Introduction
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「それにしても、よく私を捜し出せましたね」
「愛の力っス」
「どうやって捜したんですか?黒子さん」
「コレです」
「…………」
彼氏を無視して黒子っちに聞くなんて…
「携帯?……あ、それは私が送ったヤツですね」
黒子っちが茗子に見せたのは黒子っちの携帯。
さっきオレにも見せてくれたヤツだろう。
小一時間前。
みんなで茗子を捜す事を決めたオレらだったけど…
「あ、でもどこに行くとか聞いてないから、店を特定するのは無理っス」
「お前の彼女が向かったっていう方角も繁華街だしな」
「なにー?最初から手がかりゼロなのー?」
「赤司、何か気付かなかったか?」
「成り行きで出会った人だ。そこまで注意して見てないよ」
「困ったね」
手がかりなんて何もない中で、何軒もある店を回って見るのも時間がかかる。
早速お手上げ状態に陥ったオレを救ってくれたのは黒子っちだった。
「石丸さんなら、きっとカラオケ店だと思いますよ」
「え?なんで黒子っち……」
「今朝送られてきたメールに…」
言いながら携帯を取り出して、そのメールをオレ達に見せてくれた。
『件名:おめでとうございます
黒子さん、お誕生日おめでとうございます。
今日、涼太に誘われていたのですが辞退させてもらいました。
思い出を邪魔するわけにはいきませんからね。
なので、どうぞ仲間内で楽しんでください。
私は、黒子さんの誕生日を別の場所で祝っています。
歌なんて人前で歌いたくないので少し憂鬱ですけど、
黒子さんに捧げる為と言い聞かせてみます。
あ、涼太が少しウザい事になっているかもしれません。
ご迷惑おかけしたらすみません。』
「ウザい、か」
「確かにウザいねー」
「へぇ?ちゃんと分かってんだな」
「黄瀬の彼女にしては、礼儀の良さも窺えるのだよ」
「きーちゃんの彼女なのにしっかりしてる!?」
「注目するのそこじゃないっス!」
ここぞとばかりに連携するんだから。
「そうだったな。歌…と言っているならカラオケだろう」
「カラオケならそう多くねーな」
「手分けして捜してみるのだよ」
「りょーかーい」
「では、行きましょう」
本当…連携するんだからなぁ。
仲間の温もりを噛み締めながら、捜索に出た。
それでもカラオケ店なんていっぱいあって、取り合えず片っ端から入っていくしかなかった。
「こっちにはいないのだよ」
「こっちもダメ~」
「私の方も」
やっぱりこんな都会じゃ無理なのかもしれない。
「残るは向こうだな」
「行こうか」
「はい。………あ」
「ん?黒子っち?どうしたんスか?」
何かを見つけたらしい黒子っちを見れば…
「いました!」
そう言い残して、走り出した。
「え?ちょ、黒子っちー!?」
「テツ!…ヤベーぞ、この人混みならすぐ見失っちまう」
「早く追うのだよ!」
「えー?走るのー?」
「仕方ないな、行こう」
「テツくーん!待ってー」
オレ達は、あっさり人混みに消えた黒子っちを必死で追った。
「そして今、愛の導きでオレ達は逢えたんス」
「わざわざすみませんでした、黒子さん」
「いえ。何事も無くて良かったです」
「………なぁんで無視するんスかぁ!」
2人とも最近特に似てきてる。オレへの対応が。
「反応しづらい事を言うからです」
「ホントのコトっスから」
「あー、はい」
冷めた目!黒子っちも!
「ん?…今の話だと他の皆はどうしたんですか?」
「………多分、どこかにいるっス」
「連絡取りましょう」
黒子っちが携帯でみんなに連絡を取ってくれる。
あの人混みではぐれたんだよなぁ。
オレが確認出来たのは、青峰っちがキャバ嬢に見とれて、緑間っちがラッキーアイテムを落としただかで立ち止まって、紫原っちがスイーツ店に視線奪われて、赤司っちがキャッチされかけてた女の人を助けて、桃っちが単純に遅れてた…ってところだ。
………みんな、色んなもんに惑わされすぎっス。
「黄瀬君」
「あ、連絡取れたっスか?」
携帯をしまいながら見てくる黒子っちに聞けば、黒子っちは一つ頷いた。
「赤司君に連絡した所、ストバスコートに集合だそうです」
「それが一番いいっスね」
お互いを捜し合うよりその方が確実だ。
「じゃあ…行こう?茗子」
「え?私も行くんですか?」
「当たり前じゃないっスか」
「でも、私は中学時代の同級生ではありませんから皆さんの集まりを邪魔する訳には…」
「もー…この騒動は茗子が起こしたんスからちゃんとみんなに挨拶するっス!」
「元凶は涼太ですよ」
軽く睨まれた。
ヤキモチ妬いてくれたのは嬉しいけど、機嫌悪くされるのは嫌だな。
「と、とにかく!みんなも茗子に逢いたいって言ってるし、オレも紹介したいんス」
「…………」
何か考えるような眼差しで視線をオレから黒子っちに移す。
「石丸さんなら大歓迎です」
視線に気付いた黒子っちが柔らかく微笑って言うと、
「では、お邪魔させていただきます」
茗子も黒子っちに微笑み返した。
「なんスかぁ!!それぇ!!」
「なんですか、煩いですね」
「黒子っちと親しくなるとかナシっス!」
「………それって、つまり私を信用していないという事ですか?」
「ちーがーうーっスー!」
そっちに解釈するとかナシだろう!もう!
「では、構いませんよね」
「………もういいっス」
オレの気持ちが伝わってるのか解らないけど、何を言っても言い返されるだけだ。
なら、もう何も言わない!
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