ラブラブ期
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雨の日は夢うつつ
激しい雨が降り続いている。
時刻は正午をとうに過ぎていたが、ホメロスは未だに寝間着姿のままベッドの上にいた。彼の金色の目が、灰色にくすむ窓の外を恨めしそうに見つめている。
仰向けに寝転がる彼の上では、ビオラが静かに寝息を立てていた。彼女は昨夜遅くまで起きていたわけではない。今朝からの急な大雨によって予定を台無しにされ、半ば自棄になった夫を慰めるがごとく、彼の欲求を受け止めていたのだ。
今日は妻と遠出をする、とかねてから計画を立てていた。この日には絶対に仕事が入らないようにあらゆる面で気を配り、来たる日を指折り数えながら職務に身を入れた。それがこの有り様である。職業上、想定外の出来事には慣れているつもりだったが、それでもショックには変わりなかった。自然がもたらす脅威の前では人間はひたすらに無力なのだと、改めて思い知らされた。
妻にも申し訳ないことをした。有意義に過ごせるはずだった貴重な休暇を、午前中から文字通り貪るように交わり続けるなどというすっかり堕落したものに変えてしまった。せめてもう少し気の利いた代替案を思いついていれば、惰眠を貪らせることもなかっただろうに。
「……ホメロス様」ふいに、ビオラが呼んだ。消え入りそうな声だった。
ホメロスは窓から視線を戻す。彼女もこの事態が悲しいのか。「どうした?」しかし、それきり返事はない。耳を澄ますとまだ寝息が聞こえる。寝言だったらしい。
「……ホメロス様……」再び、眠ったままのビオラが呼ぶ。
「何だ」これも寝言だとわかっていたが、一応返事をする。
「…………もう食べられません……」
ホメロスは思わず吹き出した。おおかた、大好物の肉をほおばる夢でも見ているのだろう。そして、その様子を夫が──少し呆れながらも──見守っている。それにしても、もう食べられないとはなんと月並みな寝言か。
だが、夢の中で彼女が自分と楽しく過ごせているのなら悪くない、とホメロスはビオラの髪を撫でた。