マユミ
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人々が活動を起こし始める朝。八神達は、眠りに就いた。
太陽が沈み出す頃まで事務所の長椅子で寝ていた八神は、扉の開く音でゆっくり目を覚ます。
西陽が眩しい夕方、海藤が鍵を開けて部屋へと入ってくる。
八神が寝ているのは儘ある事なので、今更気にも留めないし、下手に起こそうともしない。
けれど、今日はちょうど起きたらしい。軽く挨拶を交わして、海藤は対面する一人掛けの椅子に座った。
覚醒した八神も身体を起こして、コーヒーでも入れようと簡易キッチンへと向かった。
二、三歩で着くそこで早速コーヒーを作る。
出来上がった頃合にノックの音も無く事務所の扉が開いた。
「おまたせ~」
軽い口調で入ってきたのは、杉浦。
八神がカップを片手に長椅子に座ると同時に、杉浦もその隣に座った。
揃った事だし早速話を始めるか、と八神は一旦コーヒーで口を濡らした。
「それで、あの人が本当の事を言ってるのかはっきりさせるって、どうするの?」
「まず、マユミって人が実在するか確かめる」
杉浦の問いに答えてから、八神は続ける。
「そして、話の真偽や詳細を聞く」
「でも、口裏合わせてたら?」
「どうしても信じられないようなら、尾行でもして観察すればいい」
「The探偵って感じだね」
探偵だからなと軽く笑って八神は、杉浦から海藤に視線を移した。
「GOLDIrisって店の場所、わかる?」
「おうよ。確か、リーズナブルな店だったはず」
海藤は、自信たっぷりに笑みを深める。
「それじゃあ、これから行こうか」
八神がすっと立ち上がると、座ったままの杉浦が八神を見上げる。
「僕はどうすればいい?ここで待ってる?」
「お前も来いや杉浦」
答えたのは海藤だった。立ち上がり、ニッと笑って杉浦を見下ろす。
え?と海藤に視線を移した杉浦に、今度は八神が笑みを深めた。
「そういえば、奢ってほしかったよな?俺が持つから好きに飲んでいいよ」
「いや、奢ってほしいのは焼肉…」
「よっし!それじゃあ行こうぜ!」
抗議の声は、海藤の大きな声にかき消された。
八神と海藤が扉の方へ向かうのを見て杉浦は小さく息を吐く。
こうなったら話を聞いてくれる空気じゃない。仕方なく自分も重い腰を上げて、大人しく二人について行くしかなかった。
陽が沈んでからが神室町の本番だ。
明かりが点き始めた店達に、多くの人が行き交う。夜が深まるにつれ人気は増えていく。
そんな中に溶け込んだ八神達もまた夜の店へと向かっていた。
「ここだ。GOLDIris」
海藤の案内でたどり着いたキャバクラ《GOLDIris》。この街では、特別珍しくもないキャバクラの一つだ。高級店というわけでもなく、初心者でも入りやすい雰囲気を醸している。
じゃあ入るか、と慣れた様子で海藤が先陣を切って店のドアを開けた。
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