出来ることは適材適所で
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満月の大きな夜だった。
見上げる月が妖しく光る。
どこかで警笛が鳴り響いている。
最近横行している辻斬りが出たのだろうか。
次第に陰る空。真っ暗な空から大きな雨粒が落ちてくる。
逃れるように窓を閉めた。
私がそれを知ったのは、全てが終わった後だった。
「もう大分善くなりましたが、安静にしていてくださいね」
「わーってるよ、どこまでオカンなんだ」
「神楽ちゃんはしばらくウチで面倒見てますから」
「そこは頼むわ」
玄関先で玄関から顔を出す銀さんと玄関を出てくるお妙ちゃんのやり取りをタイミング悪く見てしまった私は、そこで立ち止まった。
新八君の姉だからあの出来事にもすぐに対応出来た。新八君の姉だから纏めて世話を見れた。
新八君の姉だから………ただそれだけ。
だけど、たったそれだけの差で大切な人の大事に立ち会えなかった事がこんなにも悔しくて仕方無い。
「あら、凛子ちゃん」
呼ばれて視線を戻せば、お妙ちゃんと銀さんがこっちを見ていた。
「ちょうど良かった。凛子ちゃんに銀さんの監視を頼みましょう」
「監視ってどーいう意味だ」
「そのまんまですよ」
お妙ちゃんの余裕のある態度に苛立ちが募る。
「ねっ。凛子ちゃん。あとはお願いするわね」
私の肩をポンと叩いてウインクして立ち去る姿にも、嫌な感情を引き摺り出される。
「まあ、あがれや」
「………お邪魔します」
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