ウォルター夢(依理愛)
夢小説設定
この章の夢小説設定設定:学パロ(ウォルター高校生)。
主人公は普通の学生の女の子。
内容:ウォルター夢。
カレカノの間柄。甘々。乙女心たっぷり。
名前を変換しない場合『依理愛(いりあ)』になります。
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たとえば、なんて、思うんだ。
朝。
白いレースのカーテンから射し込むまぶしい太陽の光。
窓の外から聞こえてくる小鳥の鳴き声。
淹れたばかりの紅茶から立ちのぼる白い湯気。
鼻に染み込んでくるような強い香り。
木製のテーブルに並べられた朝ごはん。
食パンに、卵焼きに、昨日の晩ごはんの残りとか。
それらには手をつけずに。
ティーカップを包み込むように両手で持って。
窓のカーテンの向こうをぼんやりと眺めて。
ああ……って思うんだ。
私の待っているもの、望んでいるもの、今ここに欲しいもののこと。
いないからそう思うんだよね。たぶん。……きっと。
私は気付けるかな。
『それ』が日常になって、『それ』の幸せに、『それ』のない不幸に。
今の物足りなさに。
忘れてしまったらダメだよね。
あなたの不在の淋しさ。
昨日は一緒のベッドで眠ったのに。
こうして朝食を一緒に楽しむことができなくって。
そしたら、こんなに淋しい。
……怒ることじゃないんだけど。
怒ることかなぁ。
だんだん欲張りになっていくよ。
同じくらい、あなたも、欲張りになっていっててくれればいいんだけど。
そうしたら、私のわがままも、当然になるかもなんて。
急に何を言うのかなんて思われずに済むかもなんて。
「ごめん、依理愛。今日、学校の執行部の仕事で行かなくちゃならないからさ」
始発を待って起き出して、まだベッドの私にそんなことを言う彼氏様。
「んー」
……なんて、寝ぼけてるフリで、あいまいに返事して。
だって。
『行かないでよ、ウォルター』
……とうとう口に出せなかったわがまま。
枕に顔を押し付けて、深くベッドに埋もれて、まだ寝るよアピールしたら。
あなたは私の額にキスをして。
それが思い出したみたいじゃなかったことに私はそっと安堵して。
うっすら開けた目にはやんちゃなこどもみたいな笑顔が映って。
「行ってくるぜ、眠り姫」
……だなんて、気障に言って。
私が目が覚めていながらすねて寝たフリしてるってバレてるから。
……そう、教えてくるから。
降参です。
布を上げて顔を隠してもごもごと。
「行ってらっしゃい……」
だって、泣けちゃうくらい、切ないから。
起きないぞ。
そんなこと言うと、帰ってきてくれるまで、眠っちゃうから。
待っちゃうんだから。
迎えに来て。キスで起こして。連れて帰ってよ。
……なんて。
学校にも行かずに彼氏様を待つなんてできるわけないじゃん。
できないけどさ。
……このまま、ここで、あなたが来てくれるのを待ちたいなぁ、なんて。
思わず、そんなことを、思っちゃたり……。
ねぇ、ウォルター?
心細くはないんだよ。
信じてるから。
ホントだよ?
たとえばまた来てくれるまでにイバラで道が覆われていたって……
あなたはトゲだらけになったって私のところまで来てくれる。
何が障害になったって。
だから、私は待ってなくたって、平気なんだよね。
私は私の行く場所に行ってするべきことをして生きていていいんだよね。
日常にいていいんだよね。
……だから。
だからさ、この淋しいって気持ち、味わわせてよ。
わかってるから、だから、疑わないから。
……ごめんね。
心配性のあなたが私を心配してるってこと知ってる。
そばにいて、って、昨日も言ってた。
離れないって信じてくれないこと。
でも、それが無理なのはお互い様だから、私だってあなただって。
「ずっと一緒にいようぜ、依理愛。どっかに勝手に行ったりすんなよ……」
「うん。一緒にいる。気持ちはずっとそうだよ、ウォルター」
「いや、気持ちとかじゃなくてさ、俺から離れんなよ、依理愛……」
「……」
「なぁ、依理愛……?」
私を撫でる手がくすぐったくて思わず笑いながら言う。
「だって、それは、ウォルターのほうが……」
もうそんな残酷なこと言わせないでね。
たとえば、ずっと一緒にいるとして、同じ朝を迎えるとして……。
そういう現実があるとしても。
……私はあなたの体だけじゃなく心にも寄り添っていたい。
たとえ、離れたとしても、心がそばにあると思いたいよ。
……ねえ。
ああ……。
……たとえば。
それでも、大丈夫なんだよ、ね。
(おしまい)