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幼稚園ミニ3




 晴れ渡った秋の青空の下。

 風はありませんが、さすがに冬に近付いていて、空気が冷たいです。

 そんな中で。

 赤いスモックを着たこどもたちが大きなビニール袋を手に落ち葉を拾っています。

 一枚一枚確かめるように。

 こどもたちは道路に落ちている落ち葉を拾い上げてはビニール袋の中に突っ込みます。

「あ、これ、ウォルターの髪の色っぽい」

 そのひとり……アンディ君……が真っ赤なもみじを手にもうひとりの頭に近付けて並べてみます。

「ああ、……あ、こっちはおまえの髪っぽい」

 もうひとり……ウォルター君……がニッと笑っていちょうの葉っぱをお返しのようにかざして見せます。

「ほら、こうすると、そのまんまおまえの後ろ頭……」

 いちょうの葉の先をつまんでアンディ君の顔の位置に持っていってぶらぶらとさせます。

 アンディ君の切りそろえた金髪のおかっぱ頭をからかっているのです。

 ムッとした様子のアンディ君がウォルター君の頭に真っ赤なもみじをくっつけました。

「ウォルターの髪の毛とこの葉っぱも同じだよ。……もうさ、めんどくさいから、ウォルターの髪の毛むしって渡さない?」

 ウォルター君がさっと青ざめます。

「ひど!! なんてことを!! ハゲるだろーが、俺が!!」

 怒るウォルター君にアンディ君は冷たい目を注いでうんざりと言います。

「だって、落ち葉集めるっていったって、こんなにいっぱい落ちてたら……」

 道路を眺めて途方に暮れた顔で口を閉じます。

 幼稚園の周りの道路は落ち葉でいっぱいです。

 もみじ、いちょう、さくら、すずかけの木、ぶな、こなら、その他……たくさんの赤や黄色や茶色で埋められています。

 ウォルター君は同じように周囲を眺め、それでも腰に手を当てて、悩む様子もなくあっさりと言います。

「いいじゃん。こんなの形だけだって。もう園内の落ち葉を掃いた分で足りてんだから。たんなる『自然と触れ合う授業の一環』だろ。先生は参加してる気分を味わわせたかっただけだと思うぜ? 適当でいいんだよ」

「じゃあもういいよ。戻ろうよ。寒いよ」

「あー、待て待て、どっかその辺にシルヴィオたちがいるから……」

 引き止めようとするウォルター君を無視してアンディ君は背を向けてそそくさと幼稚園の門に向かって歩き出します。

「おいおい、待てよ!」

 慌ててウォルター君が追いかけます。

 がっさがっさと大きなビニール袋が揺れます。

 それでも少しの間にずいぶんと集まったのです。

 ちょうど幼稚園の門のところで反対側の落ち葉を拾いに行っていたシルヴィオ君とジョゼフ君に会いました。

 ふたりよりも大量の落ち葉を入れた袋をふたつもみっつも担いでいます。

「おー、すげぇな、よくそんだけ集まったじゃん!」

 『この短い間に』と感心しきりです。

 ジロとふたりを見たシルヴィオ君は『はぁ……』とため息をつきます。

「どうせ遊んでいたんでしょう?」

 言われたウォルター君がビクリとします。

 その通りだからです。

 ウォルター君は葉っぱの裏に毛虫を見つけて騒いだり、アンディ君は落ちていく葉っぱを眺めてぼんやりしていたりで。

 そして遅々として落ち葉集めは進まなかったのです。

 ジョゼフ君が苦笑いして言います。

「まぁ、こんだけありゃ、じゅうぶんだろ」

 4人、袋を抱えて、門をくぐって庭の真ん中に向かいます。

 そこには山と落ち葉が積まれていました。

 アンナ先生とコニーちゃんがマッチや新聞紙やアルミホイルを用意して待っています。

 これまたたくさん積み上げられたさつまいもの隣で。

 入ってきた4人に気付いて手を振って『こっちこっち』と呼びます。

「焼き芋には」





(つづく)
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