ウォルター夢(依理愛)
夢小説設定
この章の夢小説設定設定:学パロ(ウォルター高校生)。
主人公は普通の学生の女の子。
内容:ウォルター夢。
カレカノの間柄。甘々。乙女心たっぷり。
名前を変換しない場合『依理愛(いりあ)』になります。
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……コホン。
ちょっとオシャレをしてきてみました。
彼氏様とのおデート。
白いセーターと赤いチェックのミニスカートに黒いニーソックスに焦げ茶色のショートブーツ。
仕上げに赤いベレー帽を被り、明るい茶色の大きめのバッグを持って。
少し大きめの白いセーター……下に淡いピンクのシャツ……を着て、赤い細いリボンをして、赤地に黒の細かい線が入ったチェックのふんわりとしたミニスカートに膝上のニーソで絶対領域を……という、かなりあざといマネをして。
っていうか、私としては、かなりがんばった。
ふんわりしたミニスカートなんて普段穿かない。
ヒールの高いブーツはまだあんまり慣れなくて履けないから、そこは仕方なく低めのブーツで妥協だけど。
かなりがんばって大人っぽいカッコしてみた。
だって彼氏様の周りは大人っぽいオシャレなコばっかりだし。
もしかして、こういうの好きかな、とか。
喜んでくれるかな。
可愛いって、もし言ってくれたら、嬉しいんだけど……。
さて、どうでしょう。
そわそわしながらケータイを見る。
駅前広場のなんだかわからないオブジェの前で待ち合わせ。
約束の時間15分過ぎ。
メールもなし。
私は小さくため息を吐いてケータイをしまう。
そしてちょっと唇を尖らせる。
よくあることだけど、ホントよくあることだけど、今度は何があったのかな?
……なんて、意地悪なことを考えてしまう。
いけない、いけない。
トラブルメイカーってタイプでもないのにね。
人がいいせいかなぁ。
いわゆる『巻き込まれ体質』ってやつ。
あれこれ考えて心配になってきた頃。
「悪い、依理愛! 遅れた!!」
「遅いよ、ウォルター!!」
彼氏様……ウォルターがやってきた。
ホント遅いよ。
私の前で急ストップして、体を曲げて膝に手を置いて、大きく荒い息を吐いている。
うわぁ、走ってきてくれたんだ。
私はとがらせていた唇を戻す。
「どうしたの?」
とりあえず聞いてから怒るかどうかだな。
顔を覗き込むようにして訊ねると、ウォルターがキッと顔を上げ、汗の滴をあごから垂らしながら、不満顔でとんちんかんなことを言う。
「『どうした』って……依理愛、おまえが待ってるから走ってきたんじゃん。これでもけっこう急いだんだぜ?」
「そうじゃなくて……」
逆ギレみたいにムスッとして言うウォルター。
そういうこと訊いたんじゃないんだけどな。
さらに訊ねようとした時、ウォルターが何かに驚いた様子でハッと目を見開いた。
そのままポカンとした顔で私を見ている。
……なんだろう?
言葉を待っていると、フイッと横を向いてしまった。
「とりあえず行こうぜ。買い物に付き合えばいいんだろ。俺とりあえずお茶飲みたい」
なんでもないみたいに言って歩き出す。
向かう方向を指差して。
こっちを見ずに。
……私はちょっとガッカリ。
せっかくがんばってオシャレしてきたのにな。
さっさと歩いていくウォルターに慌てて追いかけて隣に並んで冗談っぽく言ってみる。
「遅れたんだからおごってよー?」
「悪かったって。依理愛。ちょうどひったくりの現場に居合わせてさー……」
「何故だし」
「ええっ? ……いや、わかんねぇけど、遭っちゃったもんはしょうがねぇだろ。そんで倒れた女の人に手ぇ貸して……」
うんぬんかんぬん。
……まぁ、しょうがないよね、遅れても。
それはいいんだけど、気になることがある。
ウォルターの機嫌が悪くてすごくムスッとしてること。
巻き込まれたせいかなー?
……でも、それにしては……。
+++++
私のこと見ようとしない。
それどころか、どんどん歩くペースを落として、隣に並ぼうとしない。
なんか、すごく、私に対して怒ってるっぽい?
