ウォルター夢(依理愛)
夢小説設定
この章の夢小説設定設定:学パロ(ウォルター高校生)。
主人公は普通の学生の女の子。
内容:ウォルター夢。
カレカノの間柄。甘々。乙女心たっぷり。
名前を変換しない場合『依理愛(いりあ)』になります。
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俺のカノジョは可愛い。
いわゆる『美人』じゃない。
『個性派美人』でもない。
『可愛い』といってもアイドルみたいだとかそんなんじゃねえ。
外見でいえば悪くはないって程度だ。
俺にとってはもちろんたまらなく魅力的だけど。
……ま、多分、他のやつらには依理愛のよさはわからねぇよな。
……と、思いたいところだが。
そうでもないから困る!!
10人中10人がこの女となら付き合えると思うタイプだ。
モデルじゃない、アイドルじゃない、そんなものよりもっと……。
とはいえ、フツーに可愛いし、時にはキレイだとさえ思えるんだが。
それはもちろん外見だけでなく性格も……いや、性格からといえるかもしれない。
たとえば、何か夢中になって見ている時のまるでこどものように無邪気な顔に無防備な様子……常に男の視線を意識してツンと澄ましている女を考えてみろ、それはそれで悪くはないけど、可愛くはない……、それに何か美しいものを見た……映画とかだけじゃなく景色なんかにも感動する……時の目の輝き、うっとりした様子、それからいろんな表情を見せてくれる中でも、とくに笑顔……惜しみなく向けてくれる普段の笑顔はもちろん、はにかんだ笑顔もいいし、うれしい時の笑顔といったら最高だ……どれも愛らしいし、チャーミングで、それをいったら泣き顔だって……その涙もキレイだと思うし……。
あー、なんだか、なんかわけわかんなくなってきたけど、要するに依理愛は可愛くて美人だ。
つまり、目を引くってタイプじゃないが、少しでも関われば、男なら離したくなくなるっていうか、傍にいてほしくなるっていうか……。
派手じゃなくて親しみやすいし、真面目なとこもあって、しっかりしていて、やさしくて、明るくて、ユーモアのセンスもあって……ここ大事……あとは意外といい意味での男っぽさがある。
さばさばしてるっていうか。
肝の据わったところもある。
絶対に惚れるぜ。
みんな知らないだけで。
……まぁ、知らなくていいんだけど。
女々しいと思われそうだから口には出さないが、男だって『俺だけにやさしくしてほしい』みたいなところがある。
誰にでも気配りをする女はもちろん好きだが、自分のカノジョとなると……。
自分のカノジョが他の男にやさしくしているのなんて誰が見たい?
誰にでもやさしい女の子がいいなんてのは付き合う前の話だ。
だって始終他のヤツの面倒みてたらいつ誰が俺をかまってくれんの。
……って、いつでも誰にでもかまってほしいわけじゃねぇよ。
ただ、そこまで魅力的な女の子にやさしくされたら、男はもう惚れちまうじゃん。
それが心配なわけ。
だから依理愛は俺のことだけ見てればいいの。
他の男なんかポイしろ、ポイ。
……なのに、依理愛はやさしいから、心配だ。
天使のようなとは言わないが、関わった人に思いやりを持って尽くすところがある。
自分のできる範囲で力になろうとするのだ。
……わりと冷静に見てるんだけど、それでも、面白くはないわけで。
言ったら笑われちまいそうだけど。
……誰かに奪われちまったらと思うと……。
男だって不安になるんだよ。
あー……。
+++++
こたつに足だけじゃなく手まで突っ込んで、背中を丸めて、テーブルにあごを乗せて、目を据わらせて発声練習のような真似をした後、ぼそっと『ダリぃ』とつぶやく。
考え過ぎた。
また実のない考えだけれども。
どっちかっていや悩んでたってほうが正しい。
「どうしたのー?」
斜め前に座った……四角いこたつなので……依理愛がこっちに顔を向けて不思議そうに訊ねる。
それから、ハッとした顔をして、怒られたように首をすくめて、おそるおそる言う。
「あ、ゴメーン……。やっぱりこのDVD面白くなかった? ウォルター、怖いの観たかったんだよね。ほのぼのじゃまったく逆だよね……。気分じゃなかった?」
「ん……いや、別に」
さすがに『おまえの怖がるところが見たかっただけで』なんて言えない。
