ウォルター夢(依理愛)
夢小説設定
この章の夢小説設定設定:学パロ(ウォルター高校生)。
主人公は普通の学生の女の子。
内容:ウォルター夢。
カレカノの間柄。甘々。乙女心たっぷり。
名前を変換しない場合『依理愛(いりあ)』になります。
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画面では1日が終わり、たった今ひとりが死んだばかり。
1日毎にひとりが死んでいくストーリーで、選ばれた15人が死ねば世界が救われるとか。
……何それ、って話なんだけど。
この映画。
分類すると何に入るんだろう。
やっぱりサスペンスなのかな。
それともホラーかな。
特に理由もなく選ばれた人たちが次々に死んでいく。
時間になったらバッタリ倒れるだけなんだけど……。
選ばれていた人が事故に遭ったり、仲間内での争いで殺されちゃったり、怖くなって自殺しちゃったりして、埋め合わせのために選ばれた男の人が主人公。
主人公が出てくるのが1時間超えた辺りっていうのがまたスゴいかな……。
そんなことを考えて気を逸らしてみる。
あうう……。
だって見たくないんだもん。
けっこう、その、選ばれた人たちのことが……『死にたくない』って死の間際にわめいたりとか、争いでひどい殺され方しちゃったりとか、自分でとか……見ていられないよ。
悲惨なことばかり。
うーん、怖いっていうか、なんとなくグロいんだよね……。
私の好みじゃないかなぁ……。
……でも。
私はチラッと横を見る。
横に座って同じようにDVDを観ているのは私の彼氏様。
普通の顔……っていうか澄まし顔……で、さっきから怖いシーンになってもビクリともしない、頼もしいほど……っていうか憎らしいくらい……落ち着いているウォルター。
なんか、『ふーん』って感じで。
……前に『今度はウォルターの観たいやつにしようね』って約束しちゃったから、こうして彼が選んだ怖い映画に付き合っているわけで。
今さら逃げられない。
ウォルターの観たいのがコレっていうのは、ホントちょっとどうかと思うけど。
でも、私も観たいDVDに付き合ってもらっちゃったし、これくらい我慢しなきゃだよね。
っていうか、怖くはないんだし、ちょっとドキドキはするけど、でも平気だし、怖がってるとか思われたくないから、ギブアップなんてできるわけないし。
ウォルター平然としてるし、私も大丈夫だもん。
意地でも『キャーッ』なんて悲鳴を上げてやらないぞ。
こんな映画くらい。
なんてことないよ。
……グ、グロくてちょっと嫌だなとは思うけど……。
ベチョッとか何か飛んできて画面に張りつく。
……うっ……。
が、我慢、我慢。
っていうか、ウォルター、本当にこれが観たかったのかな……。
後でウォルターを問い詰めよう。
趣味だったりしたらどうしよう。
ちょっと考えちゃうな。
そのうち肝試しに行こうとか誘われたりして……。
無理、無理。
DVDはちょうどそれまで生きることに生きることに興味の持てなかった主人公が、自分が死ぬことを拒否して、世界がこのまま滅びていくことを選んだところ。
世界が今この瞬間に救われることよりも、一緒に終わっていくことがいいって。
うーん……。
でも、地球が救われるからって、自分が死んじゃうのは嫌だよね。
だけど、もし愛してる人がいて、その人のこどもでもいて、とか、そういうふうに生きていてほしい人がいて、もし地球が滅びることになるのなら、もしそれを食い止めることができるのなら……。
私の命ってあんまり惜しくないかもしれない。
そんなことを思うのは、大好きな人がそばにいるからだろうな。
ウォルターやウォルターの大事な人に明るい未来があってほしいもん。
別に死にたいわけじゃないけど……。
そんなことをしみじみと思う。
+++++
その間にも物語は進んでいて、画面ではなんと助かった男の人をテレビ画面で観ていた人が、『ああ、あの人助かるんだ、よかったな』なんて言いながらふっと隣を見ると、隣の人が全身から血をふき出して、襲いかかってくるところ!
……えええ、何これ、なんでぇ~っ!?
どういう話なの、これは。
何この映画。
あの男の人は主人公じゃなくて、その様子をドラマとして観ていた人……今の私たちのような……が主役ってこと!?
それで15人が死ななかったら世界は救われないとかそういうことは変わらないってこと!?
なんて話……。
うっ、悪趣味……。
これだからこういうのはっ……。
急に隣に座ってた人から血がふき出してゾンビみたいに襲いかかるなんて……。
こ、怖いよう……。
思わずチラと横目で隣の彼氏様を確認する。
当たり前だけどなんの変化もない。
それにホッとする自分がおかしい。
こんなの映画の世界の話なのに。
でもなんか……。
それにしても、ウォルター、顔がちっとも変わってない。
全然平気そう。
私なんか顔が引きつっちゃってるのに。
どうして平気なの?
