コーヒーカップの底

映画のはなし

2025/10/08 06:42
雑記映画
9月も何もありませんでした。
本当に、これはひどい。
なので映画の話をしようと思います。


・シネマイレージカードの話

フィルマークスの方を覗いてもらえれば分かるのですが、今月はそこそこ映画見ました。
私はトーホーシネマのシネマイルカードを持っているので、トーホー一筋だったのですが、ポイントの改正に伴い、ミニオンイオンカードを作りました。これで割安で映画が見れるぞ!(ミニオンイオンカードは、イオンシネマにて年10回まで映画1100円で見れる特典が付く。またワタシアターに登録すれば会員割引が効いて大変お得だぞ!)

分からない方にお伝えすると、以前のトーホーシネマのポイントは映画1本ごとに1pt獲得。6pt溜まると映画1本タダで見れるというもの。
そのポイント制が改正され、映画館で使用した金額に比例してポイントが加算されるようになった。(まだ何ポイントで映画1本分になるかは詳細が出ていないので不明)
要するに、レイトショーやファーストディやレディースディなどで割安価格で映画を見ても1ptついていたのが、金額に比例するようになってしまったので、通常で映画を見るよりポイントが溜まりずらくなってしまったのだ。

だが、そのおかげでポイントの貯め方が多様化した。
フードやグッズなど映画館内で使用した金額もポイントとして加算されるため、グッズも買うしポップコーンも絶対買う。という人はものすごくポイントが溜まりやすくなったものと思われる。
映画廃人からは批判が凄かったが、これはある種の改善で、サービス提供側であるトーホーからすれば映画に金を落とすのではなく、映画館にお金を落としてほしいし、映画館にお金を落とす人にサービスをしたいというのが本音だろう。
例えばレイトショー1100円で何も買わない→110pt
昼間にドリンク800+映画2000円→280pt
(これはあくまで例えなので実際には違うと思われるが、新制度ではこれぐらいの差が生まれるのだ)

レイトショーや割引日、ムビチケなどで予算を削り、飲み食いせずに一人きりで映画を回し続ける気狂いには映画館側からしたら諸手で歓迎できないし、鼻つまみにすることも出来ないめんどくさいやつらだからだ。
できる事なら友達やカップルとパンフレットを買ってポップコーンも大きいのを買って、賑やかに金を落としてくれるライト層にたくさん来てほしいのが本音であり、本数だけは観て金も落とさない気狂いに無料で見せる映画はないのだ。
残当である。ご尤もだ。ぐうの音も出ない。

映画を何度も見るような映画好きではなく、映画はたまに見るといったライト層の方が、映画館にとっては一番良い客となっているのが皮肉の話である。


・日本映画広報についての文句

これと似たような話が、本邦の映画広報の話。
本邦の映画広告は悪く言えば質が悪い。彼らは映画本編の内容とかけ離れ、曲解をしてしまうような広報の打ち方をする事に定評がある。
(有名なのはベイマックス。少年漫画系の内容であるにも関わらず、本邦ではハートフル作品であるかのような売り方を行っていた)

映画広報の中の人へインタビューを行った記事を読んだことがある。
要約すると、映画キチは何もせずとも映画館に来るので、ターゲティングから外し、普段映画を見ない層へ向けた広告を打っているのだという。
すなわちライト層。
極論、広報は映画の内容に添わせる必要はなく、普段映画を見ないライト層の最大公倍数に当たるように広報しているため、子供しか来そうにない少年漫画系よりも、カップルから老人まで大多数が好きそうなハートフル作品などに変えられてるのだそうだ。

最近であれば、ジャンルの表記を避けているというのが話題に挙がっていた。
「サブスタンス」というSF映画で話題だったのが、この映画はホラー映画では?となっていたもの。
広告では近未来(SF)の美をテーマとしたヒューマンドラマ調にされていたものの、実際に見た人から「ホラーじゃないか」と叫ばれて話題に。
実際、映画サイトなどではSFホラーなど記載されており、恐怖的表現がある事は確実である。

