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コーヒーカップの底

【ネタバレ】アンドロイドは嘘をつかない 完結

2024/11/23 11:22
雑記ネタバレ
長かった。
アンドロイドは嘘をつかない1の作成年月日、2018年10月12日(ファイルの作成年月)
書き終えた日は2024年10月5日(細かなブラッシュアップを除く、実際に書き終えた日)
ほぼ丁度6年間。過去最長のお付き合いとなりました。
その分、文章に歴史を感じるかもしれません。でも、過去一楽しかったのも確かです。
ほぼ他人のブロマンス、楽しんでいただけたでしょうか。楽しんでいただけたら幸いです。

そして一点だけ謝罪があります。

ゲーム本編でクーデターを阻止したRK800の後続機としてロールアウトされたRK900ですが、彼が一万台配備されたのは『国防総省』ではなく『総務省』でした。
謹んでお詫び申し上げます。

私がこれに気がついたのは、ネズビット家襲撃事件を書き終えた後でした。もうダメです。
全部読んだ皆さまなら分かるかと思いますが、今更国防総省を総務省に書き換えるわけにはいかなかったのです……。
歴史改変したまま突き進みました。ご容赦ください。


本稿は、裏話みたいなものを語れればなと思います。
ネタバレもりもりです。よろしくお願いします。



・はじめに

改めまして、6年間。総文字数約20万の『嘘をつかない』シリーズにお付き合いいただきありがとうございました。

素直に言えば、書きたかったものは書けてしまったので、かなり満足と言いますか、満足感がとても強いです。
長いものは大変ですが、自分の好きなものを詰め込んでやりたい放題した上に、書き上げたあとの達成感も得られるという。最高でした。

細かく語る予定もないのでここでお伝えするのですが、セキュリティ会社襲撃事件におけるコナーの電脳戦はただの癖です。癖以外の何物でもありません。
プロット段階ではアレの2倍以上のなんでもありの戦闘シーンが書かれていましたが、さすがに総カットしました。
電脳だから何でもええやろと、ガトリング積んだ戦闘ヘリとかサイバーライフのシステムの防御機構として登場させてました。本当にただの癖です。
これに関してはあまりにも脱線が過ぎるので、書かなくて良かったなって本気で思ってます。

しかし電脳戦は面白そうだなって思うので、アイデアだけは蓄えておこうと思います。


・ゲーム本編後の社会について

この話は三人生存後を書いています。
カーラはカナダへ逃げ、マーカスは平和的にクーデターを成功させ、コナーも変異化しマーカスの勇姿を見届けました。
凄くシンプルに考えれば、犯罪に加担したコナーが警察に復職するのは難しいように感じるのですが、クーデターや革命なんてものは、失敗すれば犯罪者。勝てば官軍なのである。
即ち細かいことは気にしてはいけない。
プロトタイプであるRK800がサイバーライフの任務に失敗しているのに後続機であるRK900がロールアウトしてたり、その1台がDPDに配属されて、ギャビンとセットにされているというのもなんだかもうめちゃくちゃです。
しかし二次創作という一言で全て許される。あまりにも魔法の言葉。

キャラクターにとっては平和な設定でスタートさせましたが、社会はそうではありません。
人々の心はそう簡単に変化を受け入れることは出来ません。
革命を成功させたマーカスという存在がある以上は、人類側はアンドロイドに対する一定の理解を見せる必要があります。しかしそれは建前でしかありません。
あの世界のアンドロイドをただのロボットとしてでしか使っていなかった人たちにとっては、洗濯機や掃除機が突然人権を主張してきたとしか思えないのです。洗濯機や掃除機だとしか思っていなかった人たちが「これから彼らは人間です。人らしく取り扱ってください」と言われてすぐに納得は出来ないでしょう。
さらに付け加えるなら、アンドロイドは人々の生活圏を脅かしてきました。アンドロイドの台頭による労働者の失業問題は原作でも度々取り沙汰されていました。
それらの反発の声は決して少数ではないように感じます。むしろ、大多数だと。そういった社会情勢を鑑みると、法改正は慎重にならざるを得ないでしょう。
しかし、公共交通機関における差別を助長するような、アンドロイドオンリーなどの種族(?)による区別は早々に撤廃されたのではと考察しました。