素っ気なく返してさりげなく顔を背けて内心で舌を出す。
……そんなやさしい気遣いを見せてくれる相手に、『怖い映画を見せておどかしたかった』なんて誰が言えるか。
あまつさえ、『キャーッ!』とか言ってくれて、ギュッとしがみついてくれたら……なんて思ってたってことは。
テーブルに肘をついて起き上がり、あごを手で支えて、依理愛にフッと笑いかける。
「これはこれで、可愛いからいいぜ」
「ホント?」
「ああ」
……本当は、観ている依理愛が可愛かったり。
そればっかりチラチラ見てたり。
内緒だ。
まだ首を傾げたまま、俺と画面とを交互に見て、申し訳なさそうにして言う。
「これすっごい昔ので、私がこどもの頃に映画館で観たので……DVDになって出てたなんて知らなくって……。なんか懐かしくって、どうしても見たくなっちゃって。ごめんね」
「いいって。気にすんなって。いいじゃん、こういうのも。たまには」
「次はウォルターが観たいの借りようね」
「ああ、ほら、いいから気にせず見ろよ。巻き戻すか、今のとこ」
「あ、いい、いい。大丈夫」
俺がリモコンを手に取ると、慌てて首を振って画面のほうに顔を向ける。
「えー、でも『ダルい』って言ったよね?」
聞こえてたか。
目だけこっちに向けてうかがっているカノジョに、俺は安心させるように真顔でうなずいて見せる。
嘘を吐くつもりはない。
「口癖だから気にすんな。ってか、ほら、俺のことはいいから、ちゃんとDVD観てろよ。おまえが観たいって言ったんじゃん。もったいねぇだろ!?」
なんとなく気恥ずかしくなってムスッとして言う。
いけね、怖がらせちまう。
トゲトゲした言い方をしてしまったことに気が付いて焦って笑ってごまかす。
「あっ……いや、せっかく借りたんだしさ」
「……私だけ楽しいのもなんかな……」
「いやいやいや、違うから!! 楽しいです、ハイ!! 嘘じゃねぇよ!?」
必死に弁解する俺にとがめる目つきをくれて、依理愛はリモコンを手にする。
「ウォルターうるさかったから巻き戻そーっと」
ぷんとしてそっぽを向いて画面のほうに向き直ってすねた口調で言う。
そして本当に巻き戻し始める。
……ガキだなぁ。
不思議と腹は立たない。
どころか、可愛らしく感じる。
『私だけ楽しいのも』っていうのは、一緒に楽しみたいわけね。
……で、俺がわかってくれないと思ってすねてるわけだ。
可愛いよなぁ。
二ヘッと思わず笑みをこぼすと、チラッと視線を寄越した依理愛が唇をとがらせて、視線を画面に戻す。
ぷんってか。
カーワーイーイー。
カノジョが熱心に観ているDVDでは子猫が原っぱを走っている。
その小さな細い脚で一生懸命に駆けるその姿はなんだか切なくて胸が痛む。
あんまり見てなかったからよくわからないが、多分飼い主の元へ戻るためとかだろう。
ヤバい。
……感動して涙とか出ちまったらどうしよう。
そわそわして余計その画面から目を逸らす。
依理愛に気付かれないように、そっと。
そして、逸らした目は当然、依理愛に向かう。
……あー、いいな。
Vネックの大き目のベージュのニットワンピースに下は焦げ茶色のフリルつきのスカートに黒いタイツという姿で。
一緒に服を見に行った時に俺が『コレがいい』と選んで買ったニットワンピをこのお家デートの日にちゃんと着てくれている。
まぁ、家なのに膝丈のスカートにタイツというところにガードの固さを感じなくはないが。
それよりも、選んでいる際に『私、そんなに胸ないから、似合わないんじゃないかな……』とさんざんためらって……っていうか恥ずかしがって……いたニットワンピを、ちゃんと着てみせてくれているところ。
可愛い……。
俺がプレゼントしたブレスレットもちゃんとつけてみせてくれている。
……うん、可愛い。
それにやさしいな。
似合ってると褒めまくったら照れて真っ赤になっていたところも可愛い。
おまけに今日は赤い水玉のシュシュでポニーテールにしてうなじを見せている。
たまらない。
こう……後ろから、そのゆるいニットワンピの両端をつかんで、一気にぐいーっと下にさげ……
……たら、嫌われるよな、間違いなく。
冗談じゃ済まないよなぁ。
いや、冗談なんだけど。
冗談っていうか、いたずらっていうか、反応が見たくて。
からかいたくて。
いや……少しはそういう気持ちもあったりして?
