幼稚園ミニ1
「ねぇねぇ、何してるの? ふたりとも」
ベンチに駆け寄り、明るい笑顔で、可愛らしく小首を傾げ、これまた可愛らしい声で無邪気に訊ねます。
実は、コニーちゃんは、同じ組の女の子とお庭で遊んでいて、ふたりの姿は目に入っていたのですが、女の子たちの遊びから抜け出せずにいて、ところが急に大声が聞こえてきたので、気になって来てみたのでした。
やってきたコニーちゃんが目にしたのは、アンディ君の裸足の足を持ち、そこに顔を近付けるようにしてうつむいてじっと固まっているウォルター君と、なにやらそれを見下ろすようにツンとあごを上向けているアンディ君でした。
ふたりは声をかけられてコニーちゃんの方を見ます。
いくぶんギョッとして。
「なに、って……」
今までの話題が全然違う内容だったので、ふたりは戸惑います。
あれ、なんだっけ、と。
答えに困って。
最初自分たちは何をしていたのだろうかと。
「何をしてると思う?」
ウォルター君が困惑している間にアンディ君がそんなてっとり早い返しで済ませようとします。
じろりとその目を細めてコニーちゃんを見据えて。
コニーちゃんは少しもたじろぐことなく、またためらうこともなく言い放ちました。
「そうね。アンディがウォルターに『ボクの足をおなめ』とか言って、ウォルターがそうしようとしてるとこ?」
これは男ふたりには衝撃でした。
「何故!?」
「どういうこと!?」
ふたりとも愕然としてコニーちゃんを見ます。
ショックです。
とんでもないことです。
いろんな意味で大ショックです。
もちろん、とうに『アンディの足が痛むから石でも入ってないかと靴下を脱がせた』ことを思い出していたふたりにとっては、この勘違いはヒドいものでした。
「そんなふうに見えるの……?」
アンディ君は思いっきり目を見開いてぽつりとつぶやきます。
ウォルター君に『足をなめろ』と命令したと思われるなんて、そんな傲慢な人間だと思われていたなんて、悲しいです。
勘違いにしたって……。
「どう考えたっておかしいだろ、その見方は……」
コニーちゃんをジト目でにらんで、ウォルター君も嘆きます。
『足をなめろ』と言われてそうするような自尊心の低い男だと思われていたと知ったウォルター君もとても悲しいのです。
ふたりの反応に、責められていることを感じたコニーちゃんは、腰に手を当てて、もう片方の手でビシッとふたりを指差し、きっぱりと言いました。
「女王様とその忠実な下僕に見えるわよ。どうしたの? ウォルター。Mになるところ?」
「アンディに調教される覚えはねぇぞ!!」
「ああ、そう。じゃあ、誰になら調教されるの?」
「いやっ……Mじゃない! 俺は決してMじゃない!!」
ウォルター君は必死で主張します。
冗談じゃない、と。
目をつり上げてわめきます。
「調教されねぇからな!!」
アンディ君は呆然としています。
はっきり言って、よくわからなかったので。
事態がのみこめなかったというか。
で、無言。
見開いた目のまぶたを半分おろし、呆れ顔で、ぷいっと横を向きます。
ウォルター君とコニーちゃんを放っといて。
ボクの足のことはどうなったんだ……と微かに不満に思いながら。
と、そこに、シルヴィオ君がやってきました。
(つづく)
