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とある幼稚園の1日。~紙ねんどで遊ぼう! 編~




「ところでシルヴィオ、おまえ自分の作品は?」

 カラスの椅子の頭部をアンディ君と作っていたウォルター君がシルヴィオ君に問います。

 ウォルター君は、ひたすらに丸いかたまりを大きくすることに早くも飽きてきて、手が休みがちです。

 上機嫌で羽を作っているジョゼフ君の作品はまだ色塗り前とはいえほぼ完成に近いようですが……。

 シルヴィオ君はどうしたのでしょう。

 ちなみにウォルター君は自分の作品を作る途中で抜け出してアンディ君のところに来ています。

 途中で抜けたのでシルヴィオ君の作品がどうなったか知らないのです。

 問われたシルヴィオ君はニコリともせずに真面目に答えます。

「俺のはレンガを乾かし中ですよ。色を塗ってから組み立てます」

 レンガの家です、と言うシルヴィオ君。

 同じく……こちらは一番最初からやっていたので手の疲れた様子で……休みがちなアンディ君がぼそりと言います。

「それでウォルターはワラの家か何かなの?」

「アンディ!!」

 『3匹の子豚』です。

 暗に計画性のないウォルター君を皮肉っています。

 だからウォルター君は目をつり上げて怒鳴ります。

「紙ねんどでワラの家なんか作れるか!! ソレ紙ねんどの家じゃん!! レンガでも紙ねんどの家じゃん!!」

 少しズレています。

 っていうか、シルヴィオ君は認められたっぽくて、自分は軽く見られたようで、面白くないのでしょう。

 とても悔しそうです。

 アンディ君は『まぁ、いいけど』なんて言います。

 『よくねぇよ!』とウォルター君がにらみつけて言います。

「おまえならなんの家作んの? アンディ」

「紙ねんどで作るんだから紙ねんどの家じゃない? ボクは中に石とか入れて強くするけど」

「……俺、なんとなくおまえと雪合戦したくない……」

「えっ?」

 驚いてぽかんとしてアンディ君はウォルター君を見やります。

 ウォルター君は顔を見ずに急にせっせと手を動かし始めます。

 紙ねんどの家を頑丈にするために中に石を入れるからって、雪合戦の玉に石を入れるかどうかはまた別の話なんですが。

 その冷静さに怯んだといったところでしょうか。

 ただの雪玉じゃダメだと判断したアンディ君が石で補強する図がウォルター君の中に鮮明に描かれたのでしょう。

 まったくお互いにヒドい話ですが。

 横からシルヴィオ君が口を出します。

「ウォルターは車を作ってましたよ。コニーに最初に作った虫を壊されてから」

「え? アレ、車だったの? 虫だと思った……」

「放っとけ!!」

 キッと涙目でウォルター君はふたりをにらみます。

「ああいう車があるんだよ!!」

「ふーん……」

「ホントだって!!」

「ああ、そう……いや、別に、ボクは……」

 何も言ってないけど。

 無感動な目でアンディ君は言います。

 ウォルター君は悲しげです。

 シルヴィオ君が生真面目に休まず手を動かしながら口を開きます。

「アンディ。ウォルターは、いたずらしようとして失敗して、元気がなくなったらしくて。ずいぶんいい加減でしたからね。やる気がついえたといいますか……。まぁ、無理もない。作った作品を壊されたわけですし……あそこまで嫌がられれば。それもまぁ当然ですが」

 真顔で言い放つシルヴィオ君を信じられないといったように目を見開いてぽかんとしてウォルター君が見つめます。

「え? 何それ。本人の前で言う?」

 安定の扱いのヒドさです。

 嫌がられたとか、それも当然だとか、ショックです。

 ウォルター君は『ほんのいたずら心なのに……』としょんぼりします。

 シルヴィオ君は一向に構わずにそっちに向けて両手を出して言います。

「大きさはこんなものでしょう。ほら、作った頭部をください。くっつけます」

 アンディ君が無言で持っていたカラスの頭部を渡します。

 ……ゴッ!!

 その白い丸いかたまりが床に置かれたもうひとつの何倍も大きなかたまりにものすごい勢いで叩きこまれます。

 シルヴィオ君によって。

 ちょっとダンクシュートを思い出させます。

 危うくカラスの頭部がつぶれるところです。

「おーい、首あるぞー、普通」

 『えっ?』『えっ?』と驚いた顔をしてリアクションを取れないアンディ君とウォルター君と違い、ジョゼフ君は慣れたもので、冷静に突っ込みます。

「座ってるんだからいいんですよ。首も寒さで縮まっているんです」

「いやいやいや、鳩じゃないから」

 乱暴な理屈に、ジョゼフ君が場所を代わり、形を整えはじめます。





(つづく)
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