でも、それをやったら確実に嫌われる。
だけど、白くて細い首筋が……。
DVDを観終わった後で、そっとやさしく抱きしめるくらいなら、許してもらえるだろうか。
感動モノの後だもんな。
なんか、もうすでに、依理愛の目はうるんでるっぽいし。
……ってか、俺もなんかヤバい!!
うわ、動物の感動モノって、スゴ……。
涙の再会とかって反則だろ。
はぐれた子猫が飼い主の元へ戻ろうと頑張って助けてくれる仲間がいてようやく再び会えるなんてさ。
やめてくれよ……。
ふと、依理愛がこっちを見ていることに気付いた。
なんか照れくさい。
少し笑う。
すると、カノジョがツツツ……と俺のほうに寄って来た。
「くっついてもいい?」
上目遣いの涙目で見つめて訊ねてくる。
「あ、ああ……」
もちろん。
『待ってました!!』とは言えない。
生真面目な顔をしてうなずく。
そっと胸にもたれてくるおまえ。
最高に可愛い……。
でもなんか、俺も感動して、抱きしめるとかえっちな気持ちがどっか行っちまった。
……まぁ、それでよかったんだよな、多分。
+++++
「あ、メールだ」
DVDを観終わった後、だらだらとしゃべって過ごした。
ケータイの震える音……邪魔にならないよう気遣って俺といる時は着メロはやめているらしい……がして、依理愛が俺を見て目で訊ねる。
『メールしてもいい?』だ。
俺は軽くうなずく。
依理愛がケータイを取って画面を見る。
そしてメールを打ち始めた。
チェッ。
メールの相手誰だ?
楽しい時間を邪魔しやがって……。
なんとなく面白くなくて顔を背けて目を据わらせて壁をにらむ。
ってか、ずいぶん長いな。
しばらく経って、どうやらメールを打ち終えたらしい依理愛が、パチンとケータイを閉じる。
「ごめん、ウォルター。えっと、なんの話だっけ……」
「だから、俺の後輩がー……」
申し訳なさそうに謝るのに軽く笑って返してそれまでしていた話に戻る。
俺の後輩が可愛くねぇこと言うの、の話。
ホント、時々先輩を先輩とも思わない発言が飛び出したりして、ムカつくの。
『アイツちゃんと俺を敬え!!』なんて冗談で怒ってみせたら、カノジョに笑って『甘えてるんだよ、きっと』なんて言われたりして。
「ウォルターなら何言っても怒らないと思ってるんだよ」
……そうか? アイツ俺に甘えてんのか?
でもそれって別に敬ってはいないんじゃ……。
まぁ、態度のことじゃ、俺は人のこと言えねぇからな。
……なんて、複雑な胸中でしみじみしていると、再び震える依理愛のケータイ。
……ああ、さっきの返事が来たんだな。
「あっ、ちょっとごめん。いいかな?」
「いや、いいけど」
今度はテーブルの上に出しておいたケータイを手に取ってメールを確認して、また打ち始める依理愛。
……まぁ、いいけどさ。
返事打つのかよ。
なんか、それ、また返って来るんじゃ……?
