6月18日─午前─
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そして、時計は0時を回った。
その瞬間に光るケータイ。
慌てて確認すると…
『おめでとう!黄瀬君!』
『ハピバ~♡リョータ』
友達からのお祝いメールが届いた。
ファンの子、クラスメート、部活仲間…何人からも届くメールだけど、その中に茗子の名前が表示されるコトはなかった。
ベッドに倒れて、寝て。
朝起きて確認したケータイ。
「ない…電話も来ない…」
もうこれは、諦めるしかないな。
取り合えず部活はあるから準備して、家を出るコトにした。
誕生日だというのに溜め息ばかりついて、エントランスを出た。
「……………………え?」
出た瞬間、願望が強すぎて幻覚でも見ちゃったのかと思った。
「お早うございます。涼太」
マンションの外で笑顔で迎えてくれる――茗子。
幻覚なんかじゃなく本物だ。
ちゃんとそこにいる茗子に、気付けば駆け出していた。
「なん、え…どうしているんスか?」
目の前まで駆けて、動揺しながら聞けば茗子は苦笑する。
「涼太、今日誰かと会話しました?」
「え?…いや、まだ誰とも話してないっスけど」
「そうですか」
メールはたくさん来たけど、電話は来ない。
時間も時間だし、女の子の間では協定とかいうのを結んでるらしいし。
だから、今日最初に会話したのは茗子になる。
そう考えると、さっきまでの沈んでた気持ちが不思議と消えていく。
そして次の瞬間、オレの気持ちは一気に浮上する。
「では、涼太」
「なんスか?」
「──誕生日、おめでとうございます」
「……………へ?」
茗子の言葉に放心した。
なんで…
「私が最初に直接言えました、よね?」
真っ白な頭で頷けば、茗子は花が咲いたような微笑みを浮かべた。
「誰かに先を越されなくて良かったです」
その微笑みは、ハートのど真ん中を見事撃ち抜く。
「オ、オレの誕生日…知ってたの…?」
「いえ」
「え…?」
また頭真っ白になる。どういうコト?
「知ってはいませんでした。10日前までは」
10日前って……オレが今日の予定聞いた日だ。
「あの時、明らかに隠したので何かあるのかなとミカに確認しました」
バレてたんだ…。オレのどうしようもないプライド。
「そうしたら、こっぴどく怒られました」
「そうだったんスか」
「はい。なので、おめでとうございます」
「………あー、なんか泣きそうっス」
もう…こんなサプライズ、嬉しくないワケない。
幸せで胸が苦しい。
「泣いてる場合じゃないですよ」
「え?」
「部活行くんですよね?」
「あ、そうだった」
「私も学校に用事があるので一緒に行きませんか?」
そう言って手を差し伸べてくる。
「もちろんっス!」
躊躇うコトなく指を絡めて歩き出す。
ずっと、モヤモヤしてた気持ちが今はもう幸せでいっぱいだ。
こうして、大好きな人に会えておめでとうと言ってもらえて…
学校着くまでニヤケ顔が止まらなかった。
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