ラブラブ期
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安らぎ求めて
夫が倒れているのを見て驚かない妻がいるとしたら、それは良くも悪くも肝がすわっているか、あるいは、ほかでもない妻自身が倒れさせたからだろう。
ビオラはそのどちらでもなかったので、ベッドのすぐそばでうつぶせに倒れているホメロスを見るなり悲鳴をあげそうになった。突然死、という言葉が頭のなかをかけめぐり、心臓が早鐘を打つ。それでも、城中が大騒ぎになる前にまず自分がしっかり確認しなくては、と思えるだけの冷静さは残っていた。
ビオラはホメロスのそばに膝をつき、彼の口もとにおそるおそる耳を寄せた。すぐに規則正しい呼吸が聞こえてきたので、ひとまず安堵した。よく見れば背中も上下している。死んでいるのでも意識を失っているのでもなく、ただ眠っているだけのようだ。ビオラは深く息を吐いた。
それにしても、なぜこんなところで寝ているのか。ベッドなら目の前にあるし、彼がよく仮眠をとっているソファからは離れすぎている。普段の彼の寝相からして、ソファから転がり落ちた上にそれなりの距離を移動してしまったとは考えにくい。ビオラは眠りこけている夫の身体に上掛けをかけると、部屋のなかを見回した。
特に変わった様子はない。強いて言うなら、机の上に書類の束が乱雑に積まれているぐらいか。その山の高さからして、彼が直前まで仕事をしていたらしいことがうかがえた。
ならばなおさら、ホメロスの身体はソファの上にないとおかしい。だが、そこには脱ぎ捨てられた彼の上着があるだけだった。
そこでビオラは思い出した。いつもソファで身体を折り曲げて休む彼を見かねて、珍しく注意をしたことがあったのだ。ソファでは身体を痛めるから、ちゃんとベッドで寝たほうがいいと。
もしかすると、睡魔と戦いながら書類仕事を終えた彼もそのことを思い出したのではないか。そして、言いつけ通りベッドで寝ようとしたところで限界に達してしまい、現在に至るといった具合か。
あのときはビオラの言葉をうるさそうにしていたが、一応肝に銘じておいてくれたらしい。ビオラは瞼が落ちそうになりながらもベッドを目指すホメロスを想像して、くすりと笑った。
しかし、ソファの誘惑を振りきってまでベッドへ向かったのに、結局は床の上で力尽きてしまったのだと思うと、なんだかおかしくてたまらない。
依然として眠り続ける夫の髪をなでてから、ビオラは静かに部屋をあとにした。
しばらくして、ホメロスの部屋からグレイグの野太い悲鳴が城中に響き渡った。