いばらの冠
このお話の中のアンディの吸血樹としての目の能力。
それは『右目で見つめた人間を従わせる力』です。
つまり、目を合わせさえすれば、相手を思い通りに動かせます。
「……」
アンディがバサリと台本を横に置きます。
「……ねぇ、カルロ」
傍にいた同じく休憩中のカルロに顔を向けて訊ねます。
「この『思い通りにできる』能力ってさ、たとえば鼻眼鏡をかけさせたり、ドジョウすくいを踊らせたり、3回まわってワン! ……とかさせたりできるってこと?」
「……」
カルロはぽかんと口を開けてアンディを見ます。
「やりたいなら……」
『できるんじゃないか』としぶしぶといった様子で答えます。
アンディはカルロをじっと見ます。
じっと見ます。
見ます。
「……やらないよ?」
しばらくしてカルロがぽつんとそう言います。
『この子にこの能力は危険だ!!』とカルロが察知してがく然とした瞬間でした。
(閉)