ウォルター夢(依理愛)
夢小説設定
この章の夢小説設定設定:学パロ(ウォルター高校生)。
主人公は普通の学生の女の子。
内容:ウォルター夢。
カレカノの間柄。甘々。乙女心たっぷり。
名前を変換しない場合『依理愛(いりあ)』になります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ガチャッと部屋の扉が開く。
待ってました。
部屋の扉の前に立っていた私はにんまりした。
人に向けてはいけないクラッカーを天井に向けて……と。
扉を開けた人物がニヤリとして口を開く。
「依理愛、トリッ……」
……パーンッ!
驚いて硬直するウォルターに私は満面の笑みを向けて言う。
「トリックオアトリート、ウォルター!!」
魔女のとんがり帽子を被った頭を少し傾け、黒いフードつきのワンピースをひらりと揺らしてクスクスと笑い、腕にかけたカゴ……中にオレンジ色の布を敷いた……の中にクラッカーをしまい、かわりにパンプキンパイを取り出す。
「お菓子くれなきゃ顔面にパイ投げだよー?」
「……」
目を見開いてぽかんと大きく口を開けて『信じられない』というふうに私を凝視するウォルター。
……あれ? 驚かしすぎちゃったかな?
ちょっと心配になっちゃうぞ。
立ったまま死んでない?
「えっ、ちょっ……ウォルター? 大丈夫!?」
「……」
無言でヘタヘタとその場に座り込むウォルター。
ええーっ、ちょっとぉーっ。
愕然とした様子でつぶやく。
「それ……俺がやろうと思ってたのに……今……」
わかってるよー。
『トリックオアトリート』って言おうとしたんでしょ。
だから準備して待ってたの。
驚かそうと思って。
わざわざ魔女のカッコまでして。
「普通家を訪れたヤツが言うもんだろ、トリックオアトリートって。ハロウィンって家々を回るんじゃなかったっけ? 待ち構えてるのってアリなの?」
ぼんやりと上を見て嘆く。
そんなこと知りません。
いーじゃん、やりたかったんだもん。
「細かいこと言わないの! ほら、お菓子は? 持ってきてるのかなぁ、ウォルターは~?」
ちょっと意地悪く目を細めて声を低めておそろしげに言う。
なにしろ自分が『トリックオアトリート』をやろうと思っていた彼氏様のこと。
お菓子をもらうかいたずらをするかは考えていても、自分がその立場になるとは思っていなかったに違いない。
「……」
3度目の沈黙を返すと、ウォルターはへたりこんだまま、やけに大きなスポーツバッグを開けて、中身を改め始めた。
「……カラーペン、スプレー、クラッカー、トカゲのおもちゃ、クモのおもちゃ、おもちゃのピストル、木炭、魔女の衣装、卵……」
おいおいおい、ちょっと待て、ウォルター君。
「イタズラする気満々だったんだね……」
「当たり前だろ、依理愛。俺のためにあるようなイベントだ」
「それは違うと思う……ってか、私だってお菓子くらい用意してるし。……ところで、その『卵』って何?」
無駄にキリッとしたイイ顔をしてウォルターがキラリと目を輝かせて得意げに言う。
「投げつけようと思って!」
「別れる」
キッパリ。
そんなことしたら即サヨナラ。
見る見るウォルターが情けない顔つきになる。
「……本当にはしないって、依理愛……。するわけないだろ。ただ俺はちょっと脅かしたくて……」
「ねえ、ウォルター。一体どれだけイタズラする気だったの?」
「……ん、うーん、むー……」
あごに手を当て天井をにらんで何か考えこんでいたウォルターは、ビラッと魔女の黒いドレスを引っ張り上げた。
「依理愛、おまえに魔女のカッコしてもらって、写真撮りたくてさ……。かっ、可愛いから」
最後にはちょっと赤くなってぽつりと言う彼氏様。
「もう着てますが」
黒いワンピースってカンジだけど、一応帽子も被ってるし、ちゃんとした魔女の衣装グッズだし。
どっちかというとウォルターの持ってる高そうなドレスより魔女っぽい。
下からじっと上目遣いに私を見たウォルターが真面目な顔でうなずく。
「うん。似合ってる。さすが依理愛、可愛い」
「ありがと」
うーん、照れるなー。
もうっ。
熱くなった頬に手を置いて、ピンと思いついた。
「あ、ウォルター、お菓子持ってないんだよね? じゃあ、それ着て写真撮ろうよ。ね、それが私のイタズラ」
「うわっ」
ウォルターが口を手のひらで覆って、まじまじと私を見る。
悲しそうに眉を寄せて。
売られていく小牛のような目で。
……そんな顔してもダーメ。
おそるおそると卵を持ち上げて私に掲げて見せる。
「……なぁ、コレじゃダメ? お菓子」
「ダーメッ!」
確かにクッキーやケーキの材料にはなるけれど……。
逃がすもんか。
私だっていたずらは好きなのだ。
「そのかわり、後でパンプキンパイあげるね。手作りなんだよ。けっこう美味しくできたと思うな。その卵でも何か作ってあげる。だから、ね? ……観念してそのドレスを着ること!」
「うん……」
しょんぼりとしてうなずくウォルター。
今年は私の勝ち。
……でも、ま、何かさせてあげてもいいな。
持ってきたバッグの中身を使わなければ。
つまり、その……。
ウォルター自身が、することだったら、ね。
(おしまい)