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冷蔵庫の中の残り物から、ソーセージ、魚介のサラダ、ポテトとベーコン炒め、カナッペ、チーズ、他。
手早く用意した品がテーブルに並ぶ。
酒の缶や瓶でできた林の隣に色鮮やかな野原のように。
「おおーっ」
アンディが目を輝かせる。
バジルはつけていたエプロンを外してテーブルの自分の席に戻った。
そこでアンディの横の空になったビールやカクテルの缶の山を見つけて舌打ちする。
「待ってろって言ったろ」
「だって、大丈夫だよ、お菓子も食べたから」
確かに空になった袋がいくつかある。
「はい、コレ、バジルの分」
どさっと菓子が山を越えてバジルの元にやってくる。
「取っといてあげたよ」
バジルは缶の中から甘いものを選んで取り上げて目の前の菓子を不満げに見た。
「気持ちわりぃ」
「えっ、そんな……」
「酒と一緒にこんなベタベタしたもの食えとかありえない」
ハッと笑って首を振って自分の箸に手をのばす。
ちなみにアンディにはコンビニの割り箸を置いてある。
それを手に取りながらアンディが言う。
「別に無理に食えとは言わないけどさ、せっかく買ってきたのに……。バジルが食べるかなと思って。甘いもの嫌いなの?」
「いや、そうじゃないが……」
「じゃあ、もらってよ」
もらう。
返事はせずにバジルは菓子を引き寄せて横に置いた。
アンディのしょんぼりした様子ではなく、たんにこうも自分だけ迷惑をかけられて何も得るものがないのでは不公平だと思っただけだ。
それだけだと自分に言い聞かせる。
自分で作った料理を食べて、当然ながら美味いと思い、手元の缶を開けて飲む。
美味いけれど、美味いという気はない。
向かいではアンディが魚介のサラダを食べて『美味しい』とぼそりと言っている。
バジルは当然だというフリでそれを聞き流した。
少し嬉しくても表に出さずに。
(つづく)
