ウォルター夢(フォリア)
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この章の夢小説設定設定:仲間。
主人公は図書館で働く女性。
内容:ウォルター夢。
名前を変換しない場合『フォリア』になります。
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あ……なんだろう。
髪に触れる、心地よい風。
ふわ……となんだかいいにおい。
ぬくもりを感じる。そばに誰かいる。
すごくおだやかで、やさしい感じ。
「フォリア! フォリア!!」
声もやさしくて……。
「!」
名前を呼ばれていることに気付いて、ハッとして大慌てで顔を上げる。
机に突っ伏して眠ってしまっていたらしい。
開いた本とノートの上で。
振り向くと、横に立っていたのはウォルターだ。
「フォリア」
いたずらっこの笑みを浮かべて私の名前を呼ぶ。
微かに、安堵のようなものをにじませて。
……いつから呼んでいたんだろう。
私ときたら、勉強してたのに眠ってしまって……。
またまたハッとする。
急いでよだれが出ていないか口元を確認ついでにぬぐう。
カァッと顔が熱くなる。
眠っているところを見られてしまうなんて……!
「勉強中?」
何食わぬ顔でウォルターが横から覗き込んでくる。
私は急いでうなずいた。
「……してた」
そして後から呆然として付け足す。
寝るまでは確かに勉強してた。してたんだけど……。
ウォルターは私の顔を見てブッと笑った。
「いつのまにか寝ちまってたんだな」
笑われて少し悔しかったけど、その通りなのでうなずく。
ウォルターはくっくっと笑っていた。
「ウォルターは? 何してたの?」
笑われることから逃れたい思いもあって、早口でそう尋ねる。
尋ねてから、『しまった』と思った。
仕事なら、巣に今こうして居るはずがないし、仕事じゃないなら、思い出したくないだろうと思って。
「あ……ゴメ……」
やさしく細められたおだやかな目が、じっと私を見つめる。
謝ろうとした私の頭に、ポンと大きな手が置かれる。
「……寝顔見てた」
え、と思って見つめ返すと、ウォルターが顔を近付けてくる。
唇が触れそうな距離にまで。
吐息のかかる距離にまで。
「……おまえの、寝顔見てた」
頬をなぞるようにそっと唇をずらして耳にささやいてくる。
一瞬後、私はパニックに陥った。
ええええええっ。
ひょいっとおどけたしぐさでウォルターが退いて、『なぁーんてなっ』と肩をすくめて、はずんだ声を出した。
「おまえ、顔ふせてたし、見てないぜ?」
平然として言う。
「なぁんだ……」
ホッと胸を撫で下ろす。
冗談でああいうことをしないでほしい。
こっちの心臓がもたない。
「睡眠時間足りてねぇの?」
「うん、ちょっと……カルロさんに勉強不足だって言われて」
「そっか。がんばれよ」
「うん……」
私はちょっとしょんぼりとする。
がんばってるんだけどな。でも、今も寝ちゃってたし。
「あ、そうだ。ちょっと待て」
なんだろう?
ウォルターがごそごそとポケットを探っている。
「お、あったあった、コレコレ」
抜き出した手は何かを握っていた。
ウォルターは私の前にその手を突き出し、そっと開く。
手の中にあったものは、小さなガラスでできた花の飾りだった。
「キレー……」
それは花びら一枚一枚が本物のような厚みを持って、丁寧に、精巧に作られていて、おまけに光を受けてキラキラと光った。
思わず見とれていると、ウォルターが『ほら』と私の胸元に近付けた。
「おまえにやるよ、このブローチ」
「え……なんで?」
きょとんとして尋ねると、ウォルターの顔が少し赤くなった。
「……似合うから」
ボソッと言ってそっぽを向いてしまう。
ブローチを机の上に置こうとした、その手を私は慌てて止めた。
「待って!!」
「フォリア?」
驚いて目を見開いて私を見るウォルターに、私はにっこりと微笑む。
「……これは、ウォルターが私が『がんばった』と思った時にちょうだい」
見開かれていた目が細められる。なんだかすごく嬉しそうだ。
私は顔から火が出そうだった。
「……ああ」
ウォルターが笑った。ニッとして。
それは、今までみたいなからかいの笑みじゃなくて……私は認められたということがわかって嬉しかった。
(おしまい)