彼のキスはいつも短い
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「なまえちゃん、今日はいつもより可愛いね」
この人は呼吸をするように女の子を褒める。
「どこがいつもと違うと思います?」
「どれどれ…」
ソファの向かいでお金を数えきった彼は書類にペンを走らせたあと、私の隣へと腰かける。
ゆるいようなけだるいような独特の雰囲気を纏っている彼はまじまじと私の顔を見つめ、するりと頬に触れた。
「口紅、変えたでしょ」
「正解。初めて買うブランドのだからどうかなって」
「じゃあ、ちょっと俺にキスしてみてよ」
「はい?」
さらりとおかしな言葉が聞こえた。
ちょっとそこのティッシュ取って、みたいな言い方でそんなにカジュアルにキスをせがむ男が、いまだかつていただろうか。
「だから、俺にキスしてみてよ」
「なんでそうなるの…」
「ほら、口紅って落ちやすさとか気になるでしょ?だからほら、はい」
そう言って目を瞑って少し唇を突き出す間抜けな顔をする秋山さん。彼の頬を両手で挟むように優しく叩いた。
「おかしいな、大体の子はこれでキスしてくれるんだけど」
「へぇ~、色んな子に言ってるんだ?」
「あはは、参ったね」
これが彼の通常運転。だから私も、彼への気持ちは言葉にしない。
この人が過去に抱いた女の数だけ嫉妬していたらきりがないのも、わかっている。
それなのに、この男はいとも簡単に私の懐へもぐりこんでは心を蝕んでゆくのが、凄く憎らしかった。
「でもやっぱり、目の前にこんなに可愛い子がいたらキスしたくなるよね?」
ゆっくりと彼の唇が近づいて重なった。少しだけかさついた感触が離れて、目が合う。
「口紅、綺麗なままだよ」
「何回キスしたら、落ちるかな」
頬を挟んでいた手を離し、そのまま腕ごと彼の首へと絡めて今度は私からキスをする。
――いつかこの人が、私だけを見てくれたらいいのに。
タイトル:確かに恋だったより拝借
この人は呼吸をするように女の子を褒める。
「どこがいつもと違うと思います?」
「どれどれ…」
ソファの向かいでお金を数えきった彼は書類にペンを走らせたあと、私の隣へと腰かける。
ゆるいようなけだるいような独特の雰囲気を纏っている彼はまじまじと私の顔を見つめ、するりと頬に触れた。
「口紅、変えたでしょ」
「正解。初めて買うブランドのだからどうかなって」
「じゃあ、ちょっと俺にキスしてみてよ」
「はい?」
さらりとおかしな言葉が聞こえた。
ちょっとそこのティッシュ取って、みたいな言い方でそんなにカジュアルにキスをせがむ男が、いまだかつていただろうか。
「だから、俺にキスしてみてよ」
「なんでそうなるの…」
「ほら、口紅って落ちやすさとか気になるでしょ?だからほら、はい」
そう言って目を瞑って少し唇を突き出す間抜けな顔をする秋山さん。彼の頬を両手で挟むように優しく叩いた。
「おかしいな、大体の子はこれでキスしてくれるんだけど」
「へぇ~、色んな子に言ってるんだ?」
「あはは、参ったね」
これが彼の通常運転。だから私も、彼への気持ちは言葉にしない。
この人が過去に抱いた女の数だけ嫉妬していたらきりがないのも、わかっている。
それなのに、この男はいとも簡単に私の懐へもぐりこんでは心を蝕んでゆくのが、凄く憎らしかった。
「でもやっぱり、目の前にこんなに可愛い子がいたらキスしたくなるよね?」
ゆっくりと彼の唇が近づいて重なった。少しだけかさついた感触が離れて、目が合う。
「口紅、綺麗なままだよ」
「何回キスしたら、落ちるかな」
頬を挟んでいた手を離し、そのまま腕ごと彼の首へと絡めて今度は私からキスをする。
――いつかこの人が、私だけを見てくれたらいいのに。
タイトル:確かに恋だったより拝借
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