アンディの学習能力。
またまたまた、ある日。
アンディはガチャッと執務室の扉を開ける。
「おお、アンディじゃないか。どうした?」
軽く片手を挙げて言ったのは部屋の主ではなくジョゼフだった。
ソファーに座って、アンディのほうを向いて、にこにこしている。
その傍にはモニカがバインダーを抱えて立っている。
机の向こうにはカルロもいる。
「……そっちがボクに用がなければ、ないんだけど」
少しためらった後、目をそらして、言いにくそうに言う。
「来ちゃいけなかった?」
モニカがにこにことして『大丈夫ですよ』と言う。
「そんなことはないよ」
カルロも穏やかに笑ってそう言った。
ホッと安堵して部屋にすべりこむ。
そして気付いた。
テーブルの上に積まれたいくつもの飴の箱でできた山。
アンディの視線を黙ってたどったモニカが大きなため息を吐く。
にこにこしているジョゼフを軽くにらみつけるようにして言った。
「私に対するあてつけですか。確かにレゴルでも舐めててくださいとは言いましたけど……。何もこんなに……。それにわざわざ積み上げて……」
ジョゼフは驚いたように目を見開いてモニカを見上げて当然のようにさらっと言う。
「遊んでるだけさ。いっぱいあるとやりたくなるだろ?」
「なんでそんなにたくさん……」
「悪いなぁ。ほら、北では煙草が手に入りにくいから、買い溜めする癖ついてんだ」
苦笑するジョゼフに、何も言えなくなってまたため息を吐くモニカ。
それを眺めてアンディは呆然とした。
(遊んでる……)
執務室で遊んでる。
カルロも『はっはっ』と笑って止めていない。
アンディはまぶたを下ろして目を閉じた。
あああ……。
(つづく)