メールを終えた依理愛がまたパチリとケータイを閉じてテーブルに置く。
そして俺のほうを見た。
「ごめんね。……それで、どうしたの?」
「あ、まあ……えっと、それで……」
あえて気にしないフリをして話の続きに戻る。
だが、またすぐに震え出す依理愛のケータイ。
……おい。
すごく申し訳なさそうに上目遣いに見上げて両手を合わせて『ゴメン』をするカノジョに、そう怒るわけにもいかない。
ムスッとして頬杖をついて空をにらんでじっと待つ。
……早くしろよ。
メールを送信したらしい依理愛がホゥとため息を吐く。
「……ん、どした?」
「あ、ううん、別にっ!」
その暗い表情を不審に思って訊ねると、依理愛は明るく元気な笑顔で首を横に振る。
「なんでもないよ。大丈夫。……それで、なんだっけ……」
「あー……それで……」
話し始めるとまたすぐに震え出す依理愛のケータイ。
……おいっ。
思わず平手でテーブルを叩きたくなってしまう。
その後はケータイを指差してお説教だ。
よーく言い聞かせてやる、そのケータイにっ。
……という奇行に走るわけにもいかないから、最初の衝動をグッとこらえ、忍耐力を総動員し、教会のお祈りの時間のように静かに……まあ、その時だってそんなにおとなしかった覚えはないが……依理愛を見て目で促す。
『どうぞ』と。
「ごっ、ごめん、ウォルター!」
なんだか依理愛がやたらと慌てた様子で真っ赤になってケータイを取るんだが、俺は一体どんな顔してんだ。
どうぞとすすめたわりに依理愛がケータイの画面に目を落とすと不意に取り上げたくなってしまう。
また待たされんのかよ。
あー、イライラする。
嫌になってそっぽを向いた。
……っていうか、傷つく。
問題は、大事な話なのか、大事な相手なのか、どっちだってことだ。
……いや、両方もありえるが。
にしたって……。
俺を放っぽって4度のメール。
俺より大事か!?
……とか、訊きたくなってしまう。
イカン、イカン。
……だが、またメールが終わって、なんとなくぎこちない空気で話し出して、またメールが入って……。
焦った様子で依理愛が急いでケータイを手に取って。
なんで待たされてるんだ、俺。
ムカつくどころじゃねえ。
『俺より優先するようなこと?』……くらいは言ってもいいだろう。
正直、我慢の限界だ。
「なぁ、依理愛……」
俺が抑えた低い声で訊こうとするのと、カノジョが立ち上がるのとは、ほぼ同時だった。
「え? なに、ウォルター? ……ごめん、ちょっとメールじゃダメみたいだから、電話してくるね」
ぷちん。
俺の中で勢いよく何かが音を立ててはじけるように切れた。
ギロッと依理愛をにらみつける。
「どこに行くんだよ!?」
「え、だから、部屋の外……」
「なんで!?」
「電話するために……?」
「なんで!?」
「ええっ? だって……電話するから……」
「俺に聞かれちゃマズいような話なわけ!?」
「そっ、そんなわけないじゃん!! そうじゃないけど、だって……」
「ここでしろ、ここで!! ってか、相手誰っ!? 男か!?」
おろおろ、おどおど、おずおずといった依理愛の不審な態度にさらに疑惑が増す。
「誰だよ、言えよ!?」
「うーんっと……」
空をさまよった依理愛の視線が俺に落とされる。
俺をじっと見つめて彼女は真顔で言った。
「レオナルド・ダ・ヴィンチ」
「はへっ!?」
目を大きく見開いて。
思わぬ答えに我ながらマヌケな声を出してしまった。
依理愛に突き付けていた指から力が抜けて手がだらりと下がる。
「えっ……誰、だって……?」
ぽかんとして問うと、依理愛はぎゅっと目をつぶってベッと小さく舌を出して、イーッてしてから答えた。
「だから『レオナルド・ダ・ヴィンチ』。話して用事済ませてくるから、邪魔しないでねっ」
そしてさっさと扉のほうへ行ってしまう。
残された俺は呆然。
……レオナルド・ダ・ヴィンチ?