よくよく調べてみると、「ホラー」という言葉を避けているとのこと。
そりゃ、ホラー苦手な人は多いから、前述の最大公倍数を狙うならホラーは最も避けるべき単語だろう。
そのおかげか、「サブスタンス」ではホラー苦手な人たちが見に行って初週の評価を落としてしまっている。
(ホラーを匂わせない広報の作り方が上手過ぎた例だろう)

映画の製作と配給は別物で、それぞれ目的が全く違うと分かってはいるけれど、本当にそれでいいのか?と疑問に思う事件だった。

ホラー界隈ではホラーという文言を消し去るのが顕著で、「事故物件」や「変な間取り」は不動産ミステリー。「近畿地方のある場所について」では地方ミステリー。「8番出口」や「きさらぎ駅」は異世界系、脱出系などなど……あの手この手で「ホラー」という単語を避けている。

最悪なのが広告による出オチだ。
「サユリ」に至っては、激強ババアという最強面白カードを広告で切っているため、「サユリ」の核心であり最も面白いシーンを広告で出オチしてしまってるのだ。
これは本当にもったいない。「サユリ」はどうしようもない心霊現象に一家が見舞われるシーンが大半を占めていて、強いババアが覚醒するのは物語後半。ホラーシーンはしっかり怖くて良質なだけに、出オチしてしまっている広告が本当に良くないなぁと思うばかり。
「ドールハウス」もビビッドなピンクや黄色などカラフルに表現してあくまでもポップな売り方をしている。公式SNSでは、呪いの人形であるあやちゃんをアイドル化していたので、本当に目も当てられない惨状だ。


逆に良い広告。評判が良かった広告もある。
それは「スパイダーマン スパイダーバース」の日本広告である。
これは日本だからこそ、良くなった稀有な例でもある。

「スパイダーマン スパイダーバース」はアニメ作品で、海外広告では主人公のマイルズがポップミュージックを聞きながら抑圧された学生生活を送っている時、スパイダーマンに覚醒して事件に巻き込まれていくといった広告で、学生マイルズ少年に重点を置いた実にアニメーションらしいコミカルな作りになっていた。
一方、日本広告では凛として時雨の楽曲「P.S. RED I」をテーマソングとし、スパイダーマンならではの爽快感溢れる戦闘シーンを中心として、主人公マイルズが大きな陰謀に飲み込まれていく、スパイダーマン・マイルズへ重点を置いた疾走感と重厚感溢れるハードな仕上がりになっている。
そのアニメーションでありながら子供向けではない作りが、海外では好評でかなり話題になっていた。(日本版公式PVのYouTubeコメント欄は異例の外国語のコメントが大半で、海外からの人気には頷ける)

ディズニーやカートゥーン発祥の地でもあるアメリカを筆頭に、海外ではアニメーション=子供が見るもの という図式が成り立っており、それは内容がどんなものであれアニメーションである限りメインターゲットは子供であるからだそう。

逆にアニメ文化でいえば日本は非常に成熟しており、老若男女問わずアニメを楽しむ文化的素養が培われている。
そのため、「スパイダーマン スパイダーバース」の日本広告は最大公倍数を考えた時、子供向けに作るよりもちょっとカッコよく大人から子どもまで興味を持てるような映像を作ったのだ。日本においてアニメーションは子どもだけのものではなく、大人も十二分楽しめる作品だからだ。

アニメはホラーと違い門戸が非常に広い。
内容を偽るまでもなく、大人も子どもも自然に触れて楽しむ事が出来るから。
「名探偵コナン」や「鬼滅の刃」「チェンソーマン」など、日本のアニメーション作品の広告は直球そのままで勝負できるほど。これは日本国民のアニメ文化への親密度の高さ所以のものだ。
内容を偽る事も、出オチで客を惹く事もない。この本邦ならではの良さだろう。


・〆

9月中に見た映画で最高だったのは「タローマン 万博大爆発」です。全人類、見ましょう。

進捗は変わらず牛歩。
目標を決めねば動かぬと気づいたので。
10月こそツキファン更新!
年内にクオリア2話公開できたらしたい。
今のところ難しいけれども……。

頑張ります。

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