米国は連邦制なので、州によって法律や制度が異なります。他の州ではアンドロイドと人類の融和が行われているかもしれませんが、アンドロイド産業で発展したデトロイト市を擁するミシガン州では、アンドロイドに関する法律が整備され過ぎているあまり、改正が進まないのだろうと推察します。
余談ですが作中のアンドロイド法は連邦法なので、州法の更に上の方でアンドロイドによる銃器の使用は禁止されています。
カーラが他州ではなくカナダに逃げたのも、もしかしたら連邦法自体がアンドロイドには優しくなかったのかもしれない。(他州よりもカナダの方が距離が近いって話かもしれないけれど)

物語終盤でも書きましたがアンドロイドは人類と違い、意味をもって生まれてきます。意味……目的や使命。またや存在意義。
やはりアンドロイドにとっては人間はいなくてはならない存在であり、人類を脅かすのはアンドロイドの意図するところではないでしょう。
人々の生活に根付き、今日まで良き隣人として稼働していたアンドロイドに対し、好意的に思う人も少なからず居るはずです。
マーカスが目指しているのは、カールと築いた人間関係であるところだと思われます。


・予定外の話

ギャビン・リードの存在です。
ギャビン・リードとかいう存在めちゃくちゃ面白くないですか??原作ゲームはたった3回しか登場していないのに(コーヒー催促・エデンクラブ・証拠保管庫)めちゃくちゃ人気じゃないですか。
本当に面白い男なんですよ。wikiに「横暴で嫌味な性格をした卑劣漢」と、散々な内容で書かれた挙句、ハンクからもクソ野郎という評価を貰っている。どこに出しても恥ずかしくないクソ野郎なのに、どうしてこんなにユーザーに愛されているのか。
悪役を好きになりがちという国民性もあるのだろうけど、やっぱりそのキャラクター性に尽きるだろう。
口が悪けりゃすぐ手も出る。原作内での証拠保管庫のやり取りが個人的に最高に好きですね。本当に良いやられっぷりを見せてくれる。そんなテンプレートな悪役像に惚れたのかもしれない。
原作中で昇進欲が強く早い段階で刑事になったと書かれていた気がしたので、年若いと思っていたんですが今確認したら36歳でした。若いけど、私の書いたギャビンかなり幼いかも……(20代後半から30代前半だと思っていた顔)
36歳でアンドロイドに喧嘩売るのはどうなんでしょうかギャビンくん……。

それはさておき、“予定外”と題目で書いた通り、ギャビンの活躍は予定外でした。
RK900ことナインズを出すのは予定にありましたが、 ギャビンがここまで本編内に食い込んでくるのは本当に想定外です。
そもそも、「ヒトは真実を語らない」1話のドールハウス事件は書く予定の無かった話になります。この元となった話は書いていましたが、完全に別枠の短編にする予定でした。
しかしナインズ側の行動を描写するには相棒にしたギャビンを動かさる得なく、気がつけば終盤までギャビンはハンクたちと一緒にいますね……
結果、最後の取り調べのシーンでは、王道の良い警官と悪い警官を書けたので結果的には本当に良かったです。
皮肉屋で嫌味ったらしいクソ野郎。だけど、職業刑事になる程度には正義感を持っている彼は、ある種素直で行動に捻りがなく書いていてとても楽しいキャラクターでした。

個人的にはカムスキーも大好きなので、中の人が好きな可能性もある。(演者が同じ方)

余談ですが、大量発生した名前付きのモブの中では、庭師アンドロイドのエリックが一番好きです。


・メタ要素(言い訳です)