って、えっと……。
ハッとして背中に向けて怒鳴る。
「バッ……おまえ、いくらダ・ヴィンチだって現代でメールができるかっ!! そんな発明してないわ。ってか、時空の隔たり超えてんのかっ? いやっ、現代にいたってなんでダ・ヴィンチとメル友っ……じゃあなくて、俺は相手がダ・ヴィンチだって許さねぇぞっ!!」
俺の怒りは、パタンと静かに閉じられたドアによって遮られ、俺自身に俺の心の狭さを見せつけて終わった。
……ああ、そうさ。気にいらねぇよ。
たとえオッサンだろうと、ほんの少しの時間だろうが、誰かに依理愛を奪われるのは。
ちくしょう。
+++++
「ダ・ヴィンチは嘘です」
しばらくして戻って来た依理愛が座るなり真面目な顔でそう切り出す。
「当たり前だろが」
俺はイライラしてそう返す。
どこの誰がだまされるかってんだ、そんなもん。
依理愛は悪びれずに『っていうか冗談だよ』と澄まして言う。
「おまえなあ……」
冷やされた頭にまた血がのぼってくる。
目をつり上げて怒鳴ろうとした瞬間。
目の前にケータイの画面。
自然と目は画面に向かう。
そこには依理愛と同じくらいの年の女の子の写真が。
ひょこんと横から顔を出し、首を傾げて依理愛が言う。
「ほらぁ、名前言ってもウォルター信じないと思ったから、かといって人からのメール見せちゃうのもアレだし、友達に言って自分撮りの写メ送ってもらったの。可愛いでしょ?」
「う……」
……むぅ。
なんか、やられた感じすんな。
でも、間違いなく女の子だ。
「なんか、いろいろと家のこととか大変らしくて、相談に乗ってたの。そういうの、他の人に聞かれたくないだろうから」
『だから部屋を出たの』と口をとがらせてのカノジョの言葉。
「ん……」
なんとなく決まりの悪い思いがして、俺は目を逸らして、口ごもる。
ぽりぽりと後ろ頭をかいて。
まあ、そういうことなら……。
疑ってたわけじゃねぇよ、別に。
俺だってさ……。
そんなつもりは……。
「ほら」
依理愛がずいと画面を俺の顔に近付けてくる。
ギャーッ!!
ホールドアップ。
「わ、わかったって! 俺が悪かった、すみませんでした!! あ、謝ったから、もういいだろ!?」
許してください、勘弁してください、と焦って言う。
「よーしっ」
ニッコリ笑った依理愛がケータイを退ける。
……ホッ。
ああいう責められ方はなんかつらい。
だが、まだ依理愛がケータイを閉じない、しまわない。
俺に見えるようにしている。
……ん?
俺は離れた分、その女の子の写メをじーっと見た。
「これがレオナルド・ダ・ヴィンチちゃんね……」
「ね、可愛いでしょ?」
「え……」
自慢げに依理愛は写メを掲げて見せる。
……えーと。
まあ。
正直に言って可愛いとは思うが、カノジョの前でカレシが彼女の友達を可愛いって言うのは、どうなんだろう。
女はうれしいのか? 嫌じゃないのか!?
自分の前で他の女が褒められて……。
っていうか、下手なこと言って、誤解されても困るし。
浮気性だ……とか。
かといって、ここで『おまえのほうが可愛いぜ』とキザに言っても、本気のパンチが飛んできそうだ。
どうしたもんだ。
なんて答えたらいいんだ?
あー、女心はわからねぇ。
「あ……ああ、まあまあなんじゃねぇの」
俺はゆるく首を横に振って天を仰ぐ。
えー、『Man proposes,God disposes.』。
人は努力し、神が成否をお決めになる。
俺は最善を尽くした。
後は任せた。
「ふぅーん」
依理愛はツンと唇をとがらせてふくれっ面をする。
……どうやらご不満らしい。
どうすりゃよかったんだ。
あーっ、女心はわかんねぇっ!!
(おしまい)