Love affair
Name change
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今にも凍り付いてしまいそうなほど白く吐き出された息を、なんとはなしに眺めながら街を歩いていた。
「………浮気?」
「そう…浮気!」
鼻の頭を赤くさせながら大きく頷くのは、同級のミカ。
同じく鼻の頭が赤いだろう私は、そんなミカをポカンと見詰めた。
「ミカの彼氏がですか?」
「私はお陰様でラブラブ!」
つい先日モデルと付き合い始めたミカの口から浮気してるんじゃないか…なんて話題が飛び出せば自ずとそう思う所だ。が、ミカに不機嫌に全力否定された。
「それは何よりですね。では、浮気とは?」
改めて詳細を聞くと、ミカがぐいっと顔を近付けてくる。
そして、小さな声でひっそりとこう言った。
「だから、浮気してるかもよ?──リョータ」
「………………」
冗談にしては全く笑えない。
本気だとしたら、その根拠はなんだ?
思いがそのまま表情に出たらしい。ミカが私の顔を見るなり真剣な表情で口を開く。
「見たの、この目で」
「何をですか?」
「街中でリョータが可愛い子と並んで歩いてるトコ」
「並んで歩くくらいなら浮気とは…」
「スッゴく仲良さげだったし、結構親密っぽかったし」
「家族では?」
浮気と勘違いする一番のパターンだ。
「ううん。リョータには姉しかいない。あの子はどう見ても違う」
…家族構成も把握済みなのか。
「親しい友達なら多いと思いますよ」
「そりゃね、リョータだしね」
人好きする上、モデルもしている有名人だ。親密な友達くらい居るだろう。
「ただ仲良く歩いていただけではなんの確証もありません」
「でも、あの親密さはただの友達ってレベルじゃなかったね」
「……………」
「アンタ最近リョータといないでしょ」
「お互い忙しいですから」
「それでリョータ、冷めたのかもよ?」
「…………」
「確かめるだけ確かめてみれば?一応さ」
何を確かめるというのか。
確かに最近は会う機会が減っている。
涼太は相変わらず部活とモデル業で忙しい。
私は私でアルバイトを始めたから、放課後の大半はそちらに時間を取られている。
だからといって、浮気?
涼太が?
『──で、もう大変だったんスよー』
「………」
『茗子は早川センパイと普通に会話出来るんスよね?それ、スゴいっスよマジで』
「………」
『………茗子?…おーい、聞いてるっスかぁ?』
「……はい。聞いてますよ」
『…どうかしたんスか?なんか元気ないっスね』
「いえ、なんか眠気が急激に…」
『え?眠たくなっちゃったんスか?はは、可愛いっスね』
涼太からの夜の電話は、こうして頻繁にかかってくる。
その声に疚しさなど微塵も無い。
浮気をしている人間が、ましてや嘘を吐けない涼太がここまで普段通りに出来るだろうか?
『じゃあ、今日はここまでっスね』
「………はい」
『あ、そだ。茗子』
「なんでしょう?」
『明日の放課後って空いてるっスか?』
「明日ですか?空いてますが、どうかしたんですか?」
『オレも明日は部活も仕事もないから、放課後デートしよ?』
「…………はい」
『ん。じゃあ、また明日』
「…お休みなさい」
『おやすみ、茗子』
「……………」
切れた電話をサイドテーブルに置いて、ベッドに寝転ぶ。
もし……もしも、ミカが見たという女と涼太が付き合っているのだとしたら…
この場合、浮気はどちらになるんだろう?
相手の方が好きだと言われたら、浮気相手は私になるのではないだろうか?
もし、それが事実になってしまったら…その時私はどうなるだろう…。
そもそも涼太は、二股を掛けられる程の器用さを持っていただろうか。
直接確かめてみるべきだろうか…。
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