ラブラブ期
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剣の休息
「あのう、ホメロス様」自室に戻ったビオラは困惑していた。「何してるんですか?」
「見ればわかるだろう」困惑の原因が答える。「ベッドで寝ている」
訊き方がまずかったとビオラは反省した。「どうしてわたしのベッドで寝てるんですか」
「私の部屋はどういうわけか廊下のド真ん中にあるからな。人がバタバタ通る音でうるさいんだ」自分の部屋なのに休むに休めない、とホメロスはあくびをした。
だからといって何の断りもなしに妻の部屋のベッドを占領するものだろうか。しかし、何かと仕事を抱えがちだった夫が自主的に休息を取るようになったことは喜ばしい。それも、以前はソファで窮屈そうに仮眠していたのがベッドで身体を伸ばせるようにまでなっている。小さくとも大きな進歩だ。
そう考えたら、妻のプライバシーを侵したのを責める気はなくなった。好きなだけゆっくり休んでくれればいい。ビオラはソファに座り、書庫から持ち出した本を開いた。
「……おい」本の世界に入りかけていた彼女を、ホメロスが引き戻す。
「何ですか?」
「そこにいられると寝にくい」彼が手招きをする。「こっちに来い」
ここはわたしの部屋なのにと思いつつも、ビオラはしぶしぶベッドに移動した。「この辺でいいですか」ベッドの下側、ホメロスの足元に腰かける。
「そうじゃない。おまえも横になれ」
「え」寝ながら本を読めというのか。「わたしは眠くないですよ」
「……いいから」ホメロスは少しだけ声を抑えた。「ぐっすり眠れないんだ……おまえが傍にいないと」頬を染める彼の顔からは、いじらしさすら感じる。
尊大なホメロスにここまで言わせたことが妙に嬉しい。そういうことならばとビオラは本を閉じ、彼の隣に横になった。彼はすかさず彼女を抱きしめ、自身の胸の中におさめる。ほどなくして、彼が寝息を立て始めた。
ホメロスの抱き枕になったビオラは、こっそり彼の首筋に顔を寄せた。今はいつもの薔薇の香水ではなく、清潔感のある石鹸の香り。その奥で、ほのかに男臭いにおいがする。けれど不快ではなく、むしろ心地いい。
彼は今日も太陽の下で鍛錬に励んでいたのだろうか。引き締まった上半身をあらわに剣を振り下ろす彼の姿を思い描く。汗が隆起した筋肉を伝って滴り落ちる、その様すら美しいと見る者の心を奪う。
デルカダールを護るために戦い続ける騎士が、今は自分を抱きしめて眠っている。普段は剣を振るう彼の逞しい腕の中にいられることが、ビオラにはこの上なく幸せだった。
願わくば、彼にとっても同じだといい。