ウォルター夢(依理愛)
夢小説設定
この章の夢小説設定設定:学パロ(ウォルター高校生)。
主人公は普通の学生の女の子。
内容:ウォルター夢。
カレカノの間柄。甘々。乙女心たっぷり。
名前を変換しない場合『依理愛(いりあ)』になります。
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「ダリぃーっ……!!」
彼氏様がペンをテーブルの上に投げ出して仰向けに後ろにパタンと倒れた。
「ちょっとウォルター!」
私はびっくりして声を上げた。
だっていきなりなんだもん。
低いテーブルの向かいにあぐらをかいて座ってたカレシがひっくり返れば何かと思う。
慌てて立ち上がってテーブル越しに顔を覗き込む私に、ウォルターはにが~い顔をしてぼやいた。
「依理愛ー……。俺はもうダメだ。疲れた。ってかダリぃ。マジでムリ。勉強なんてやってられっか!」
「もーっ、あとちょっとじゃん、やろうよー!」
ウォルターの方に回って倒れたままのウォルターの手を起き上がらせようと引っ張る。
ウォルターはやけにきっぱりと言った。
「いや、もう、ホント、これ以上ムリ!」
「ええっ、そんなぁ……」
さっきまで真面目にやってたのになぁ。
なんでスイッチ入っちゃったんだろ。
難しい問題にでも引っかかったのかな。
ふたりで私の部屋のテーブルで、向かい合って座って、ウォルターはウォルターの課題を、私は私の宿題をやってたんだけど。
私はウォルターの学校の課題のプリントを見る。
本当にあと2・3枚ってところみたいなんだけど……。
そのウォルターは仰向けにひっくり返ったままで窓の方を見て今日の青い空を眺めている。
「あーもう……全部紙ヒコーキにして飛ばしちまうか!」
やけのように言うから私はじっとにらみつける。
「卒業できなくなるよ」
「……」
黙ってじっと目を細めて何か考え込んでいたウォルターがむくりと起き上がってぼそりと言う。
「……それは困る」
「でしょ?」
当たり前だよね。
そしたら、二ヘッとゆるい笑みを浮かべて、私を見る。
「依理愛と結婚できなくなる」
「もーっ、バカばっか言ってぇ……」
とたんにムスッとしてまた仰向けに倒れ込む。
「あーあ……どうせ俺はバカだよ。こんな問題も解けねぇよ。っていうか、いい加減ダリぃ」
すねちゃった。
まぁ、しょうがないか、とため息を吐く。
勉強を始めてからかれこれ3時間近い。
うんざりもするよね。
私もちょっと疲れたし……。
ひっくり返ってなんかぐったりしてるウォルターの顔の横に座り込む。
ウォルターの目がじっと私の膝を見る。
私はぐっと拳を握って言った。
「がんばれ、ウォルター! 大丈夫! 君ならできる! やれる!! やればできるコだ、君は!! 私は信じてるよ!!」
死んだ魚のような濁った目でじっと私を見上げたウォルターがぷいっとそっぽを向いた。
「……やる気にならねぇ……」
あらら。
やらなきゃできないのはホントだぞー?
……なんて追い打ちをかけるのもな。
ついでに言えば、信じてるのも本当だぞぅ。
でも、まぁ、ここはひとつ。
「ねえ、全部終わらせたら、私が何かご褒美あげる」
がばっと起き上がるウォルター。
「ホントッ!?」
「うん、ホントホント。何がいい?」
「……」
答えずに私の顔を見てニカニカ笑ってるウォルター。
ん?
私が小首を傾げると、うつむいて首をすくめて笑う。
んん?
いたずらっコみたいな笑みに嫌な予感。
んんん?
「……後で」
結局ポツリとそう言うから、まあいいかと思って、立ち上がった。
「じゃあ、気分転換しよっか。新しいお菓子とコーヒー持ってくるから、待ってて」
そう言って扉に向かう。
背中に彼氏様の声。
「依理愛、宿題は?」
「私は終わったの」
振り向いてにっこりと笑う。
「……ズリぃ……」
なんにもずるくありませーんっ。
扉に向き直る一瞬前、テーブルに肘を置いて頬杖を突いたウォルターが、ニヤリと笑うのが目に入った気がしたけど、私は気にせずドアを開けた。
ガサガサゴソッ!
私は部屋の扉を開けたまま呆然とする。
……あれ?
今ウォルターがやけに素早い動きを見せたような……?
見れば課題のプリントをやってるのかその上に顔を伏せている。
……うーん、見間違いだったのかなー?
私の勘違いかな。
まぁいいや。
片手に持ったお盆が重たいから中に入って扉を閉める。
「お菓子持ってきたよー」
「おー、サンキュッ」
『はーい』と手をのばす彼氏様にお盆を渡して、私は出しっ放しだった教科書やノートをしまう。
ウォルターの方も、進んではいないけど、やる気になったみたい。
放り投げられていたペンが手元にある。
でも、それはそれとして、休憩時間。
「クラスのコがね……」
「ふんふん」
パリパリお菓子を食べながらおしゃべり。
ストレス解消もかねて。
時々ウォルターが話に関係なくニヤつくのが気になるけど。
「できたーっ!!」
最後の1枚を握りしめて、嬉しそうにウォルターがはしゃいだ声を出す。
邪魔にならないようにと向かいで本を読んでいた私はパチパチと手を叩く。
「俺、えらい?」
「えらいえらい、カッコイイ!」
えい、おまけまでつけちゃうぞ。
首を傾げて訊いてきたウォルターは、褒めるとその笑みを大きくして、それから真面目な顔になって言った。
「依理愛、ならご褒美もらってもいい?」
「……うん、いいけど、なに?」
トントンと紙をまとめると、その上にペンケースを置いて、ツツツ……とウォルターが近寄ってきた。
なんだかとっても緊張した様子で。
私のすぐ横に来ると、怖いくらい真剣に、ぼそりと言った。
「ひざまくら」
膝枕してあげました。
次の日。
私はノートを開いてびっくりした。
だって宿題の次のページが落書きだらけなんだもん。
……やったなー、ウォルターめ……。
あの時間だなと見当をつける。
お茶とお菓子のために席を立った時だ。
なんか戻ってきた時ガサゴソしてたもん。
……もうっ、こんなことして……怒っちゃうぞ。
次に会った時おしおきだな、これは。
ぷんぷんとしてページをめくる。
次のページを見て私は目を見開いた。
『依理愛、大好き』
大きな文字が、ちょっとカッコつけた文字が、小さなハートマークつきで。
……どんな顔してこんなこと書いたんだろ……。
私はウォルターのうつむいてた顔と、話してた途中に見せたいたずらっコみたいな笑みや、はにかんだ笑顔を思い出す。
思い出して笑ってたんだ。
私がどんな顔するかと思って。
……しょうがない、許してあげよう。
私は真っ赤な顔を先生に見られないようにうつむけた。
次の彼氏様とのお勉強会。
私は向かいで勉強してるウォルターのノートに、逆さまに『好きだよ』と書いた。
ノートをひっくり返して読んだウォルターが真っ赤になったのは言うまでもない。
(おしまい)