アンディの学習能力。
また、ある日。
執務室の近くを通りがかったアンディは、バタンという激しくドアが閉まる音に、そちらを振り向いた。
垂れ目の両目の下にそれぞれふたつずつピアスをつけた、凶悪な顔つきの大柄な男……ライアン……がドカドカとこちらに向かって歩いてくる。
扉を叩きつけたのはどうやらライアンのようだ。
「ったく、胸クソ悪ィ仕事だぜ。マフィアのくせにアジト放っぽって逃げ出しやがったふにゃ(ピー)野郎どもを捜し出せなんて、ゲロが出らぁ」
ガチャッとまたカルロの部屋の扉が開いてひとりの少女が飛び出してきた。
「ちょっと!!」
またバタンッと音を立てて乱暴に扉が閉められる。
ライアンの背中を追いかけて、可愛らしくふくらんだスカートを揺らして走っているが。
怒りに目を三角にして顔を真っ赤にしている。
「待ちなさいよ!! レディの前でなんてこと言うのよ!! クソッタレ!!」
「あ? さっきも今も前じゃなかっただろうが。ま、俺に言わせりゃレディなんてあの部屋にいなかったはずだがな」
「こっのゴミバケツ生まれのゲロ山育ちヤローがっ!!」
あわあわあわ……。
アンディは通路の端に突っ立ってぶるぶると震える。
あのやりとりは執務室の中でも行われたのだろうか。
カルロの目の前であのやりとりが……。
ライアンを追いかけていたコニーがアンディに気付いた。
「あら、アンディ」
今までのやりとりが幻だったかのような爽やさでにっこり笑顔で駆け寄ってくる。
「いたの?」
その一言がちょっと不穏なものが感じられたが。
「うん」
アンディはこっくんとうなずく。
後からゆっくり大股でやってきたライアンが上から見下ろして面白くなさそうに言う。
「ガキはとっととクソして寝ろよ」
「ちょっとアンタッ!!」
また憤然として眉を吊り上げてコニーが怒鳴る。
アンディはまぶたを半分以上下ろした冷たい目でそんなふたりを眺める。
ああ……。
(つづく)
