…」
「ああ。お前とも話したあの時だ」
あの電話は、この日のだったんだ…。
サプライズなら普通は先輩と電話してるコトも隠しておくだろうに、茗子はそんな素振りを見せるコトなくオレの疑心さえ払った。
あれが、そうだったなんて…。
「お前に代わった時はビビったぜ」
「けど、センパイも全然普通だったっスよ」
「アイツと関われば、突然の事にも対応出来てくんだよ」
はぁ…と溜め息をつきながら言ったセンパイは、ギターをケースにしまい始める。
「もう終わりっスか?もう一曲弾いてくださいよー」
先輩のギターをもう少し聴きたくて言えば、先輩はオレより更に後ろに視線を向ける。
「俺よりあっち行った方がいいんじゃねーの?」
「え?」
先輩の視線を辿って振り返れば、反対コートでバスケをしている元チームメイト達。
バスケしてるというか、みんなで茗子にバスケを教えて………
「って、青峰っちーーっ!!」
見た瞬間、オレは駆け出してた。
「黄瀬…あんなに速く走れるんだな」
「普段は手抜いてうのか!?」
なんて言う中村先輩と早川先輩の声なんて聞こえなかった。
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