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幼稚園ミニ1




 アンディ君はショックを受けてプルプルしています。

 また、ウォルター君も、屈辱にひそかにプルプルしています。

「最初は下僕……次は従者って……」

 自分に対するコニーちゃんとシルヴィオ君の見方があまりにもヒドいです。

 常日頃その程度に軽く見られているみたいで。

 そう思ってちょっと涙が出てきます。

 遠い目をしてつぶやきます。

「せめて『王子様』って言ってくれよ……」

 もうアンディの王子様でもいいから!!

 そんなことを言って嘆きます。

 ちなみにその時コニーちゃんもハッとして『私が意地悪な姉に見えたってこと!?』とシルヴィオ君に詰め寄っていました。

 シルヴィオ君は口には出しませんでしたが、実はコニーちゃんのことを継母の役かと……。

 不自然にズレてもいない眼鏡の位置を直してごまかします。

 その間、ウォルター君は、しばし地味にショックを受けて悲しんでいましたが、やがて何かを思いついて顔をパァッと明るくします。

 そしてアンディ君にニッと笑いかけて言いました。

「おい、アンディ。あそこにシルヴィオ王子様がいるぞ。ガラスの靴ピッタリだし、結婚してやれ……っで!!」

 ……ゴッ!!

 最後の言葉は悲鳴の高さです。

 アンディ君はサッカーボールを蹴るサッカー選手のように勢いよくウォルター君の頬を蹴った足で、続けてペチペチとウォルター君の頬を叩きます。

 ひどく冷たい目で、据わった目で、それでいて死んだような目で、見下ろして。

 コニーちゃんとシルヴィオ君のふたりは呆然としています。

 地の底から響くようなアンディ君の低い声が吐き出されます。

「……ウォルター?」

 咎める声に、ウォルター君が必死に目をつり上げて怒鳴ります。

「悪かった悪かった、俺が悪かった!! よせ、アンディ!! 痛いわ!!」

 アンディ君が足を止めます。

 ……と、そこに、ジョゼフ君がやってきました。

 ジョゼフ君は教室の中でひとりのんびりと温かいお茶を飲んでいたのですが、窓の外で騒ぐ4人に気付いて、『どれどれ』とやって来たのです。

 そして、現場を見るなり、楽しそうにこう言いました。

「お、なんだ、足ツボマッサージか? いいな。俺も頼むよ、ウォルター」

 アンディ君とウォルター君はがっくりとします。

 疲れ切って。

 アンディ君の内心。

 もういいよ、もう……。





 『足の裏にトゲでも刺さってるんじゃない?』というコニーちゃんの指摘に、ウォルター君は足の裏を見せるようアンディ君に要求します。

 アンディ君はぶんと足を上にあげました。

 ……ゴンッ!!

「……ゴメン」

 ウォルター君がアンディ君にあごを蹴られて後ろにひっくり返ります。

 倒れゆくウォルター君は思いました。

 もういいよ……と。





 結局、アンディ君の足の裏に刺さった小さなトゲをコニーちゃんが抜いて、この件は終わりました。

 別にめでたくはない。

 ちゃんちゃん。





(おしまい)
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