ダリオ夢(マイ)
夢小説設定
この章の夢小説設定設定:学パロ1つと原作通り2つ。
主人公はバジル夢に出て来るのと同じマイ。
内容:ダリオ夢。
*名前変換しないとマイになります。
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あたしはそっと足音を立てないように静かにそこに近付いた。
ソファーの上、まるで投げ出されたかのように、大きな体が仰向けに寝ている。
横に立ち、少し身をかがめて、上からその顔を覗き込んだ。
あちこちはねている黒っぽいくせっ毛、今は閉じられているけれど常に穏やかでそれでいて何か熱いものを秘めているかのような赤い瞳、形の良い鼻に唇、そして耳元の大きな黒いピアス、その他。
「……ダリオさんだー」
ほえー、ダリオさんが寝てるゥ。
っていうか、こんな無防備に。
いつも何やらかすかわからない気まぐれな人ではあるけれど。
こんな無邪気なこどもみたいな寝かたをするんだァと思ったけど。
でも、まァ、ここはアジトだし。
って、それでも、ちょっとびっくり。
まじまじと見ていると、パチッとその赤い瞳が開かれて、すぐにその目があたしをとらえた。
「……おや、マイちゃん」
なんだかスゥッと目を細めてうっすらと笑われた。
ムカッ。
なんでだ?
「おはようございます、ダリオさん。っていうか、何してんですか」
ダリオさんがのっそりと起き上がるから、あたしは慌てて後ろに下がる。
曲がっていた腰を伸ばして。
がしがしと軽く頭をかきながら、ダリオさんが首を傾げてあたしを見上げる。
「寝てたんだけど、そう見えなかった?」
「いえ、見えましたけどォ……」
確かに寝てたけど、そのわりにはすぐに起きたと思うけど、まァ確かに寝てた。
……でも、なんでこんなとこで?
ちょっと頭を揺らして首を傾けると、その疑問を察したのか、『ああ』とダリオさんが少し大きめの声を出した。
そして、水に濡れた動物がするように、ぼんやりする頭をはっきりさせたいのか、ぶんぶんと頭を振った。
そして口元に大きな笑みを浮かべて楽しそうに言う。
「ここにソファーがあって、俺が眠かったから。……どこで寝るかなんてあまり気にしたことないな。大したことじゃないし」
「えーっ……」
危なくないんですかァ?
……口に出しかけたそれをあたしは止めて飲み込んだ。
ここがアジトだから安全ってこともあるけど……。
たとえ寝てたって危ないのはダリオさんに危害を加えようとした相手のほうだろう。
そんな相手がいればだけど。
ソファーに胡坐をかいて横向きに座った状態のダリオさんは、嬉しそうにニコニコとしてあたしを見ている。
……不審だ。
「なんですかァ?」
訊ねると、ダリオさんが笑みを大きくして答える。
「いや、目が覚めた時に、そこにマイちゃんの顔があるっていうのもね……なかなかいいもんだと」
……。
あたしは苦い顔で目をそらした。
目はもちろんとびっきり嫌そうに細めて。
『このエロジジィ』『オヤジくさいです』『ヘンタイですねッ☆』……あ、どれもダメだ。
本気すぎる。
そーゆうこと言ってほしくなかったなァ。
そんなつもりじゃなかったのに、とか言ったら、あたしはヤンデレですか。
うっかり好奇心で近付いてしまったためにぃぃぃっ……なんて内心で歯ぎしりしていると。
ダリオさんのぶっとい腕が伸びてくる。
あたしの腕をつかんでぐいっと引っ張った。
「きゃっ!」
どさっとダリオさんの上に倒れこみ、ダリオさんはあたしを抱えたまままたソファーに倒れこみ、ふたりしてソファーに仰向けになった。
ダリオさんが『くくく』と低く笑う。
あたしをそのたくましい胸に押し付けて、逃げられないようにがっちりと両腕で押さえ込んで。
「『きゃっ』だって。そんな可愛い声出すんだね、マイちゃん」
もぞもぞと腕から頭だけ抜け出て間近にある顔を覗き込むと、ダリオさんは面白そうに目を細めている。
「一緒に寝ようよ、マイちゃん。大丈夫、心配ないよ、俺が守ってあげるからさ」
「うー」
困った。
そんなこと言われても……。
こんなところバジル君に見られたらッ……!
……たぶんなんでもないんでしょうな。
『フンッ』と鼻で笑われる気がする。
とはいえ……。
あたしはあくまでもさらっと軽く言った。
「やらしいですよ、ダリオさん」
明るく口では言って、これまた冗談ぽくぷんぷんと怒っているふりをしてみせる。
ムスッと頬をふくらませて、眉を吊り上げて。
憤りを演じてみせる。
ダリオさんが真顔になって『ありゃりゃ』と言った。
慌てた様子であたしをとらえていた腕をほどく。
「ごめんね? 嫌だったか。こんなとこじゃ……それに驚かせたかな。さっき君に起こされた仕返しと思ったんだけど……一緒に寝てもらうほうがいいかと思ってさ。……でも」
下からあたしを見上げてその目をキラリと甘く輝かせる。
「それなら起きて一緒に外に出かけることにしようか、マイちゃん?」
……強引なんだからなァ。
あたしに断る権利は最初からないじゃん!
本当にムスッとした顔であたしはうなずいた。
蟻の中には蜂でさえ軽くやっつけてしまうものもいるらしい。
相手が蛾の幼虫じゃひとたまりもないでしょう。
たとえ毒があったとしたって。
(おしまい)