第一印象が最悪だとあとは上がるだけ
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坂田銀時という一人の男が、万事屋なる何でも屋を開業して程無くの頃だった。
かぶき町でたった一人、犬の散歩やら浮気調査やらをしながら細々と生きていた。
少しずつ名前も広がり出した頃、万事屋に新たな仲間が加わる。
最初は二人だったのが、一人、また一人と増えていった。
だが…
「俺ってなんなの…?万事屋ってなんなの?」
白昼堂々と千鳥足で歩く銀時。
ブツブツと文句を垂れ流しながら大通りをよろよろ歩く。
「少なくとも婚活会場じゃねーのは確かだバカヤロー」
通行人が白い目で見てくるも酔っ払いには関係無いらしい。
ずーっとデカイ独り言を漏らし続ける。
そんな中だった。
「やめて!離して!」
「大人しくしろ!」
「イヤ!」
「いいから黙って言う事訊け!」
銀時の眼に、腕を掴まれて引っ張られる女と、無理矢理女を連れて行こうとする男の姿が映り込んできた。
周囲が遠巻きでヒソヒソと見詰める。係わりたくない者はそそくさと通り過ぎる。
「誰が訊くもんかっ!」
「このっ…優しくしてりゃあ調子乗りやがって」
男が空いている手を振り上げた。
周りは見ているだけで助けようなんてしない。
誰だって面倒は避けたい。
男の振り下ろされた手に、女はぎゅっと眼を閉じる。
バキィ───!
鈍い音がした。
だが、女は自分に何も無かった事と、それなら殴るような音はなんだったのか怪訝に思いながら恐る恐る眼を開けた。
すると、視界一杯に見慣れぬ背中があった。
「嫌がる女に手ェ上げるたぁ、男じゃねーなぁオイ」
その背中が告げる先には、自分を掴んでいた男が頬を腫らして倒れている。
この男がやったのかと女が直ぐに気付いて見上げれば、その男はゆっくりと振り返ってきた。
「大丈夫か?」
なんて優しく見てくる瞳は、まるで死んだ魚のよう。
太陽に煌めく髪は、もじゃっとしてる。
女は、眉根を寄せた。
「何があったか知らねぇが、もう怖い事はね──」
バキィ!
「ぶべら!!」
女に向かって粋に決めていた男は、先程の男が倒れるすぐ傍まで勢い良く吹っ飛んだ。
「ッテーな!何しやがる!」
頬を押さえて女を睨む。
「アンタが兄さんに何してんだ!この天プァァ!」
拳をわなわな震わせて怒鳴る女。
「俺はお前を助け、て……………え、兄さん?」
その言葉に、隣で伸びている男と睨んでくる女を交互に見比べた。
確かにどことなく雰囲気が似ていた………。
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