つながる先は・・・
着ていたシャツを脱いだ。
そして適当に……きちんとたたまれた服の中から……1枚を選んで頭から被る。
スポッと顔を出し、腕を通し、胸の辺りで丸まっていた布を下に引っ張り下ろす。
しっかりピシッとするまで布を下に引っ張った。
袖なども直して、きちんとしてから、シルヴィオは鏡に向かって歩く。
おかしいところがないかどうか確認するためだ。
鏡の前に立った。
服を着る際にずれてしまった眼鏡のつるを指で押して直す。
その際にカチャッ……という微かな金属音がして、鏡に向けるはずだった目を、シルヴィオは手元に落とした。
右の手首に手錠が。
鎖の半端なところでちぎれた銀色の輪が。
それが自分の手首にはまっている。
もう長い間のことだ。
それをじっと眺めて、シルヴィオはふいに眉をひそめ、険しい顔になって、キッと空をにらんだ。
決していまいましげではなく、しかし熱を持った、決意のこもった真っ直ぐな瞳で。
視線の先に目指す相手がいて、まるでその相手への道が見えているかのように。
真っ直ぐ、どこまでも真っ直ぐに、それを見据えていて。
この手錠の鎖の先は……
……たとえ外れていようが、この先には彼がいる。
自分の捕まえるべき相手が。
つながっている。
一度は捕まえたものの逃げられてしまった相手。
ダリオ・ガリアーノ。
自分が諦めていない以上、この手錠は、鎖は、彼と自分をつなぐ。
必ず捕まえてみせる……!
きゅっと下唇を噛み、ぎゅっと拳を握りしめ、身を震わせる。
それからふっと全身の力を抜き……ずいぶん熱くなってしまっていたようだ……シルヴィオはもう一度落ち着くために眼鏡を直し、服を着る際に乱れた髪の毛をさっさっと撫でつけて、ゆっくりと鏡から離れた。
途中で準備をして、それから赤いコートをバサリと羽織り、ひらりと翻らせ。
鞄を背負って部屋を出た。
仕事だ。
(おしまい)
