ご依頼は計画的に
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「お邪魔しまーす」
と、入るは万事屋銀ちゃん。
勝手知ったるや玄関から居間に入ると、最初に白くて大きなもふもふが眼に飛び込む。
「あ、凛子さん。いらっしゃい」
はたきをパタパタとかけていた新八君が笑顔で迎えてくれる。
「凛子?また来たアルか」
白くて大きなもふもふ──定春からにょきっと生えた神楽ちゃんがこちらに歩いてくる。
「こんにちは。あ、コレ酢昆布とアイス」
「あはっ、凛子は分かってるアルな!」
「いつもいつもありがとうございます」
二人に手土産を渡して、ふと部屋の中を見回す。
「銀さんは?」
この家の主の姿が見えない。
「銀さんなら珍しく入った依頼で出かけてます。銀さんに用事でしたか?」
「新八、そこは察してやれヨ。女が男を訪ねる理由なんて…愛、に決まってるぜ」
ハードボイルドに決めた神楽ちゃんは、早速酢昆布を開けていた。
「違うから!依頼だから!」
「依頼ですか。僕たちじゃ頼みづらい事ですか?」
「おい凛子、万事屋は私たちも含めて万事屋ネ。力量不足とか思ってんじゃねーぞゴルァ!」
「思ってない思ってない!確かに銀さんだったら手っ取り早いと思ってたけど、それなら二人に話聞いてもらおうかな」
「おう、話して楽になんな」
私の肩を叩く神楽ちゃんだけど、キャラが定まってない。
まぁいいか。ソファーに座ると新八君がコーヒーを淹れてくれた。
一口飲んでから本題を切り出す。
数日前、実家からお見合いの話が舞い込んで来た。
写真まで送られて来て、相手方も乗り気だなんて言われて。
勿論断った。付き合ってる人がいるからって。
親は、それなら仕方ないと話を終わらせてくれたけど…
「………そのお見合い相手がしつこく連絡してくるようになったの」
「あー………」
新八君が他人事じゃないような苦い顔をする。
「会いたい、話がしたい、お互いを知れば解り合える、デートしよう………もうウザイったらありゃしない!」
「心中お察しします」
「だからね、直接会ってはっきりさせようと思って」
「会うんですか!?」
「ビシッと彼氏いるから!って言えば終わるかなって」
「なるほど、それで銀さん」
「会うっていつアルか?」
「今日」
「今日おおぉぉ!?いくらなんでも急すぎるでしょう!」
「けど、もう約束取り付けちゃったし。13時に」
「銀さんがいつ戻るかなんて分かりませんよ?」
少し慌てる新八君だけど、反して神楽ちゃんは腕を組んで静かに黙考していた。
「だよね。仕方ないから一人でなんとかしようかな」
腹を括って立ち上がり、万事屋を後にしようとした時。
「ちょっと待つアル」
黙考していた神楽ちゃんに呼び止められた。
「万事屋を頼ってきてくれたお客さんを手ぶらで帰すわけにはいかないネ」
「神楽ちゃん」
「凛子、お前の頼み…この万事屋グラさんが引き受けた」
「久々のグラさんんん!」
トンと胸を叩いて私の前に立つ神楽ちゃん、改めグラさん。
有り難い事ではあるんだけど、一抹の不安がよぎるのは何故だろう…。
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