雑記

【裏話】ちいさな宝石(おまけSSあり)

2021/08/16 12:03
夢小説語り
本編はこちら→ ちいさな宝石

この時点ではホメロスはビオラのこと「君」と呼んでいて、ここ何気に大事なんですね。「ブロンドとブルネット」では「おまえ」になっていて、その間に呼び方が君からおまえに変わる出来事があるんですが……まだ上手くまとまっていません。

この話はもともとホメロス視点で書いていたものをリメイクしたものです。当時はまだちゃんと夢設定を明かしきっていなかったので、文中に無駄に長い回想シーンを入れちゃってましたね。書いてるときはもちろん楽しかったですが、あの拙い文(今でも大して上手くはないけど)が多少なりとも人目に触れてたと思うと恥ずかしい限りですw 昔もやっぱり夢関係のつながりはなかったから、ちゃんと読まれたかどうかは定かではないですけど。
ちなみに、そのときの文は事故で消え去りましたのでもうないです。残念でぇす。

ビオラ視点になったことで、箱自体がプレゼントだと思ったり、ホメロスが慌てた意味が本当にわからなかったりと、だいぶ彼女にボケさせる結果となりました。ただブローチを髪飾りだと思うくだりだけはリメイク前からありました。

さてここでおまけのSSをどうぞ。本文に追加してもよかったんだけど、完全に蛇足的な内容だし、わざわざここまで見てる奇特な方にだけ読んでもらいたい感じなので……w

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 夫の選んだブローチが妻の襟元を飾る少し前、ホメロスはデクの店の前で立ちつくしていた。思いのほか仕事が早く済んだので妻に土産でも買って帰ろうとしたはいいものの、なかなかその扉を開けることができない。ドアの取っ手を掴んだまま固まり、あとから来た女性客に扉を開けて道をゆずった際に自分も入ってしまえばいいのに、ついまた閉めてしまうような有様だった。
 そしてこのとき、「鎧を着た人相の悪い男が上層の店の中を睨みつけているので怖くて入れない」と城に通報があったことは、ホメロスは当然知るよしもない。
 なんとか店に入ったその人相の悪い鎧の男は、すぐさまひとつの品物に目を奪われた。質素な雰囲気ながらも上品な形状のブローチだった。妻の好みはまだ把握しきれていないが、これなら彼女も気に入ってくれそうだと思った。
 ブローチの宝石の色は、青、緑、紫……とさまざまあり、彼はその中から迷わず金色を選んだ。この色がもっとも、黒い髪に黒い服を纏う妻──なぜ黒に黒を合わせているのかは、このときはまだわからなった──に映えるであろうと判断した。
 こうして、贈り物を包んでもらい上機嫌で城に戻るも、今度は妻の部屋の扉をノックすることができない事態に見舞われ、ホメロスはグレイグに頭をはたかれるまで、扉の隙間から読書をする妻のうしろ姿を見守り続けた。
 さて、ホメロスのあの狼狽えぶりを見てからここまで読んだ読者諸君はすでにお気づきであろうが、彼の無意識の中に眠る、妻に対するえげつない独占欲が、自身の瞳と同じ色を選ばせたことは言うまでもないだろう。しかも、妻に指摘されてようやく気づいたのだから始末に負えない。
 しかし、そこで追いつめられるような彼ではなかった。まさか自分の奥底にあるほの暗い気持ちが筒抜けになってしまったのではないか、という不安を握りつぶした彼は、あえてああいう言い方をしてその場をしのいだのであった。あれではかえって本音を吐露してるのでは、と思われるかもしれないが、あそこまであからさまな言い方をされると逆に人はああそうなんだなと思うものなのだ。それを瞬時に判断した、まさに知略の軍師による名案である。

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