居場所
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
祐介の生活も大分落ち着き、怪盗業に本腰を入れようとした頃だった。
連絡が途絶えて数日。何処で何をしているのだろうと思っていたあかりから着信があった。
『色々と終わったよ~』
なんて暢気な声に相変わらずだなと呆れた。
祐介は、話があるとあかりを四軒茶屋駅に呼び出した。
駅で彼女を待っている間、思いの外緊張している自分に驚きながら思いを巡らせた。
あかりが改札を出てくるのを見つけ、顔を見れば意外といつも通りに振る舞えている事に杞憂だったなと自嘲した祐介は、あかりと歩き出す。
向かう場所は、ルブラン。
ルブランに着くと、扉を背にして祐介はあかりの前に立つ。
不思議そうに見上げるあかりの両手を優しく掴むと、
「合図するまで眼を閉じていてくれ」
と告げた。
頭にハテナを浮かべながらも頷いたあかりは、やんわりと眼を閉じた。
それを確認した祐介は、あかりの手を引いてルブランの扉を背中で開けた。
中へと入ると、ゆっくりとあかりを導く。
そして、立ち止まるとあかりの背後に回って肩に手を乗せた。
「あかり…眼を開けていいぞ」
祐介の声が後ろから降ってくる。
これは一体なんなのだろうと疑問を抱きながらもあかりは、そっと瞼を上げていく。
俯き気味の視線に捉えたのは、まずは床。
「何?一体どうし………………………」
聞きながら視線を上げていくと、その瞳に一枚の絵画が飛び込んできた。
その瞬間、呼吸すら奪われたような感覚に襲われる。
見開いた瞳が【母の自画像】を綺麗に映す。
「あの男が【サユリ】と名付けた作品の、本来の姿だ」
柔らかい声が降ってくるが、あかりは反応を示さなかった。
祐介は、小さく苦笑する。
そして、後ろからそっとあかりの顔を覗き込んだ。
思った通りの驚きの表情をしていて、可笑しくなる。
そんな二人を、テーブル席の方から微笑ましく見守る仲間達。
なんとも穏やかな時間だ。
「…………コレ、どうしたの?」
ようやく我に戻ったあかりが祐介を振り返る。
「あかり、これから話す事をどうか信じて聞いてほしい」
真っ直ぐ見つめる瞳に精一杯の誠意を込めて、祐介は全てを話した。
蓮達にも時折助言を受けながら、パレスの事、ペルソナの事、マダラメの事、そして怪盗団の事───
あかりは、表情を変える事なくただ黙って聞いていた。
1/4ページ