バジル夢(マイ)
夢小説設定
この章の夢小説設定設定:原作通り。
主人公はスキャッグスの逆さ数字の女の子。
ちょっと頭がおかしいコです。
内容:バジル夢。多少グロい。苦手な方は避けてください。
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……馬鹿みたいな話だ。
正確に、丁寧に、そう思う。
だからきっとそれは正しく、それ故に等しく間違っている。
間違っていないことなんてない。
この時点で結論付けるのならば。
あたしは間違いだらけです。
それを貫き通せないほど欠点だらけ。
欠陥品です。
レベルサイテー。
「ねぇ、バジルくーん」
甘ったれた鼻声で呼んでみる。
わざと。
戯れです。
そして、それを嫌がるのが、彼の仕事。
「死ね」
あたしはぷくぅっと頬をふくらまして怒ったフリをして見せる。
「そんな簡単に言っちゃいけませんッ」
「じゃあ……死ね」
しばらく経って低い声で吐き出されたのは同じ言葉だった。
ホントにひどくめんどいらしい。
つっまんないなぁ。
視線を窓に移す。
外はどしゃ降り。
あたしは思わずマザー・グースを口ずさむ。
「家の中ではじいさんが、ベッドに頭を打ち付けて」
ふん、と鼻を鳴らすバジル君は、黒い手袋をした手で本のページをめくる。
はらり。
……何も待ってやしないんだけど。
晴れることを期待もしない、かといって沈黙を埋める大雨なんて。
しとしとしとしと……。
鬱陶しいって言うんだろうな。
でも。
「バジル君」
「なんだ?」
「晴れたらどーしますかッ?」
「とりあえずお前を逆さ吊りにする」
「理由はなんですかッ?」
「ウザいからに決まってるだろ、バカッ、死ね!」
……まー、そうでしょうが、なら。
「今、殺れば?」
「あ?」
バジル君は嫌そうに垂れ眉の根を寄せた。
「めんどくせぇ」
「だよねですよねッ」
あたしは嬉しそうにはずんだ声でめいっぱいの笑顔で言った。
「マイの相手なんてめんどぉーなだけですよねッ」
「……晴れたら、仕事がある」
また本に目を落として、だけどページは変わらずに、しばらくしてからバジル君は言った。
「……雨の間は、武器もいまいちだし、お前の相手くらいはな」
あたしは自然と熱くなった顔のニヤけを必死に抑える。
「それ、それってッ、バジルくぅーん!! むぐっ」
抱きつこうとしたらあっさりと片手で止められる。
その手が押さえていた本は膝の上から落ちて。
椅子にきれいな姿勢で座っていたバジル君が傾く。
それをあたしが逆に腕をつかんで支えた。
ギロリと鋭くにらまれる。
「てめぇっ……! 覚えてろよ、マイ」
ありゃりゃ、助けてあげたのに。
まァ、いっか。
あたしはニンマリと笑う。
「覚えてるよ、バジル君」
バジル君は険しい顔で吐き捨てる。
「ケッ」
あたしはさらに笑う。
「バジル君が椅子から転げ落ちそうになるなんてめずらしーもんねッ!」
「っざけんな! てめぇ、マジで殺すぞ、マイ!!」
「きゃあああんッ!!」
あなたに倒れるほどの愛情を。
降り注ぐ雨のようなあたしの愛で。
ほんの少しだけ彼の愛という錯覚を。
この雨の檻の中でふたりきり。
酸っぱいもの苦いものを甘いものだと思わせて。
まだ知らないものなんて、それはないのと一緒だから。
(おしまい)