この話の展開はかなり怖いよ。
自分が襲われたみたいで……。
現実と物語がごっちゃになるっていうか、実は観ていたあなたが主役なんですっていうみたいな、こういうストーリーは……。
実話の怪談話の『あなたの身にも起こるかもしれません』って話みたいで。
すっごく怖いよ。
私はきょとんとした顔に近いウォルターから目を逸らし、画面に戻す。
……まあ、だって、ウォルターがいるもんね。
怖いけど、チョードキドキするけど、気持ち悪いくらいで、もう叫び出したいくらいだけど、でもウォルターがいるから大丈夫だよね。
ひとりなら絶対に騒いでたよ。
もうゴロゴロとじゅうたんの上を転がって『ギャーッ、ヤダヤダヤダッ』とか言ってた。
観たくないーって。
……でも、続きが気になるんだよね。
どういう終わり方するのかって。
大丈夫なのかって。
怖いもの見たさってやつ。
……うん、観よう。
バッドエンドかもしれないけど。
幸いウォルターと一緒だから安心だし。
ツツツ……と距離を縮めて、そっと体に体をくっつける。
腕とか当たって、あったかくて、なんかホッとする。
いざとなったら絶対守ってくれるよね。
お願いだよ。
大丈夫だよね。
画面では、襲いかかる人から辛うじて逃れた人が、部屋の扉を開いて、するとそこにも襲われている人が……っていうシーン。
そしてやっぱり血まみれ。
うー……。
そして何故かその人たちも襲いかかってきて、追いかけられた人は空き部屋に入って扉に鍵をかけて、ホッと一息。
ところが、不気味な音楽と、背後からじょじょに近づくカメラ。
……うわ、これ絶対何かいる……。
部屋の中に何かいる。
何かある時の撮り方だ。
だんだんと大きくなる音楽に膨れ上がっていく緊張感。
鼓動が早くなる。
ドキ、ドキ、ドキ、ドキ……。
ああもう、うるさいくらいの自分の心臓の音。
嫌だな、嫌だな。
だんだんと男性の背中に近付くカメラが、その人の真後ろに。
気配を感じたのか男性が振り向こうとする。
……ヤバい、来るっ……!
何かわからないもののとっさにそう思った。
その瞬間。
パァンッ!!
「きゃあっ」
私の横で何かが破裂した。
何かが割れる大きな音。
おそるおそる、ゆっくり音のした方を見れば、私の目に飛び込んできたのは、片手に割れたビニール袋、片手をそれを叩いた形にしたまま、ペロリと舌を出している、彼氏様……ウォルター……の姿。
何か起こったのか理解するとともに、ものすごい怒りがわき上がってくる。
……このぉっ……。
カノジョが怖い思いしてDVD観るのに付き合ってやっているっていうのに、そのうえビニール袋膨らませて割って驚かすなんて、なに考えてんの!
ウォルターは二ヘッと嬉しそうに笑って私を指差して楽しそうにはずんだ声で言った。
「『きゃあ』だって。やっぱ怖かったんだな、依理愛。平然としてるもんだからつまんなくて。なぁ、驚いた?」
「驚いたよ……。涙が出るほど怖かったよ……」
私は本当に涙を浮かべた目でウォルターをにらみつける。
びっくりした拍子にちょっと涙が出ちゃったんだ。
……なんてことするの、この人は……。
ああ、もうっ、ムカつくったらない。
私は怒りの感情をあらわに言った。
「でもね、確かに怖かったけど、ウォルターそばにいてくれるから大丈夫ー……って、安心してたんだよ? その誰かさんにまさかおどかされるなんてっ……」
ちょっと目を見開いてきょとんとしていたウォルターが、私の言葉の半ばから得意げに『へへへーっ』と笑い出す。
「違うっ!!」
私は思わずテーブルを手のひらでバンッと叩く。
「なに笑ってんの、ウォルター!」
「だって嬉しくて……おまえ、俺のことそんなに頼りにしてくれてたんだ」
「もうしません、もう絶対絶対、ウォルターなんか信じないんだからっ!!」
「悪かったって」
「謝ったの今だよね!?」
全然誠意が感じられない。
っていうか、絶対悪いって思ってない。
なんかニマニマしてるもん。
……ムッ。
もう本当に怒った。
「ねぇ、ウォルター」
「ん? なに? 依理愛」
甘やかすようなやさしい声で返事をするけど許してやるもんか。
『なあに?』なんて甘い声出したってダメだもんね。
私はツンとして言った。
「私ね、やってみたいことがあるの。ウォルターに頼んでもいい?」
「え、別にいいけど……なんだよ、突然」
ちょっとドキッとした様子でわずかに頬を赤くして照れた様子で答えるウォルター。
よし、『いい』って言ったな~?
私はニーッコリ笑った。
「この前テレビで空手やってるの見たんだ。私、やってみたいな。ねぇ、いいでしょ? 飛び蹴りとかやってみたーい」
「女のするお願いじゃねえ!!」
激しくショックを受けた様子でバッと立ち上がって離れようとするウォルター。
私はさっと立ち上がって腕にしがみついて捕まえる。
逃がすかっ!!
「ねっ、相手してよ。あ、飛び蹴りもいいけど、袈裟蹴りっていうのも試してみたいな」
「……ず、ずいぶんとやんちゃだな……。依理愛。ってかソレ、ホントに空手か!? プロレスとかじゃねぇの!?」
「空手だよ~?」
ふふふと笑う。
怒っちゃってるんです。
おどかされたことの仕返し。
泣いても許してあげないっ。
その後。
「ていっ」
「ギャーッ!!」
(おしまい)
あとがき。
そうか、ウォルターに怖い映画見せられるかもしれないのか・・・とお話を考えていたら、その日の夢でこんな怖い夢を見てしまって、どうにもアイツに見せられたのだろうと信じて疑わない(笑)。なんの嫌がらせかと。