ウォルター夢(依理愛)
夢小説設定
この章の夢小説設定設定:学パロ(ウォルター高校生)。
主人公は普通の学生の女の子。
内容:ウォルター夢。
カレカノの間柄。甘々。乙女心たっぷり。
名前を変換しない場合『依理愛(いりあ)』になります。
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「好きなんだ」
……ああ、困ったな。
同じクラスの女の子に呼ばれて裏庭についていったら、隣のクラスの男子が待っていて、突然の告白。
『付き合ってくれ』って。
案内したクラスメイトは先に帰っちゃうし、周りに人いなくてふたりっきりだし、相手はかなり真剣っぽくて。
ホント困る。
だって……。
「ごめんなさい、私、付き合ってる人がいて……」
ペコリと頭を下げて断る。
けっこう知られてると思うんだけどな。
とくに隠してないし。
私のカレシ目立つし。
男子は予想してたみたいで、ショックを受けた様子もなく、真面目な顔してうなずく。
「知ってる。でも相手、あんまりいい噂聞かないよ。だいたい髪は赤いしさ、ピアスなんかしてるし、依理愛に似合わないよ」
え……っと。
いきなり呼び捨て?
……っていうか。
自分の彼氏様をけなされるのはかなり頭に来るんですけどー……。
『似合わない』の一言にグサッときたりして。
誰に何を聞いたのか知らないけど、ううん、だいたいわかるけど、やっぱそういうこと言われてるんだ……。
逆だよー、それ。
他の女の子たちかなぁ。
私の彼氏様はカッコイイ。
髪の毛赤いし、耳にピアスだし、いつも眠そうだし、『ダルい』が口癖だし、こどもっぽいとこあるし。
でも、その全部含めて、カッコイイ。
当然いろいろ言われるんだ。
『似合わない』っていうのは、私がふさわしくないってこと……。
女の子はね、嘘つきで、自分が気になってる人のことわざと悪く言ったりするんだヨ。
私の彼氏様狙ってるコ多数。
だから、たとえば、さっきの女の子に彼氏様の悪口と一緒に励ましみたいなこと言われたんだとしたら、たぶん私たちを別れさせるためだと思う。
だってあのコすごいうらやましがってたし。
『カッコイイ彼氏いいね』って。
……ってこと、言っちゃアレだし、言ってもダメだよね。
だって関係ないじゃん?
私のこと好きだって言ってくれてるんだし、さっきのクラスメイトがどうとか、彼氏様のこととか。
私の気持ちを言わなきゃ。
「ゴメン、周りにどう思われてても、私カレシのこと好きだから、他の人には興味持てないし、付き合うとかムリ。ごめんなさい」
きっぱりと言って、ペコリとまた頭を下げ、相手に悪いからさっさと去ろうとした。
そしたら。
ガシッ。
腕をつかまれ、引き戻されて、両肩をつかまれる。
うわ……顔、近!
「俺、ホントに依理愛のこと……っ」
ええぇえぇええっ。
わ、私なんかのこと、どうしてそんなに。
よく知らないんじゃない?
だって話したこともないしーっ。
っていうか……。
「ずっと好きだったんだ!! 前からずっと……見ててっ……だからっ!!」
抱きしめんばかりの勢いで近付いてくる。
ちょっと……彼氏持ちだよぅ。
困るってば。
だって、どうしよう。
どうしたらいい?
「や、あの……放して。私、別れる気とかないし。私もずっと好きで、今も好きな相手いるから……」
「かまわないよ。俺の方がいい。俺の方が好きだ。このまま付き合ってたら依理愛が泣くことになるよ。そんなの見たくない。ねっ、俺、マジだから!!」
そう言いながらすごい力で引き寄せて無理やりキスしようとしてくる。
ギャーッ!!
心の中であんまり女の子らしくない悲鳴を上げる。
ああ……彼氏様が何かあった時に上げる悲鳴だ……。
あんまり好きだから似ちゃったのかな……。
このままキスされるなんて嫌だよ。
助けて……ウォルター!!
+++++
「……あっ」
バキィッ!!
いつまでも唇は触れずに、男子が変な声を上げたと思ったら、続いて鈍い音がした。
え、なに? なに?
怖くて閉じちゃってた目をおそるおそる開ける。
そこには彼氏様……ウォルター……が立ってる!
「大丈夫か、依理愛!?」
「ウォルター……?」
え、あの男の子は?
