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オシャレをさせたいお年頃v






「んんー……」

 コニーはドレッサーの前で悩んでいた。

 鏡のすぐ前にいるのは、自分じゃなくて、監視鴉のアンリ。

 それをじっと見つめて、頬をふくらませ、唇をとがらせ、額に皺を寄せて。

 片手にヘアブラシ、もう片手にヘアスプレーを持って。

 難しい顔をしてうなっている。

「ううーん……」

 無理やり鏡の前に置かれていたアンリが振り向いておずおずといった様子で言う。

「コ、コニー様、もういいでシ」

 コニーは残念そうな顔になって大きなため息を吐いた。

「鴉の羽に櫛は通らないわよね……。でもこのスプレーだったらつけて撫でるだけでも……」

 アンリが慌ててバサバサッと羽ばたく。

「変なところに入ったら壊れるでシよ!?」

「そうねぇ……」

 コニーは考え込むような顔をして空を見た後、しばらくして、ごそごそと林の木々のように立ち並ぶ髪の毛をセットするスプレーやワックスの中を漁り出した。

「これならたぶん……表につけるだけだから……あっ、こっちのほうがいいかも。うーん、これも……」

 やがてひとつの瓶を選び出した。

 きらきら輝く目でアンリを見て。

 透明な液体に何かきらきらしたものが入ったその瓶をアンリに見せる。

「さっ、アンリちゃん! これでもっときれいになれるわよ! きらきらになりましょっ」

「ごめんなさいでシ~!」

 アンリは逃げ出した。

 あんな人間の髪の毛を固めるようなものでガッチリ羽を固められたら飛べなくなるかもしれない。

 残されたコニーはぷぅっと頬をふくらませる。

「何よ、何よ。いいわよぅ。あれもこれも全部アンディに使ってやるからー!!」

 その頃、スフォリアと仲良く本を読んでいたアンディは、クシャミをしていた。

「か、風邪……?」

 隣のスフォリアがあたふたして心配そうに訊く。

「いや、なんだろ。わかんないけど、ぞくぞくする……」

 アンディは鳥肌の立った腕を抱きしめて震える。

 嫌そうな半眼になって空をにらんで。

 相手は何かわからないけど。

 嫌な感じがする……

 ……と。

 頑張れ、アンディ!

 災難はもうすぐそこだ。





(おしまい)
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