このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

幼稚園ミニ3




(オマケ)





 白い画用紙を取り出します。

 トン、トンと、のりとテープを机の上に置きます。

 どさっと、ビニール袋を取り出して、中身を机の上に出します。

 赤い紅葉の葉、赤や黄色やオレンジの桜の葉、真っ赤な蔦の葉などです。

 アンディ君はそれを一枚一枚取り上げて、裏にのりをつけ、紙に貼って、テープで丁寧にとめていきます。

 通りがかったアンナ先生がアンディ君の机の横で足を止めて覗き込んで訊ねます。

「あれ? アンディ君、何してるの?」

 アンナ先生は微笑んでいました。

 一目見てアンディ君のしていることが何かわかったからです。

 アンディ君はそんなアンナ先生を丸い目で見上げて言いました。

「……見た通りだよ」

 言って恥ずかしそうにほんのり顔を赤くしてうつむきます。

「き、きれいだったから……取っておきたくて」

 言い訳のようなそれに、アンナ先生は首を傾げて、目をぱちぱちとさせます。

「……いい考えだと思うけど?」

「そう?」

 怒ったようにむすっと仏頂面になってアンディ君は今度は少し乱暴に紙に葉っぱを貼り付けます。

 あきらかに照れています。

 アンナ先生は『ふふっ』と笑います。

 アンディ君が落ち葉を集めて画用紙に貼っている理由。

 たんに『きれいだから』ということだけじゃないでしょう。

 人の気持ちを大切にするアンディ君らしいです。

 みんなと一緒に落ち葉拾いをして焚き火をして焼き芋を食べた。

 そんな今日のことが楽しかったのでしょう。

 それを取っておこうとしているのです。

 アンナ先生はせっせと落ち葉を紙に貼っているアンディ君の丸い後ろ頭を眺めてにこにこしています。

 その時、後ろからウォルター君がしのびより、ばさっとアンディ君の頭上にたくさんのいちょうの葉を落としました。

「うわっ!」

「きゃっ!」

 アンディ君が驚いて大声をあげます。

 横にいたアンナ先生もです。

「へへーっ」

 ウォルター君は得意そうにやんちゃな笑みを見せてニヤニヤしています。

「コレも貼れよ、アンディ! おまえソックリの葉っぱ!!」

「こらーっ!!」

 アンナ先生は目を三角にして怒ります。

 当然たくさんの落ち葉は床にも落ちたのです。

 アンディ君の机の上も葉っぱで山のようになりましたが。

「うお、ヤベッ」

 怒鳴られて焦ってウォルター君が逃げ出します。

「待ちなさい、アンタはーっ!!」

 アンナ先生が憤然と拳を振り上げて追いかけていきます。

「ああ……」

 アンディ君は机の上の落ち葉のごちゃごちゃした山を眺めて嘆きます。

「怒りそびれた……」

 アンナ先生に先にウォルター君を叱られてしまったので、アンディ君だって頭に来たのに、怒るタイミングを逃してしまったのです。

 しょんぼりとして、いちょうの葉の山から、自分の集めたきれいな葉を救い出します。

 たくさんのいちょうの葉っぱはバサバサと机の上から乱暴に落とします。

(アンナ先生が見たらこれでアンディ君も怒られたことでしょうが)

 しかし、いちょうの葉の一枚を手に取って、じっと眺めてから……。

 アンディ君はささっと自分の集めてきたきれいな葉っぱの山に加えました。

 そして再び画用紙に葉っぱを貼り始めました。

 頬を赤く染めて。

 嬉しそうに。





(おしまい)
4/4ページ
スキ