見ると地面にのびている。
ああ……ウォルターが殴っちゃったんだ……。
「大丈夫……だけど、ウォルター、どうして……」
呆然として訊くと、ハァハァ荒い息を吐いてたウォルターが、がしっと私の肩をつかんで自分の方に引き寄せながら、地面にふせた男子を腹立たしそうににらんで言う。
「依理愛と一緒にどっか行った女がさ、ひとりで戻ってきて、他の女とやけにはしゃいでんの。それで……なんか嫌なカンジしてさ……問いつめたら、吐いた」
うわぁ……見られてたんだ。
しかも問いつめたって……。
ちょっと……恥ずかしいよぅ。
熱くなる顔に、ウォルターの顔も赤いことに気付く。
息も荒いし。
ああ……心配して走ってきてくれたんだ。
私はウォルターの顔を見上げる。
「あの……ありがと、ウォルター」
「依理愛……!!」
突然ぎゅうっと抱きしめられてびっくりする。
背中に腕を回されて、もう片方の手で頭を押さえて、胸に顔を押しつけられる。
あ……いい匂い。ウォルターの匂いだ。なんかホッとする。
あの男子にキスされなくてよかった。
だってこんなに大好きな人がいるんだもん。
なんか涙出る。
「ウォルター……」
「依理愛……、怖かったろ? ごめんな、遅くなって。間に合ってよかった……!!」
ウォルターのホッと吐く息が頭にかかる。
抱きしめる腕に力がこもる。
……って、力強すぎ。
「ウォルター、痛いよ」
「……ああ、悪い、依理愛」
ようやく放してくれた。
地面の方からうめき声が聞こえてきて、そっちを見ると、さっきの男子が頬を押さえて『いてぇ……』って言ってる。
うわ、本当に痛そう……。大丈夫かな。
無理やりキスしようとしてきたことは許せないけど、ちょっとかわいそう。
でも、ふった私がなんか言うのも悪いよね。
でも放っとけないよ。
せめてケガの具合くらい……。
「あっ」
男子に近付こうとした私の手をウォルターが握ってる。
しかも引っ張る。
見るといたずらっコの笑顔で二カッとして。
「お姫様、ダッシュ!!」
勢いよく走り出す。
えええー……そんなぁ……。
しょうがないから引っ張られるままに私も走る。
……もう、困った彼氏様だよー……。
+++++
「ここまでくれば大丈夫だろ」
校門を出て人通りの少ない狭い通路に入ってやっと止まる。
ハァ、ハァッ……。
ウォルターも息を切らしてる。
私も。
私の手を放して、真っ赤な長い前髪をかき上げながらウォルターが言う。
まったく、何が……。
「依理愛のクラスの連中に見られてないだろ」
ええーっ。
「……見られてたの?」
「バッチリ」
ウォルターが真顔で深くうなずく。
うそー……。
「……それで殴ったの?」
「『それで』っていうか、『それでも』」
さらりと言う。
もうっ。
考えなしなんだから!!
「ウォルターが悪く言われちゃうよ?」
「いい。平気。そんなのかまわねぇよ。俺にとって、依理愛の方が大事だから」
平然と言うから呆れてしまう。
「もーっ……」
……でも、ちょっと嬉しい。
そんなに想ってくれてるんだ。
びっくり。
「なぁ、依理愛。手、出して、手。左手」
「?」
なんだろうと思いながらゆっくり左手をあげる。
その手をウォルターが取った。
「小指出して」
続いての要求に素直に従う。
……いったいなんだろう?
私の小指にウォルターの小指が絡(から)まった。
……え、指切りげんまん?
何かの約束かな……。
見上げるとウォルターの笑顔がある。
嬉しそうな、恥ずかしそうな。
私と顔を見合わせると、照れたように笑って、言った。
「『赤い糸』なんて普段は信じてねぇけど、もしあったら、こうすれば絡まるかなって。そうすりゃ解(ほど)けねぇかなって思って。そしたら、依理愛を誰にも取られずにすむだろ?」
「もっ……なに言ってんの、バカッ!!」
私は真っ赤になって言う。
だって、ウォルターの顔が赤いんだもん。
こっちまで恥ずかしくなるじゃん。
変なこと言って~……。
唇をとがらせてウォルターを見上げる。
私は絡む指に自分からもきゅっとしっかり指を絡めた。
(おしまい)