ウォルター夢(依理愛)
夢小説設定
この章の夢小説設定設定:学パロ(ウォルター高校生)。
主人公は普通の学生の女の子。
内容:ウォルター夢。
カレカノの間柄。甘々。乙女心たっぷり。
名前を変換しない場合『依理愛(いりあ)』になります。
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待ち合わせは10時。
駅の改札で。
会えなかったら後はケータイで連絡。
私は駅へ走る。
10時まであと少し。
ちょっと遅れるかも……と連絡してあるけれど。
やっぱり遅れたくない。
そわそわ、どきどき。
息を切らして駅の改札へ。
邪魔にならないところで立ち止まってきょろきょろと辺りを見回すけれど、彼氏様は見つからない。
間に合った!
正確には10時を過ぎてるから間に合ってないんだけど、ウォルターより早かったみたい。
やった!
って、嬉しいような、悲しいような……。
きょろきょろするのをやめて、ぼんやりといつもウォルターが来る方向を眺める。
少し待ってみよう。
もう少しかかるかな。
どうしよう。
切符は買う必要がないし……。
コンビニで何かおやつでも買ってようかな……とチラリと思った時、こっちに向かって駆けてくる赤い髪の目立つ人が目に入った。
薄茶色の革ジャンに下はシンプルな黒のシャツでクリーム色っぽいズボンで。
片耳のピアスが揺れてキラキラとしている。
長い前髪が乱れている。
その人はすごい速さで私のところにたどりついた。
「悪い、依理愛! 遅くなった!!」
「ううん、私も今来たとこ……って」
そこまで言ってつい『ぷっ』とふき出す。
「どした?」
がっくりと腰を曲げて『ゼェハァ』と荒い息をしていたウォルターが、きょとんとして顔を上げる。
私は口元に握りこぶしを当ててニヤニヤしてしまうのを隠しながら言った。
「ん……デートっぽい会話だなって思って」
その言葉にウォルターの頬がちょっと赤くなった。
「なに?」
意地悪く問うと、もともとの童顔をふくらませることで少年のような顔をして、口をとがらせてすねたようにボソッと言った。
「だってデートだろ」
「それはそうだけど」
そうなんだけど……。
そんなふうに言われると私も照れる。
もじもじとしてうつむいた。
……いつまで経っても慣れない。
デートなんてもう何回もしてるのに。
ふたりきりの時より、周りに人がいるせいか、すごく恥ずかしい。
そうしていると、不意にウォルターの手がのびてきて、私の手をぎゅっと握った。
顔を上げると、真剣な目をして、ウォルターが私をじっと見ている。
「行こうぜ」
軽く言って改札のほうに顔を向けて示すけど、その手はぎゅっと私の手を握っていて。
ぐいと強く引っ張られた。
「……ウォルター?」
私の不思議そうな声に振り向いたウォルターはニカッとやんちゃなこどものように笑った。
「依理愛、おまえ今日も可愛い」
「なっ、なに急に!」
ぼっと全身が熱くなる。
顔なんか一気に真っ赤になったと思う。
慌てて手を引き抜こうとすると、指の間に指が入って、恋人つなぎにされる。
そしてウォルターが身を寄せてささやくように言った。
「今日一日おまえと一緒にいられるって思ったら、なんか急に依理愛が愛おしくなって」
好きって言いたくなった、とぼそりと耳元で言う。
「ばっ……!!」
私は慌てて身を離した。
ウォルターも今度は手を放してくれた。
あーもう、耳まで熱い、たぶん赤い。
こんなところでなんてことをっ……。
どうしてくれるの。
平静なんか装えない。
周りの人も私が変だって気付いちゃってるはずだ。
「恥ずかしいっ……!!」
両手で覆った私の顔をウォルターが覗き込んでくる。
「……依理愛? おい、怒った?」
違うよぅ……。
でも。
私はぶんぶんと首を横に振る。
「うん、怒った」
だけど口ではそう言う。
ウォルターが困ったように眉を下げて、私の肩に手を置いて引き寄せようとした。
私はその手を止める。
そしてキッとウォルターをにらんだ。
「……お、怒ったから、後で私を抱きしめること! そしたら許す……」
ウォルターが『ぷっ』とふき出す。
そして『くっくっ』と腹を抱えて笑い出した。
「なんだよそれっ……」
「いいの!」
だって、だって、そんなこと言われたら、抱きしめて欲しくなっちゃうもん。
ぎゅってしてほしいよ。
言葉だけじゃ足りないよ。
そんな言葉くれるから、もっと欲張りになっちゃうじゃん。
もうっ!!
笑い終わったウォルターが目に浮かんだ涙をぬぐいながら話す。
「後で、って、別に今だっていいぜ」
腕を伸ばしてくるのを私はさっと避けた。
慌てて両手を前に出してぶんぶんと振る。
「あっ、人のいないところで……。……いい!? 約束!!」
「はいはい」
まだおかしそうに笑い出しながら、ウォルターがその私の片手を取る。
王子様みたいな気障なしぐさで、手の甲にキスでもしかねない様子で。
キラリと甘く目を輝かせて言う。
「わかりました、俺の可愛い依理愛の頼みなら、いくらでも」
手を握り直して、ぐいと引っ張って、歩き出した。
口笛をふくように澄ました顔をして見せて。
ううう、からかってるな~っ。
私は真っ赤になったまま、引っ張られて改札のほうへ連れて行かれた。
改札を通る時だけ手を放して。
後はずっとつないだまま。
『どうして?』って訊いたら、『手だけでもつながっていたいから』だって。
恥ずかしいけれど、振りほどかなかった。
だって。
……私も同じ気持ちだったから。
(おしまい)