コナーの一人称。
これは一応使い分けてます。

DPDのふりがなについて。
デトロイト署とDPDと2種類ある気がします。統一されていないのは私の慢心です。許してください。

犯人不在という気持ち悪いED。
趣味です。
サスペンスやミステリで時々ある展開なのですが、一番最初の事件の関係者が真犯人だったというオチが大好きなんです。
その真犯人が既に亡くなっていたり、証人保護プログラムを受けて追跡不可能な状態に陥っている、後味の悪い展開が一番好きです。そうです、趣味です。

取り調べについて。
地味に気合入れました。当時見ていたドラマ『クリミナル・マインド』(犯罪心理系のサスペンス。犯人を追い詰め居ていく過程や、被疑者や関係者から情報を絞り出していくシーンが見どころ)の影響もあるのですが、やっぱり原作ゲームをプレイしていて個人的に印象に残ったのが一番最初の取り調べだったので、やっぱりそこは大切にしています。
コナー初登場時も子どもを人質に取ったアンドロイドの交渉役として投入されているので、取り調べや交渉に関しては比較的意識して書いたところです。
反省点があるとすれば相手が人間ばっかりだったので、もう少しアンドロイドも取り調べたりすれば良かったなって。(タイトルの理由でアンドロイドを取り調べしても無意味のように私は感じますが)


・一番書きたかったところ

一番書きたかった≒これを書くために他を書いた
それはネズビット家襲撃事件です。

これはアニメ「攻殻機動隊S.A.C.」14話『全自動資本主義-¥€$』という話のオマージュです。
元々、公開する予定もなかったので癖に従い一番好き勝手書いた部分でもあります。これが書きたくて他の部分を書いたと言っても過言ではありません。

オマージュというのは難しいところだなと痛感しました。ネットに上げた当初パクリだと言われないか戦々恐々でした。
パクリとオマージュは紙一重で本当に恐ろしいです。私は本当に上記14話が大好きでパクる意図は無く、当初からこのシリーズが完結した暁にはネズビット家の話は攻殻のオマージュですと必ず伝えるつもりでした。
しかし、言わぬが花という気持ちも往々にしてあります。分かる人だけが分かり、にやりとする。それがオマージュの醍醐味とも思うのです。
当初の通り記載する予定ではありました。しかし大々的にオマージュだと記載するつもりはありません。分かる人だけが分かり、にやりとしてほしいのです。己の身を守るため、ほぼ誰も見ていないここでぽつりと書かせて欲しいです。


「攻殻機動隊S.A.C.」は本当に素敵なアニメなんですよ。
原作コミックはあるんですが、SACは原作とは少し設定の違ったIF作品です。
現代に近い近未来で、ロボットやアンドロイド、サイボーグらが普遍的に存在し、人々はネットと脳がリンクしている。自らを機械の身体で強化したサイボーグである、主人公草薙素子が所属する公安9課が、国内外に潜在する脅威を排除していく話です。
犯罪者の思想や、政治の思惑。それらが複雑に絡みあう硬派なSFサスペンスです。
なんか、デトロイトと親和性高くないですか?
舞台は近未来。ロボットやアンドロイド、それに関わる人間が犯す犯罪を取り締まる警官(公安)。
私がソワソワしないはずもなく……。

攻殻機動隊S.A.C.は原作マンガはありますが、上記の通りアニメ自体は原作のIF作品です。
原作とは少し違いますので、原作を追わずともアニメだけでも十分楽しめます。
全26話あり、大枠としてのストーリーはありますが、基本的には一話完結の短編の話が多いのではじめましてでも十分楽しめます。むしろ話としては日本国が舞台なので、分かりやすさで言えばアニメの方が遥かに良いともいえます。
オマージュ元でもある『全自動資本主義』も一話完結の短編の内の一本です。
ぜひ、ぜひ、見てください!



ここから先はにやりとした人向けの内容です。
要するにネタバレありきの攻殻機動隊の話しかしません。
攻殻機動隊なんかしらないよ!という方はここでプラウザバックして頂いて大丈夫です。
ここまで読んでいただき、また「嘘つかないシリーズ」を読んでいただき、本当にありがとうございました。


はい。ここからはアニメ視聴済みだという前提で書きます。
一切の配慮はありません。対戦よろしくお願いします。

S.A.C.って、一話完結の短編が多い割に本当に粒揃いの名作がめちゃくちゃ多い。
ずっと取り上げてる『全自動資本主義』もそうですが、『暴走の証明』『密林航路にうってつけの日』も本当に大好きな話です。
『ささやかな反乱』や『タチコマの家出、映画監督の夢』はデトロイト好きの皆様にも凄い刺さってるのでは?

