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とある幼稚園の1日。~お絵描きをしよう! 編~




~じゅぎょう2・お絵描きをしよう!~





 赤組の教室の中。

 机はいくつかのグループに分けられくっつけられたままですが、その机の上の紙ねんどや紙ねんど作品やそれを作るために使ったお道具などは片付けられています。

 そして園児たちが作った作品は一様にロッカーの上で乾くのを待たれています。

 絵の具なども使いましたが、教室は元の通りキレイにされています。

 ……ごく一部を除いては。

 いえ、ごく一部もキレイではあるのですが……。

 真っ黒になった……ちなみに生乾きだったために少しねちょねちょした……カラスの形の巨大な椅子は、教室の外に出されました。

 黒い絵の具をこぼしたのはほとんどビニールシートの上だったために、床はそれほど悲惨なことにはなりませんでした。

 何枚かぞうきんが犠牲になりましたが。

 そして、授業の残りの時間で、頭からバケツの黒い絵の具を被って真っ黒になってしまったアンディ君とジョゼフ君は体を洗って(なんとこの幼稚園シャワー室があるのです、お金持ちが運営してるから!)ジャージに着替えて、その上に替えのスモックを着ています。

 スカートに絵の具がはねたコニーちゃんも下だけジャージに穿き替えています。

 コニーちゃんの怒りようはものすごいものでした。

 アンナ先生がアンディ君とジョゼフ君をシャワー室に入れて、ふたりが体を洗って出てくるのを待っている間コニーちゃんのスカートの汚れ落としを手伝っていたのですが、それを相手にずっと元気に文句を言っていました。

 何に対して、って、ウォルター君にです。

 『信じらんない!』ということで。

 大事なスカートを汚された乙女の怒りはハンパなかったようです。

 ウォルター君とは、最初に怒鳴りつけてから、その後は口をきこうとしません。

 ムスッとして目も合わせようとしません。

 ジョゼフ君は何も気にした様子がありません。

 何故かシャワーでなく温泉にでも入ってきたんじゃないかそのほうが似合うんじゃないかというくらいのんびりとして楽しんできた様子で、体も温まって今は眠たそうにうとうととしています。

 満足、といったふうで。

 まぁ、授業中にシャワーを浴びれるというのもめずらしい体験ですし、ジョゼフ君は巻き込まれただけなのでそれほどリカルド先生に怒られてませんし、悟りきったようなところがありますし。

 そう、シャワーを浴びに行く前、アンディ君・ウォルター君・シルヴィオ君・ジョゼフ君・コニーちゃんと一列に並ばされて、リカルド先生に怒られたのでした。

 中でもひどく怒られたアンディ君は……。

「ウォルターにスミ吐かれた……」

「だから俺はイカじゃねぇって!! スミは吐かねぇよ、アンディ!!」

 くっつけられた机に並んで座ったふたり。

 さっきから不機嫌そうに半眼でぶつぶつとつぶやくアンディ君に、ウォルター君が目をつり上げて必死に怒鳴って自己弁護に励んでいます。

 ハー、とアンディ君がため息を吐きます。

「よごされた……」

「その通りだけど!! なんか嫌な言い方!! 誤解を招くだろ!?」

 ウォルター君にしてみればさんざんです。

 わざとしたことじゃないのに。

 怒られっぱなしで涙目です。

 あと、アンディ君、しつこい。

 そんな気はなくても、うつむき加減で、濡れた髪の毛の先からピチョンピチョンと滴を垂らして……タオルを首にかけていますが……その上、半分まぶたを閉じた目でじぃっと見つめてくるので、ウォルター君の良心を直撃です。

 本人に責める気はなくても、どんよりとした暗い空気をまとっていて、申し訳ない気持ちにさせるのにじゅうぶんです。

 ……っていうか、少し怖いくらいです。

 そしてぶつぶつ言うのですから……。

「あーもう!!」

 ウォルター君は手をのばしてアンディ君の首のタオルを奪い、アンディ君の頭の上にそれを乗せて、がっしがっしと髪の毛を乱しながら荒っぽくふき始めました。

 いきなり頭を乱暴に揺さぶられて暴れるアンディ君。

「わっ、ちょっ……やめ、ウォルター!!」

「うるせぇ!!」

 ふたりがじゃれ合っていると……。





(つづく)
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