芸術爆発
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「蓮の部屋はいいな」
「ん?」
「いつもじゃがりこが置いてある」
「………まぁな」
「今日も美味しく頂いているぞ」
「てか、それ私が買ったやつだからね!」
「こないだのは俺だかんな!」
「ご自由にどうぞじゃないのか!?」
「だとしても、それなら俺のだから」
「…なんて事だ!」
ある休みの日。祐介は、ルブランの2階──屋根裏部屋で驚愕の事実を知った。
一つのテーブルを囲み、部屋の主である蓮と友人・竜司、杏と共に雑談を繰り広げていた。
テーブルには、パーティー開きの袋菓子や個装のお菓子、それにペットボトルが沢山置かれている。
その内の一つのお菓子にじゃがりこを見つけ、祐介は躊躇無く手に取って食べていた。
作戦会議の時もそうだ。いつもテーブルにあるから一人でポリポリ黙々と食べる。
今も他には目もくれずにそればかり。
先の言葉通り、好きに食べて良い物だと思っていた。
だが、杏と竜司からの言葉に衝撃を受けた。
彼らが、今目の前にあるお菓子の山の一つとして持参していたのだと気付かされた。
「いや、もう祐介の為に買ってるようなものだから、そんなに驚かなくてもいいけど…」
蓮の言葉にもショックを隠せない。
「す、すまない……まさかお前達が買い与えてくれていたとは露知らず…」
「だーから、いいって!好きなだけ食えよ」
竜司の軽いが優しさ溢れる言葉に祐介は温かい気持ちを抱く。
「竜司……蓮も杏も、ありがとう」
今一度頭を下げてお礼を述べると、彼らは呆気に取られながらも顔を見合わせて肩を竦めて笑った。
「あ、でも俺にもよこせよ。じゃがりこ」
竜司が手を伸ばしてくると、祐介は上げた顔をしれっとさせて告げる。
「もう全部食べた」
竜司の方に空になった容器を見せる。
「あ、テメッ!」
「そっちにストックあるよ」
すかさず蓮が指差せば、その先の棚にタワーになったじゃがりこを見つけた。
「おお!素晴らしい構図だ」
じゃがりこタワーを見た祐介が目を輝かせてスケッチブックと鉛筆を取り出す。
そして、シャーッと何かを描き始めた。
「じゃがりこタワーから着想って……」
杏が溜息混じりに呟くと同時に階段から足音が上がってきた。
祐介以外のみんながそちらを見ると、ルブランの店主──佐倉惣治郎がトレーを持ってきた。
「ほら、コーヒー淹れてやったぞ」
「あ、ありがとうございますっ♪」
コーヒーカップが並ぶトレーをテーブルへと置くと、杏が嬉しそうにお礼を言う。
「お前さんはコーラだったな」
「ッス。あざーっす」
コーヒーカップ3つとコーラの入ったグラス1つを見て、竜司も笑顔でお礼を述べる。
「ありがとう。惣治郎さん」
「おう………」
蓮からもお礼を貰って、惣治郎はふと黙々と作業している姿を見つけ、可笑しそうに鼻を鳴らした。
「芸術家ってヤツはどいつもこいつもこうなのかね」
「え?」
「下にもいるだろ?仲間外れは良くねぇ…って言ってやろうかとも思ったが、あの嬢ちゃんもなかなかだな」
総治郎が呆れ半分で告げると、蓮達は顔を見合わせる。
そして、可笑しそうに小さく微笑った。
「飲み物どうだって聞いてもなーんにも答えやしねぇ」
「作業に没頭してると周りを遮断するらしい」
「大した集中力だな」
蓮が教えると惣治郎は、笑みを一つ残して階段を下りていく。
「私も下りてこよーっと。あかりの様子見てくるね」
コーヒーカップを持って、杏も階段を下りていく。
「アン殿、ワガハイも」とモルガナも後に続いた。
惣治郎が話していた嬢ちゃんとは、あかりの事だ。
祐介と共にルブランへと訪れ、そしてみんなが上へと上がる中、一人カウンターに座ってスケッチを始めた為、蓮達は放置する事にしていた。
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