ウォルター夢(依理愛)
夢小説設定
この章の夢小説設定設定:学パロ(ウォルター高校生)。
主人公は普通の学生の女の子。
内容:ウォルター夢。
カレカノの間柄。甘々。乙女心たっぷり。
名前を変換しない場合『依理愛(いりあ)』になります。
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……うっ、ひくっ、えっ……
抑えようとしても抑えようとしてもこぼれる涙と漏れる泣き声。
私はただいま泣いています。
本当はそんなの嫌なんだけど。
傍には彼氏様がいて、まるで怒ったみたいな顔をして、眉をひそめ、口をへの字に結んで、じっと黙って私のこと見てる。
部屋のじゅうたんの上にペタリと座り込んだ私の前にしゃがみこんで。
……たぶん、どうしたらいいかと、困って。
ホント、どうしよう、どうしたらいい?
私は悲しすぎて、泣きすぎて、かえって笑いたくなっちゃう。
だってさ、ホント……こんなはずじゃ。
本当なら、もうちょっと、我慢できるはずだったんだけどなぁ。
学校でイジメられて、約束があったからカレシの家に来て、それでも楽しく過ごそうと……少なくとも見た目だけでも……して、いきなりバレちゃうんだもん。
『依理愛、今日なんかあった?』って。
やさしく訊ねられて、心配そうにされて、『無理すんなよ』って言われて。
……もうっ、つい泣いちゃったじゃん、ウォルターのばかぁ……っ。
イジメのきっかけはささいなことだったんだけど、グループのリーダー格の女の子とケンカして、そしたらいきなりハブられて。
今日はクラスのみんなに無視されて。
どうしたらいいかわからなくて。
「学校に行きたくないよぅ……」
思わず口に出すと、怖いくらい真面目な顔をしたウォルターが、怒ったような低い声で言う。
「じゃあ、行くなよ」
「え?」
私は泣くのも忘れてぽかん。
……え、今、なんて言った?
「学校なんか行かなくていい」
きっぱりと言い切るウォルター。
いやいや、行かなくちゃダメでしょ。
だって……。
「行かなくってどうするの……?」
学校って行くものだよね。
やめろってこと?
働くってこと?
あ、転校しろってことかな……?
でも、そんな簡単に……いかないよね。
っていうか。
さっきから他人事みたいに軽く言って~……。
ちょっとヒドいよ。
……と思ったら、ウォルターは続けてこう言った。
「俺の嫁さんになればいい」
は?
「え? ……ウォルター?」
「依理愛、俺と結婚しよう」
照れたように顔を赤くして二ヘッと笑う。
え、いやいやいや……。
びっくりして完全に涙引っ込んじゃったよう……。
学校やめてウォルターと結婚!?
いきなり何……?
「もうっ……なに言ってんの。からかってる? 今、私、そんな気分じゃっ……」
「俺は真剣だぜ」
当然といったように真顔で軽く言う。
ええええ……どゆこと。
ウォルターの手が静かに肩に乗せられ、黄色っぽい目が私を覗き込んでくる。
わっ……。
「俺んとこに来いよ、依理愛。大事にしてやるからさ。ふたりで暮らそうぜ」
「もっ……またそんな、考えなしなこと言ってっ……!」
私は軽くにらみつける。
頬が赤いのはしょうがないとして。
だって大好きな彼氏様にそんなこと言われたんだもん。
嬉しくないわけないじゃん!
でもさ、だって、けどさ……。
「ちゃんと考えてないんでしょ? 思いつきで言ってるんだよね? ダメだよ、そういうの、軽く言っちゃあ……」
だって一生のことだよ?
わ、私でいいわけないじゃん?
それに、こどもじゃないけど、まだおとなでもないのに、そんなこと言ってもし私が本気にしちゃったらどうするの、もう……ウォルターってば。
とがめる目つきが自然とキツくなる。
唇をとがらせる私に、ウォルターは困ったような笑顔になって、明るく『だってさ』と言った。
「だって、俺はしょっちゅう依理愛のこと考えてんだもん。もう毎日顔思い浮かべてんの。会えない日だって、毎日だぜ? だったらもう、一緒に住んじゃっても同じじゃねぇ?」
「ウォルター……」
ちょっ……どうしよ、うれしい……。
頬が熱い。
私は見られないよう両手で頬を包んだ。
だってだって、恥ずかしすぎるよー……。
えっ……と。
戸惑ってると、ウォルターの笑顔が曇る。
「依理愛、嫌? 俺じゃダメ? 他のヤツのこと考えてんの?」
「バカッ……それはないよ。ウォルター以外考えらんない」
「よしっ」
ぐっと拳を握る彼氏様。
あう……この『彼氏様』が将来『旦那様』になる日が来たりして……。
恥ずかしいよぅっ……。
うれしくて、恥ずかしくて、死んじゃいそう。
……ああ、もう、イジメとかどうでもいいや。
ちゃんと学校に行こう。
うん、元気出た。
ホントにつらくなったらやめてウォルターのお嫁さんにしてもらえばいいんだし……。
なーんて。
言ったからは、責任取ってもらうからねっ。
……なぁんて、ウソウソッ。
責任とかそんな気ない。
そりゃ、ウォルターと結婚……できればいいなとは思うけどっ。
「まだ早いよ、ウォルター」
「えっ、依理愛、なんで!?」
「やりたいこといっぱいあるもん」
『はぁ?』とウォルターががっくりとする。
しかもしょんぼりして。
ええっ、ホントに今すぐ家に来いってつもりだったの!?
呆れた……。
ダメだよ、これじゃもう、笑っちゃうじゃん。
私は涙でぐしゃぐしゃになった顔をハンカチでふいて、ウォルターに笑顔を向ける。
「とりあえず、ケンカしちゃったコと仲直りしてくるね」
「……おうっ」
立ち上がって、手を腰に当てて、ニッと笑う。
それはいかにも頼もしくて。
腕にしがみつきたいくらい。
……もうっ、心の中で『旦那様』って呼んじゃうぞ。
あなたさえいれば。あなたさえいてくれれば。
(おしまい)