……もしかして。
このカッコの私が恥ずかしい?
すごく似合ってないとか?
嫌いだとか?
確かに、一緒に服を見てても、カジュアルな方が好きそうだなとは思ってたけど。
急に公園に入って行ってベンチに座ったりするから、一緒にいる相手も汚れてもいい格好の方が良いのかなとは思ってたけど。
……思ってたけど!!
た、たまにはオシャレ……とか思ったら、大失敗!?
……ううっ。
どうしよう……。
チラと見ると相変わらず仏頂面で辺りを見回しながら歩いているウォルター。
もうほとんど私の真後ろにいる。
……泣きたい……。
『可愛い』って言ってくれるどころじゃない。
喜んでくれるかと思って、怒らせちゃって、バカなことしちゃった。
やだ、勘違いしてた自分、恥ずかしい。
隣を歩いてもらえないなんて、目も合わせてくれないなんて、淋しいよー。
今からでもそこら辺のお店で服買って着替えようかな。
……うん、そうしよう。
幸い買い物に来たからお金は少しある。
……よしっ。
「ねえ、ウォルター」
私は真後ろをトボトボとついて歩くみたいなウォルターを振り返り立ち止まる。
つられて立ち止まるウォルター。
それでもきょろきょろと辺りを見ていてこっちを見ようとしない。
……うううっ。
胸が痛いよぅ。
「私、着替えたいから、ちょっとどこかのお店に寄ってもいい?」
「はっ? なんで?」
ようやくこっちを見てくれた。
と思ったら彼氏様ぽかん。
口を開けて私を見ている。
「だって……」
私は上目遣いに見上げておずおずと言った。
「この服似合ってないんでしょ?」
まじまじと目を見開いて穴の開くほど私の顔を見るウォルター。
「……なんで?」
もう一度の、今度は静かな『なんで?』に、ちょっと腹が立つ。
なんでって、だって……。
「さっきからちっともこっち見てくれないじゃん。一緒に並んで歩いてもくれないし。恥ずかしいんでしょ?」
口をとがらせて言うと、ウォルターがパチパチと瞬きをした後、真っ赤になってうつむく。
「依理愛……」
そのままで額に手を当て難しそうな顔で『うーん』とうなると、ウォルターは振り切るようにバッと顔を上げて、ただしそっぽを向いて言った。
「カノジョがそんな可愛いカッコしててジロジロ見られるわけないだろ!!」
「えええっ」
横を向いたままイライラした様子で髪をかき上げてほとんど叱るように言う。
「そんな短いスカートで他のヤツの視線が心配だしっ。依理愛はただでさえ可愛いんだから、そんなカッコしてたら狙われるだろ、男に」
はあー……。
なんか父親みたいな……なんて、ヤバい、笑っちゃいそう。
私は首を傾ける。
「……いや、大丈夫なんじゃないかな、私は別に……」
「大丈夫じゃないっ!!」
きっぱり言い切る彼氏様。
その必死の形相。
……ああ、怒ってたわけじゃなくて、心配してくれてたんだ。
えっと……嬉しいんですけど……でも。
「だったらこうしようよっ」
スタタッと駆け寄って距離を縮めて、私はウォルターの腕に腕をからめた。
「おい、依理愛?」
「これで一緒に歩けば他の人に声かけられないし、私のカッコもそんなに気にならないでしょ?」
ホントは見てほしいけど。
もっと他のことも気にしてほしいから。
せっかくのデートなんだし。
生真面目な顔で空をにらんで黙って何か考えこむ風だったウォルターがゆっくりと『うん』とうなずく。
「……まあ、これなら、その……」
言いかけてちょっと赤くなる。
それから慌てて言った。
「依理愛、ケーキ食べるんだろ、ケーキ。おごるって。いつものとこでいいか?」
「うーん、今日はクレープ食べたい気分かな」
「座れるとこでよろしく」
「ファミレスがあるよ。行こっ、ウォルター!」
私は腕を引っ張って歩き出す。
彼氏様もついに並んで歩き出した。
その目がチラと私の背後を見る。
「……やっぱ後ろが心配」
「大丈夫」
「今度からはせめて膝丈で……」
「ハイハイ」
(おしまい)