各話のタイトルには英文タイトルもついているのだけど、特に『ささやかな反乱』の英文『ANDROID AND I』は中でも好きな英文。ちなみに『全自動資本主義』は『¥€$』なので、本当に笑ってしまう。
DVDBOXだかの監督コメント(オーディオコメンタリーだったかな?)でも、この英文サブタイトルに言及されていて、ちょっと特殊だよなぁと。
『密林航路にうってつけの日』はその後の3Dアニメs.a.c.2024に引き継がれていて本当に驚いた。江崎プリン、良かったね。

改めて眺めてみても、テロリストや国際犯罪を多めに扱ってるのは国益を守る公安ならではの内容とも思う。
そこはやっぱり警察であるデトロイトとはちょっと違うところ。
公安9課の敵は国際犯罪や国内の腐敗なので、内容が普通のサスペンスとは違いかなり重ためで、政治色も強い。正義や綺麗事だけでは片付けられない内容も多く、勧善懲悪ですっきり出来るといった事は逆に少ないのかもしれない。
笑い男事件の結末しかり『偶像崇拝』なんてその最たる例で政治の難しさが分かりやすい話だと思う。
第1話でもある『公安9課』も脳みそを盗んで国外亡命しようとする政治犯の話だった。

S.A.C.に限った話をしたけれど、2ndGIGの話をしだしたら本格的に止まらないので、『全自動資本主義』に関する話をします。


全自動資本主義の何が良いって、みんなが狙っているヨコセ氏が既に死んでいたというところ。
独自に組んだ金儲けプログラムが延々と走り続け、ヨコセ氏は未だに生きていると錯覚させた。デカく広い屋敷内には警備犬とメイドロボットしか存在していない。

なんか、すごくいいじゃないですか。死者が眠る中で延々と日常を繰り替えるプログラムとロボットって。
廃墟の中で正常に稼働する防御機能みたいで、そういうのにエモさを感じる人間です。
ラピュタとか、人がいないのに巨神兵だけが動いているのも好きだったし、ニーアオートマタでも、人はいないのにアンドロイドが日常生活を送っている。

全自動資本主義の良さは、豪邸紹介というTV番組にも取り上げられていたところにあると思うんです。外部との接触は断っていなかった。事実、立ち入り業者に偽装した素子さんは簡単に室内に入れてしまった。
即ちあそこにいたメイドが全ての対外処理を行っていた事になる。中身は空っぽでゴーストもないのに。

ヨコセ氏は人間の認知のすぐ近くにいたはずなのに、誰にも気づかれなかった。その事実が狂おしく好き。


オマージュするにあたって気付いてほしさに結構寄せてしまったんです。
武装するメイドロボットに、光学迷彩も出してしまいました。
パクリじゃないと言い張りたい。全自動資本主義本当に好きなんだ。


・おわりに

私は基本的にすっきりしない話が好きです。
後味の悪いものや、もやもやするものが大好きです。
その後味の悪さやもやもやに、視聴者や読者の思考の余地が含まれるからです。
その思考の余地や、後味の悪さによる印象付けが、好きという好印象に変換されているだけの気もしますが、とにかく私は喉越しの悪いものが好きなんです。

これは主観だけれども、デトロイトが好きな人もそういったもやもやが好きな人が多いんじゃないかなと思っています。
機械が人間の心や感情を取得するなんてありえないじゃないですか。
自分の感情や心に従い動いた結果が、例えば勧善懲悪だとしても、通常では起こり得ないイレギュラー(感情の獲得)によって導き出された結果であり、そのイレギュラーに対して納得できるような理由は存在しないのです。
その不納得さ、不確実性に心惹かれているのではないかと思うのです。

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