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レオいず

目次


Episode1 「Prologue」
     レオと瀬名が同棲するまで…… 05

Episode2 「幸せの味、それはきっと」
     作曲に夢中なレオとそれを心配する
     瀬名の話………………………… 20

Episode3 「Happy our life」
     オフが被ったレオと瀬名の1日
           起床……………… 28
         朝ごはん……………… 30
         映画鑑賞……………… 33
         昼ごはん……………… 40
          洗濯物……………… 45
         晩ごはん……………… 47
          お風呂……………… 48
           晩酌……………… 51

あとがき……………………………………… 54


Episode1 「Prologue」 冒頭部分

 セナの声が、瞳が好きだ。少し低くて、時に色っぽい声。そして、世界中のどんな宝石よりも美しい、深く澄んだあの瞳が。セナの表情全てがおれにとって最高の刺激になるし、セナを見ているだけで無限にメロディが溢れてくるけれど、おれを映したセナの瞳はやっぱり格別だと思う。世界中でたった一人、おれだけが見ることを許された、特別な泉。だから、その瞳におれだけを映し続けて欲しいと思うのは、わがままだろうか。




「セナ、離れたくないな、ずっと一緒に居たい。」

 二月の寒空の下、いつもより真剣な声で真っ直ぐに伝えれば、おれを見つめたアイスブルーの瞳が動揺に揺れる。あぁ、その表情も最高に綺麗だ。この綺麗なセナを世界中の人々に見せびらかして、どうだ、おれのセナは世界一綺麗だろって自慢して回りたい気持ちと、おれの腕の中に閉じ込めてしまいたいって気持ちがあいまってぐちゃぐちゃになる。こんな感情、セナに会うまでは知らなかった。やっぱりセナは、おれに新しい世界を与えてくれる。トリップしかけた意識を引き戻して、セナの表情を伺えば、綺麗な顔を耳まで真っ赤に染め上げて口をぱくぱくされていた。可愛い。こんなに可愛い恋人を少しくらい独占したってきっと罰は当たらないはずだ。それに、ぜんぶぜんぶ、可愛い過ぎるセナが悪い。

「セナと帰る家が一緒なら良いのにな! そうすればずっと一緒だ!」

 この言葉に孕ませたのは、ありったけのセナへの愛と、ほんの少しの独占欲。




 れおくんの指が、瞳が好きだ。華奢で女の子みたいな体つきとは正反対に、ごつごつと骨ばっていて男の子らしい、ペンだこのある指。その指先から、数多の名曲が生まれて行くのを俺は知っている。ペンだこなんて、アイドルとしてどうなの、なんて文句をこぼすこともあるけれど、案外その指は嫌いじゃない。くるくる変わる表情とリンクするかのような、表情豊かなエメラルドも同様だ。その瞳をやけに真剣な色に変えて、真っ直ぐ俺を射抜くから、あんなことを言うから

『セナと帰る家が一緒にだったら良いのに』

 なんて。だから、家に帰ってからもその瞳が、言葉が、どうしても忘れられなくて、物件情報を探し始めた。






Episode3 「Happy our life」 より、起床と映画鑑賞
※起床にR15部分の一部を含みます。(映画鑑賞は途中まで)


9:00 起床

 カーテンの隙間から射し込む朝日に目を覚ますと、隣には愛しい恋人の姿。セナは眠っている時までお上品でまるで一つの芸術作品のようだけれど、今朝は特に美しい。丹念に手入れされたふわふわの銀髪が朝日を反射して、宝石のように品のある輝きを放っている。時計を見れば、セナが寝ているには珍しい時間で

「昨日の夜は無理させちゃったもんな……。ごめんな」

 なんて言いながら、少し寝癖の付いたふわふわの髪に指をとおした。セナの身につけているお気に入りのパジャマは所々はだけてしまっていて、セナの絹のような肌が真っ白なシーツの上にさらけ出されてしまっている。なのに、不思議といやらしさは感じない。確かな色香は漂っているものの、朝日とあいまって、むしろ神々しささえ感じるぐらいだ。この芸術品のようなセナを組み敷くのは綺麗なものを己の欲望で穢しているようで

〝いけないこと〟

をしているような、申し訳ない気持ちになるのだけれど、この綺麗なセナをこの世界で唯一穢すことを許されているのだと思うと、その事実に興奮してしまうおれも確かにいて。本当にどうしようもないなぁ、と自分でも思う。でも、その何倍も〝セナが愛しい、大切にしたい〟という気持ちがまさっているから、いつも大切にやさしくしようと努めてはいるのだけれど、昨晩は久々にセナとオフが重なることが嬉しくて少し無理をさせてしまった。反省。

「よし! 今日はおれがセナの朝飯作ってみるか!」

 セナを起こさないように呟いて、天祥院が面白がって贈ってきた異常に寝心地が良いベッドに別れを告げた。



11:30 映画鑑賞


 れおくんが作ってくれた朝食を平らげて、食器を洗う。手が荒れる原因にもなるからそろそろ食洗機を購入しなければ、と言い続けて早数年、俺はいまだに食器を手洗いしている。というのも、俺がこの時間を意外と気に入ってしまったからだ。とりとめのないことを作業出来るし、流れる水の音も小気味よい。今も例に違わず、今日は何して過ごそうかなぁ……なんて考えていると、突然肩に何者かの体重がかかった。いきなりのことに思わず食器を落としそうになって、文句を言おうとすると

「セ〜ナッ! 今日はこれ見よ〜!」

 という声と共に視界が遮られる。

「ちょっとぉ! れおくん、いきなり何なわけぇ!? 危ないでしょぉ!? っていうか、近すぎて何かわかんないんだけどぉ!?」

 思ったままにまくし立てると

「ごめんごめん!」

 なんて明るい声が聞こえて目の前の何かが遠ざかって行った。絶対反省してないでしょ。小さくれおくんを睨みつけてみたけれど、全く気にしている様子が無かったので仕方なく俺の視界をふさいでいたらしい物へと視界を移すと、それは二、三枚のDVDだった。全部れおくんの曲が起用されてるやつだ。

「セナ、前から見たがってただろ? だから借りてきた!」

「はぁ? 見たいなんて一言も言ってないんだけどぉ? 誰かと間違えてるんじゃないのぉ?」

「セナ、レンタル屋行く度にちらちら見てたから見たいのかな〜? って思って!……見たくなかった?」



 
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